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平成17年第1回定例会−02月21日-02号

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  1. 杉並区議会 2005-02-21
    平成17年第1回定例会−02月21日-02号


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    平成17年第1回定例会−02月21日-02号平成17年第1回定例会 平成十七年第一回定例会杉並区議会会議録(第二号) 平成十七年二月二十一日 午前十時開議 出席議員四十八名  一番  新  城  せ つ こ  二番  け し ば  誠  一  三番  堀  部  や す し  四番  小  松  久  子  五番  奥  山  た え こ  六番  小  野  清  人  七番  とかしき  な お み  八番  関     昌  央  九番  原  田  あ き ら 一〇番  田  中  朝  子 一一番  山  田  な お こ 一二番  岩  田  い く ま
    一三番  河  津  利 恵 子 一四番  渡  辺  富 士 雄 一五番  島  田  敏  光 一六番  吉  田     武 一七番  藤  本  な お や 一八番  は な し  俊  郎 一九番  くすやま  美  紀 二〇番  小  倉  順  子 二一番  小  川  宗 次 郎 二二番  田  代  さ と し 二三番  松  浦  芳  子 二四番  佐 々 木     浩 二五番  横  山  え  み 二六番  藤  原  一  男 二七番  青  木  さ ち え 二八番  井  口  か づ 子 二九番  富  本     卓 三〇番  本  橋  文  将 三一番  梅  田  ひ さ え 三二番  大  泉  時  男 三三番  原  口  昭  人 三四番  鈴  木  信  男 三五番  山  崎  一  彦 三六番  押  村  て い 子 三七番  門  脇  文  良 三八番  木  梨  もりよし 三九番  太  田  哲  二 四〇番  渡  辺  重  明 四一番  西  村  文  孝 四二番  宮  原  良  人 四三番  伊  田  としゆき 四四番  河  野  庄 次 郎 四五番  斉  藤  常  男 四六番  小  泉  や す お 四七番  曽  山     繁 四八番  今  井     讓 出席説明員  区長           山 田   宏  助役           小 林 義 明  収入役          滝 田 政 之  政策経営部長       松 沼 信 夫  行政管理担当部長     南 方 昭 彦  区長室長         高   和 弘  危機管理室長       遠 藤 雅 晴  区民生活部長       四 居   誠  地域経済振興担当部長   根 本 信 司  保健福祉部長       小 林 英 雄  高齢者担当部長      大 澤   渉  児童担当部長       伊 藤 重 夫  杉並保健所長       大 倉 慶 子  都市整備部長       菱 山 栄 二  土木担当部長       原 島 昭 治  建築担当部長       鳥 山 千 尋  環境清掃部長       中 公 敏 行  政策経営部企画課長    相 田 佳 子  政策経営部財政課長事務取扱政策経営部参事               原   隆 寿  区長室総務課長事務取扱政策経営部参事               村 上   茂  教育委員会委員長     丸 田 頼 一  教育長          納 冨 善 朗  教育委員会事務局次長   佐 藤 博 継  学校適正配置担当部長   上 原 和 義  中央図書館長       倉 田 征 壽  選挙管理委員会委員長   鵜 殿   明  代表監査委員       寺 坂 征 治  監査委員事務局長     山 本 宗 之 平成十七年第一回杉並区議会定例会議事日程第二号                 平成十七年二月二十一日                      午前十時開議 第一  代表質問 第二  一般質問 ○議長(今井讓議員) これより本日の会議を開きます。  出席議員の数は定足数に達しております。  会議録署名議員は、前回の会議と同様であります。  これより日程に入ります。  日程第一、平成十七年度予算の編成方針とその概要に対する各会派の代表質問に入ります。  杉並自由無所属区議団代表、二十四番佐々木浩議員。      〔二十四番(佐々木浩議員)登壇〕 ◆二十四番(佐々木浩議員) おはようございます。  私は、杉並自由無所属区議団を代表いたしまして、このたび区長から示されました平成十七年度予算の編成方針とその概要について質問いたします。後日予算委員会等も予定されておりますので、細かい質疑はそちらに譲り、できるだけポイントを絞って、また、他の会派の質疑で既に明らかになった点などは改めて確認をしながらも、できるだけ簡素に進めてまいります。  まず、すぎなみ五つ星プランに関連して質問いたします。  本予算に先行して作成、発表されたすぎなみ五つ星プランは、これまで区が作成してきた基本計画、実施計画とは明らかに変化していることに気がつきます。プランは、平成二十二年度の杉並区の将来像を明確にし、これまであいまいであった重点目標を具体化している点で、区政史上初の出来事であります。これは、民間企業において必要不可欠な中長期戦略の手法に近づいたものですが、自治体経営としても進むべき方向性を明らかにし、具体的な施策にそれぞれ目標を設定するなど、区民に対し、よりわかりやすいものとして、大変評価されるものであると考えます。  また、その手法に限らず、質、いわゆる中身についても変化が見られます。というのは、これまで六年間の山田区政は、一見斬新さなどを織りまぜ、ぐいぐい推し進める印象がありましたが、実は、これまでは、就任時の病的な財政状況から立て直すための再建型の経営であり、区長本人も攻め上がりつつも相当な我慢をして、いわば守りに軸足があったと思われます。まだ道半ばではありますが、一定の結果を残し、それは全国的にも大きな評価を受けております。  さて、ようやく財政の健全化にある程度のめどがつき、地域としての土台、根っこが張り始めたこともあり、今回のプランから、再建型からいよいよ成長型の、いわゆる攻めの姿勢に転じており、ようやく山田区政の本領発揮となります。そのキャッチフレーズである「人が育ち、人が活きる杉並区」がそのまま本予算のメーンに使われていることや、教育立区元年という言葉の勢いからも、大変な意気込みが感じられますが、後期山田区政のスタートとして、六年前と同じように、本年が杉並区政の転換期の一つのターニングポイントとしてとらえることができると思います。それを踏まえて、まず、五つ星プランの策定に当たって区長が心がけた点などありましたら、お聞かせください。  国と地方の再構築に関連して質問いたします。  三位一体改革について、政府は、平成十七年から十八年度の基本方針を取りまとめたところであります。当区の十七年度予算への影響については、区にとってはむしろ増額になるだろうと予測されておりますが、この政府の措置はあくまでも暫定的なものであり、内容的にも、三位一体改革の本質から離れたものとなっており、これからの展開も予断を許さない状況であります。今後区としてどのように取り組んでいくのか、見解をお示しください。  また、今回の内容は、区市町村よりもむしろ都道府県に影響が大きく、東京都にも大きな影響が出ております。改革がどのようになるか微妙ではありますが、少なくとも今後の財調制度に影響を及ぼすことがあるのかどうか、見解をお示しください。  都と区の関係について質問いたします。  平成十二年より都区改革の話し合いが本格的に始まりましたが、大都市事務の定義については、さかのぼって平成十年度の都区制度改革推進委員会の時点でさえ、大ざっぱな六十三項目のうち、都区が一致したのは約五分の一の十二項目にすぎず、都区の意見は全くかけ離れたものでありました。去る一月三十一日には大都市事務検討会が開かれ、新たに都が大都市事務について示した上で議論されたようでありますが、一体どんな内容になったのか、お伺いいたします。  また、仄聞するに、都の提示はとても受け入れられる代物ではないとのことですが、一体これからどう進めていくのか、重ねてお伺いいたします。  特別区長会が制度改革後の特別区のあり方について客観的な立場から有識者に調査を依頼したのが、特別区制度調査会でありますが、その中間のまとめが先月公表されました。方針の文中でも引用がありますが、区長はこのまとめを一体どのように評価しているのか、見解を問います。  都区間の協議機関として、都区協議会がそれぞれ独立対等の立場として法令上設置されておりますが、運営の実質上は対等と言えないということを制度調査会も指摘をしております。そもそもこのような重要な課題について、行政の間とはいえ、五年間にわたる長き交渉をもってしてもなお都区間に埋めがたい大きな意見の乖離があるなど、協議会自体が果たして有効に機能しているのかどうか疑問に思われます。改めて、都区協議会の設置の意義についてどのように評価をしているのか、お伺いいたします。
     協議の期限は十七年度末でありますが、十八年度の予算編成作業を考えれば、実質的な結論の締め切りは秋口までと思われます。今の状況からすれば、都も区もお互い引くに引けない抜き差しならぬ状況であり、最後まで粘り強く交渉するにしても、とても落としどころがあるとは思えません。第三者に裁定を仰ぐといったような性格のものでないことからも、今後大きな波乱となり得ることを危惧せざるを得ません。  時あたかも東京では江戸開府四百年のキャンペーンが行われておりましたが、この都区間の綱引きには、江戸幕府末期世の様相をも感じております。分権時代の旗頭を装いながら自らの足元の分権に無関心な東京都幕府に対し、我が杉並区がどのような役割を果たすのか。薩長土肥のように開国を迫る忠臣となるのか、水戸藩のように強行玉砕するのか、また会津藩のごとく共に朽ち果てるか。山田区長には、方針の中でも登場した坂本龍馬のごとく役割を演じて、東京を見事に洗濯してほしいと期待するところであります。  かくして、平成十七年東京秋の陣はますます熱を帯びていくところでありますが、その行き着く果てがさらに先延ばしになったり、あいまいな妥協になっては意味がありません。区長会の重大な決意がたどり着く場所は不明ですが、かつて後藤新平が東京市の市長であったころにさかのぼり、二十三区全部または一部が大東京市として復活するぐらいの構想を懐に握り込むぐらいでないと、交渉に迫力が出ないと考えます。  また、この協議については、なかなか住民に対しての情報提供がなされていません。ともすればただの権力争いに移りかねないだけに、わかりやすく説明するのは難しくもあります。しかし、この協議は、強いて言えば日本における首都のあり方そのものの議論であります。戦後これまで、首都に対する明快な法令を持たず、あいまいなままで今日まで来たように思います。そのため、東京都が府県、政令指定都市、二十三区の普通市としての一部の三層の権限をまとめて包括してしまい、肥大化してしまったわけですが、この状態はとても健全な姿とは言えず、あくまでも今の制度自体が暫定的な形であると言えます。首都機能移転論という波風はあったものの、かくも長きにわたり、今まで首都とはどうあるべきかという本質的な議論がなされてきませんでした。この協議が日本の首都のあり方にとって重要な課題であることをしっかりと住民に伝えるべきでありますが、見解をお伺いいたします。  都は過日、固定資産税、都市計画税の減額の方針を発表し、都議会に条例案を提出することとしています。商業地に係る固定資産税については、税負担の不公平感もあり、これまでも、平成九年度に課税標準額の上限を評価額の八〇%に、十二年度には七五%、十四年度には七〇%に引き下げられてまいりました。今回も昨年の税制改正により、これまでの全国一律から、六〇から七〇%の範囲内で各市町村が判断をして設定できるようになり、それを受けて都も早速反応したわけであります。  固定資産税については、我が区議会も、昨年二月に、小規模非住宅用地に対する減免を都知事に要望したこともあるように、現行制度の改正については好ましいことであります。しかしながら、固定資産税は、本来二十三区の財源である財調の原資でありますことから、実際に減額措置をするには、その減額幅を含め、二十三区とそれなりに話し合い、同意の上施策決定をするのが筋であり、特に今、都区間で財調のあり方について白熱した協議がなされている微妙な時期でもありますので、なおさらのことと考えますが、都と区の間で、今回の減額措置について何か具体的な協議があったのか、お伺いをいたします。また、二十三区にとっても相当額の影響になるのではないかと予測されておりますが、どの程度か、お伺いいたします。  これまで、地方分権にも絡み、国と区の関係を主に財源の観点から申し上げてまいりましたが、法体系の整備という点も、今後考慮しなければなりません。  ご承知のとおり、地方分権一括法以来、自治事務、法定受託事務のいずれにも条例制定権が付与されるなど、各自治体の条例策定の裁量が広がり、都道府県、区市町村ともに、独自の条例制定が活発になってきております。とはいえ、依然として国の法令は実生活に対して非常に密度の濃い規律を形成しているため、自治体の条例制定権が非常に制約をされているのが現実であり、今後は、国が制定すべき法律の範囲を明確にし、特に自治体の事務に関する分野においては、基本的な基準にとどめ、その運用における自治体裁量の範囲を拡大すべきであります。国の法律、政令と自治体の条例の関係は、憲法第九十四条からも、制度上は上下関係が明確になっており、制約がはっきりしております。しかし、問題となるのが条例同士の関係であり、特に、都道府県と区市町村の関係はなかなか複雑になります。例えば、杉並区と中野区が類似の条例を制定したとしても、その運用において多少の混乱はあっても、地域が明確に分離されているので、問題はありません。困るのは、杉並区と東京都の間で相互に目的、対象が競合し、かつ抵触、矛盾する条例が制定された場合であり、当然このような事態は考えられます。杉並区民はイコール東京都民でもありますから、場合によってはダブルスタンダードを持ってしまうこともあり得ます。都区の役割分担は主要五課題を中心に協議をされておりますが、その考えの中でも、都が制定すべき条例の範囲、区が行うべき範囲のすみ分けなども必要となりますが、何かお考えがあるか、お伺いをいたします。  方針の中で、子どもたちは自分自身を見失っているとのくだりがあります。それは、まさに学校教育、社会教育の中における道徳観の欠如によるものであります。  日本人はもともと、歴史的にも礼節を大切にする礼儀正しい民族でありました。しかしながら、道徳教育を重視することは全体主義的な軍国国家路線につながるとした感情論に流され、戦後の日本社会から次第に希薄になってしまいましたが、その結果が今日の退廃的な状況を生み出したことになります。  現在の子どもたちは、知識や技術、情報など、かつてないほど多くのことを学ぶことができますが、あくまでもそれは単なる道具であります。包丁は毎日の食を得るためにはとても大事な道具ですが、一方、人を傷つけることもできます。どの使い方を選択するかは、社会規範に基づいた人間性が基盤となります。先日の他の代表質問にもありましたが、長崎県佐世保市での児童殺傷事件を受けて、長崎県教育委員会が行った意識調査において、死んだ人が生き返ると、小学四年生の一四・七%、中学二年生ではさらに増えまして一八・五%が答えたという、この結果には衝撃すら覚えました。この死生観すらゆがみつつある日本の子どもたちが、いま一度地域や国への愛着、また規範意識や公共心をどのように取り戻すべきと考えているか、この際、お伺いをいたします。  また、方針の中では、官僚政治にメスを入れ、硬直した仕組みを改革し、官の弊害に挑むという決意が表現されております。これまで確かに日本の発展を支えてきた中央集権型体制から分権型地域主権への移行のタイミングが、数十年見事に遅れてしまったことによる弊害は言うまでもありません。経営においても、決断と実行が遅れてしまうとどれくらいの損失となるか、自明なことであります。  そこで、次なる仕組みとして、政府・公機関とはどうあるべきかを体現するためには、意思決定の素早さ、応用力、柔軟性の点からも、地方自治体こそがその見本を示すことになりそうだと思います。その中でも杉並がこれからどのように自立した地方政府を実現していくかは、全国の規範となり得ると信じますが、目指すは杉並市というよりも杉並藩なのかもしれません。どのように考えるか、お伺いいたします。  区役所の窓口と区民への対応は、以前に比べとてもよいと評価されておりますし、自分自身もそのように実感しておりました。しかし、幾人かの高齢者から、役所は、してあげているんだから文句ないでしょうというような雰囲気があると聞くと、我々元気のよい者では気づかない部分で、まだ官の意識が残っているように思われます。参画と協働に基づく区政を実現するためには、こうした意識を打破していく必要があるのではないかと考えますが、見解を伺います。  社会保障という大きなテーマに関連して質問いたします。  人口減少という社会構造の変化は、大きな問題としてたびたび取り上げられておりますが、この狭い国土において、現在の人口密度は余りにも高過ぎるので、大方の論とは反対に、人口減少は適正化に向いているのではないかと主張する向きもあります。むしろ、少子高齢化に伴う世代構成の変化についての方が、今後の社会保障を語る上では厄介な問題と言えます。これまで、この問題は少子化対策に相伴い、福祉的な考え方を持って、どちらかといえば困った困ったとネガティブに取り上げられていましたが、今回のように地域の新たな活力を生み出す契機とするといったプラス志向の発想でとらえれば、確かにあしたが見えてまいります。今後、区としてどのような方針で施策展開を図っていくのか、区長の基本的な考えをお示しください。  実施計画や予算編成の中では、人をつくることを重要なテーマにとらえていますが、人をつくることは、実は大きな経済効果をも生み出します。もちろん、優秀な人材により経済活動が活発になるということは至極当たり前の話ですが、一方、膨大に増え続ける扶助費、いわゆる社会福祉費の抑制にもつながるということです。  さきに登場いたしました後藤新平は、人のお世話にならぬよう、人のお世話をするよう、そして報いを求めぬようという、いわゆる自治三訣の言葉を唱えました。かつて我が国では、身内や地域社会の相互扶助によって困っている人を支え合いました。それでもどうしようもない場合に、役所が出張ればよかったのだと思います。何でもかんでも、あれもこれも権利が先に立ってしまえば、人の心もそれになじんでしまい、お金、いわゆる税金だけ払えばそれでよしという風潮になるのは自然の流れであります。他人のお金で他人の手で施される福祉は、決して本来心温かいとは言えません。自治三訣のような倫理観が日常生活として地域の至るところにあふれるならば、例えば、バリアフリーといってあちらこちらの工事を始める以前に、つまずいた人がいればあちらこちらから支えの手が伸びる、そんな社会や人こそが温かい福祉の原点であると思います。  さて、杉並区は具体的にどのようにして社会を担う人づくりを進めていくのか、改めて区長の考え方をお伺いいたします。  生涯現役社会を目指すとしていますが、施策の対象となる層は、どうしても高齢者が中心となりがちと考えます。子どもから高齢者まで幅広い世代が享受されるべきであります。生涯現役の社会とは、すべての世代を対象に考えていくべきと思いますが、どのように考えているのか、お伺いいたします。  社会保障の充実は、国のみならず自治体としても最重要な課題ではありますが、保障が過度に充実過ぎる危険性も指摘しなければなりません。至れり尽くせりの保障は人間を怠惰にし、勤労意欲や、時に道徳観をも麻痺させます。やがて財源が破綻し、悪循環を起こし、保障を維持することができなくなり、国は滅んでいくのです。適度の保障の充実はセーフティーネットとしては当然でありますが、さじ加減が難しいところであります。  また、例えば高齢者、障害者イコール福祉という考え方は、とても不幸な発想であります。これまで福祉は、施設、物、サービスの提供に重心を置き過ぎたため、大事な部分が欠落しておりました。いわゆる社会保障として単にお金や物質的な援助を幾ら重ねたとしても、例えば高齢から来る寂しさは埋まらないし、そのようにカテゴリー化することで、社会からの疎外感は募るばかりであります。生きがいや生活の張りなど精神的な豊かさも必要であります。だから、働く意思も能力もある高齢者には大いに働いてもらい、地域活動の担い手として、ぜひとも社会貢献していただきたいと期待することこそ、喜びにつながると思います。真の社会保障・福祉とは、扶助費をどんどん増やすことにあらず、あらゆる人が生き生きと暮らせる社会づくりとして、心の豊かさを持ってもらうことに、発想を少しばかりシフトすべきであります。今回のいきいき元気には、それらの考え方の転換も踏まえたものと思われますが、いかがか、お伺いいたします。  地域ぐるみで教育立区に関して質問いたします。  最近、教育委員会は独立した機関なのだから、教育行政の最高責任者として教育長が教育方針を述べるべきではないかという論があり、既に実施している自治体もあるように伺っております。区長の予算編成に述べられた教育行政にかかわることについては、区長部局と教育部局がしっかりとすり合わせをしているもので、教育長の思いも十分練り込まれているものと思いますが、自身の言葉で方針を述べることも必要でないかと考えます。今のところそういうふうにはなっておりませんので、かわりに私の質問に答えるという建前で結構ですから、簡潔に、十七年度の教育の基本方針について、教育長にお伺いをいたします。  現在、国において教育基本法の改正に向けて準備を進めておりますが、まさに百家争鳴、大分時間がかかりそうな様子と見られます。そんな中で、自治体として独自に基本条例を制定することは、大変画期的で意義深いものであります。条例自体はどのような趣旨のものになるのか、また、本年度は準備に向けた懇談会を設置するとありますが、懇談会の内容はどのようになるのか、その進め方なども含めてお示しください。  地方分権一括推進法により、国と区のそれぞれが、少なくとも形の上では対等となったものの、教育行政においては、文部科学省、都教委、区教委といった主従関係の縦型管理ラインが依然としてそのままとなっております。画一的な教育行政による国のコントロールが、人事、財源、組織、学校運営、教育内容などあらゆる分野に及んでいる中、当区はこれまでも果敢に、まさにストライクゾーンぎりぎりの範囲まで剛速球やら変化球を投げ込んでいます。本来あるべき姿として、国のコントロールを最小限にすることが望ましいわけですが、教育行政において、具体的にはどのような権限を区市町村に移譲すべきと考えるか、お伺いいたします。  かつて学校は、教育行政の独立性を重んじる余り、学校は聖域であり、まるで治外法権を持っている存在であるかのような錯覚さえ覚えました。しかしながら、改めて考えてみても、福祉や環境にしても、社会生活のあらゆる場面の根幹は教育の問題であり、この土台が揺らいでいては、快適な地域社会などあり得ません。今回の地域ぐるみで教育立区という概念は、あらゆる区の政策に教育の視点を盛り込み、学校、家庭、地域、行政が一体となって取り組むということであり、これまでの地域に開かれた学校論とは似て非なる、はるかにスケールの大きい話であります。十七年度、どのような取り組みを考えているか、お伺いいたします。  先ほど、教育委員会は独立した機関と申し上げましたが、この教育委員会が不要ではないかという意見も多々あります。例えば埼玉県志木市では、構造改革特区に教育委員会の必置義務を外すように提案をしております。また、中教審でもそのような議論が進められ、選択性の導入という意見もあるようです。社会教育やスポーツ振興の分野については、既に首長の部局に移している自治体もあるようです。杉並は教育長、委員初め優秀な人材がそろい、さきに申し上げたように、現行の制度の限界いっぱいまでやっているようでありますが、いかんせん越えがたい壁があることも事実であります。また、区のさまざまな政策は、突き詰めていくと、教育の問題に突き当たります。教育委員会不要論というネガティブにとらわれがちでありますが、そうではなく、発展的に進化をするという建設的な発想をもって、これからの教育行政のあり方を伺いますが、この問いについては、区長に答弁をいただきたいと思います。  公立学校の信頼が年々低下する一方で、私立学校では、少子化への生き残りをかけて、魅力ある学校づくりとしてさまざまな対策を講じ、教師の質についても、民間企業から採用したり、教師を派遣する派遣会社さえも生まれてきております。  一方、公立学校では児童生徒の自然減のペースを上回り、特に今後数年間、教員も団塊の世代の退職者が急増するなど、教師の不足が深刻化するのではないかという話もあります。また、たび重なる学校現場での事件、事故などに、教師志望者のモチベーションも相当下がっているように思われます。学校教育の担い手である教師の質の向上は、もはや待ったなしの状態であり、杉並師範塾の設立は、まさに時宜を得たものであると理解いたします。都においても、東京教師養成塾といったプログラムが既に昨年四月より開設されておりますが、杉並区独自の試みとどのように違うかなども興味深いところであります。  そこで、杉並師範塾の教育方針案などを見ますと、まさに杉並の地域においてこれからの教師に必要なものが盛り込まれていると感じましたが、この場にて改めて、どのような人材を育成することを目指すのか、また、どのような具体的なカリキュラムを考えているのか、お伺いいたします。  師範塾の卒業生をどのように採用、配置していくかが重要でありますが、どのように考えているのか、お伺いをいたします。  また、区独自の教師採用を進めていくことと、一方で、区が進めている職員定数削減と矛盾しているのではないかとの誤解をもたらします。職員削減計画を短絡的なリストラ計画と勘違いすると、特に深みにはまります。国、都、区の持ち分が複雑な教育界全体の仕組みの中で、地域の責任において教師を養成、採用すること、杉並区全体の施策の中で教育部門を重点課題としたことなどにより優秀な人員を増強することは、余剰は削り、必要は増やすという再編成の試みとしては、重要なポイントであります。そうはいっても、職員削減計画との整合性については問われることであり、例えば、増加した分は上乗せして全体の削減ペースをさらに上げることなども検討しなければなりませんが、定数削減計画との関係をどのように考えているのか、お示しください。  二十四時間三百六十五日は、サービス産業にとっては究極でありますが、行政が眠らないサービスを展開することの意義は極めて大きいものがあります。そのテーマとして、今回の目玉商品であるコールセンターの設置について、他の自治体の先例などを調査した結果からも、初期投資やランニングコストの面から、特に導入期においては割高な印象がぬぐえません。どのようにして早い段階でコストベースに乗せるかが課題となりますが、国内ではまだまだ事例も少ないため、ニューヨークの三一一番等の海外の事例も参考になると思います。  今予算でも計上されているように、医療、福祉等のさまざまな電話相談窓口が個別に設定されていますが、それぞれに専門性があり、現時点ではいたし方がないものがありますが、利用者は迷子になってしまう可能性もあります。  また、現在の区の代表電話などの単純な業務や法律等の相談も含めて電話相談窓口を統合し、ワンストップ化を図るのが、近い将来において最も効率的となるはずであります。また、それぞれに八けたの番号を振り分けていったら、利用者は電話機の前でちゅうちょし、それ以前に覚えてくれません。海外の例を踏まえて、三けた、四けたの単純番号の取得が重要であります。  業務に付加価値をつけるという意味合いで、従事者のうち何割かをあえて区職員に充てれば、人件費の低減と職員研修の両方の意味合いを持つこともできます。また、電話が殺到しない限り待ちの業務となりますので、インバウンドだけではなく、その空き時間を利用したアウトバウンドとして、既に区が行っている行政意識調査や滞納者への督促などをミックスさせることも可能になります。  これらは効率化の考え方の一部分でありますが、最初からあれもこれもというわけにはいきませんでしょうが、さまざまな検討をし、効率かつ実効性のある事業を展開してほしいと思いますが、いかがか、お伺いをいたします。  災害対策についてお伺いいたします。  世界最大の再保険会社の試算によりますと、世界じゅうで東京・横浜圏が最も危険な都市であり、そのリスク指数は七一〇、二位のサンフランシスコが一六七ということからも、改めてその危険度の高さを思い知らされました。また、直下型の地震での大きな被害が発生した場合の経済的損失は数兆ドルにも及び、日本国どころか、世界経済をも混乱に陥れるとの見解でありました。  阪神・淡路大震災から十年を経て、去る一月に神戸で行われました国連防災会議にて、自由に参加可能なセクションが多数ありましたので、私も幾つか出席をいたしました。この会議全体では、これまでの防災から減災という言葉にシフトしているのが、まず大きな印象でした。そして、直前の災害として、スマトラ沖地震や新潟中越大震災の話題も多数登場いたしました。杉並区の立地から都市型災害を想定しなければなりませんが、今回の中越大震災においては、また新たな教訓を得たものと思います。どのようなものか、他会派からの質問がありましたけれども、改めてお伺いをいたします。  防災協定についてお伺いいたします。  中越大震災において、防災協定を結んでいる小千谷市への杉並区の支援体制は、その迅速さもあり、質量ともに見事なものでありました。残念ながら、私の実家があります栃尾市も被災いたしましたが、杉並区はもとより、他からの支援は乏しかったように聞いております。杉並区には十日町、川口など含めた多数の新潟県出身者が生活しており、多くの方から、なぜ小千谷市にばかりとの声が私のところにも届き、協定の件なども踏まえてご説明申し上げるのに苦慮いたしました。  さて、現在復興に向けて並々ならぬ努力を進めている小千谷市でありますが、義理がたい越後人の気質よろしく、この先、今度は杉並区に何かがあれば全力で助けてくれると思います。小千谷市のみならず、吾妻、風連といった当区と関係の深い自治体も同じことと思います。しかしながら、いかんせん、杉並区の五十二万区民という規模を考えますと、本来は同程度の規模の都市とお互いにバックアップシティーとして協定を検討することも現実的な選択ではないかと考えますが、いかがか、お伺いいたします。  また、中越大震災における発災時の状況もさることながら、長きにわたる避難生活の様子は実に痛ましく、転じて杉並区の場合はどうかなどと思いをめぐらさざるを得ません。人口過密地域でありますので、仮に仮設住宅の設置がどれくらい可能なのか、いざとなったら皆で疎開でもしなければいけないのかなどと考えてしまいます。ことしに入り消防庁が、全国およそ十八万七千棟の公共施設の耐震基準について調査したところ、二〇〇七年度末の見込みでさえ、基準を満たすものが五四・四%にすぎないことが明らかになりました。これでは防災拠点の役割が果たせるのか、疑問に思われます。  そこで、改めて確認をいたしますが、一時避難場所として最も重要な杉並区内公共施設の耐震化率は、補強も含めて一〇〇%になっているかどうか、特に震災避難場所については最重要ですが、状況をお示しください。  耐震化率のみならず、自治体としての総合的な災害適応能力を客観的に把握しなければなりません。そこで、地域防災評価シートに基づいて、毎日新聞が全国自治体に向けて地域防災力の自己評価のアンケートを実施したと伺っております。杉並区の結果はどのようなものになったか、お示しください。  防災については本予算でも幾つかの対策がなされており、他の自治体に比べれば相当の力の入れようであることは重々承知をしておりますが、何せきょうにもあしたにもと考えると、万全とはとても言いがたいのが現実であります。防災施策全体の中でも、限られた財源の中で優先順位をつけていかざるを得ませんが、どのように考えているのか、お示しください。  昨年十二月に犯罪被害者等基本法が制定されました。これまで支援体制が立ちおくれてきた犯罪被害者に対し、その保護は国や国民の責務であることが明記され、今後具体的な施策が検討されております。自治体における取り組みも、埼玉県嵐山町、日野市や宮城県など二十以上で取り組まれておりますが、杉並におきましても、現在専門家検討会にて議論されているところであります。被害者支援の施策、条例設定については、我が会派よりたびたび提言しておりますが、詳細の質疑につきましては、後日の一般質問に譲りまして、本質問では、今後の大枠な流れについて伺っておきます。  第三次行財政改革実施プランにおいて、予算制度の改革が計画されております。自治体の予算はすべての事務をコントロールする最も重要なことであることは言うまでもありませんが、残念ながら、予算制度に関しては、これまで行政は大きな改革に手をつけていませんでした。昨年度の予算をベースに増減するといった手法をこれまで延々と繰り返してきましたが、近年になってようやくシーリング方式やゼロベース方式など、新たな手法の取り組みも見られるようになりました。また、メリットシステムの導入などによって、予算編成、執行上のめり張りをつけることで活性化を図る事例なども増えてまいりました。  そのような背景もあり、我が会派でも昨年の決算時に、予算の透明性をより高めるためにも、予算編成作業の各プロセスを公表していくことを提言いたしました。また、当区でもバランスシートを作成するなど、企業会計ベースで財務分析ができるような仕組みをしかけておりますが、さらに前進するならば、イギリスやオーストラリア、ニュージーランドなどのように、発生主義ベースでの予算編成をも視野に入れるべきかと考えます。  当局の努力の意思は認められますが、本予算においては大きな改革を見るには至りませんでした。現在、新財務会計システムの構築を進めておりますので、それに合わせてどのような改革を検討しているのか、今後の期待を込めてお伺いいたします。  自治体にとって、財政運営は、今や財務戦略と言って差し支えないでしょう。バブル期の平成元年の経常収支比率は五七・三%と、今となってはまさに夢のような数字でありました。その後たった五年間で九〇・九%と急激に悪化し、山田区長就任時の平成十一年には九五・八%となるなど、まさに危機的な状況でありましたが、今日の状況までより戻したのは、大変な成果であります。  本予算においても、新たな起債を抑制し、財調基金の取り崩しで対応するとのことでありますが、経営をダムに例えるなら、もう少し水をためてから放水すべきではとの考え方もあります。特に後年度に多額の退職金が発生するなど、財政需要の波はまだまだ安定性を欠いております。そこで、今後どのように財政運営を考えていくのか、お伺いいたします。  国家公務員倫理規程の改正のためにつくられた国家公務員倫理審査会の意見が二月八日に提出されました。その内容の一節を紹介いたしますと、「国家公務員はサムライであるべきである。清廉でなければならない。公を私より優先させなければならない。」「公務員に対する逆風が吹きすさぶ中、圧倒的多数の善良な公務員諸君が黙々として日夜真摯に仕事に取り組んでおられることに敬意を表するとともに、心からのエールを送りたい。公のために働くという高い使命に誇りを持ってほしい。サムライ達よ、頭を高く上げよ。」とあります。これは国家公務員だけではなくて、この区役所もそうでありますけれども、こうした職員が高い使命と誇りに満ちた仕事ができるような環境づくりは、トップである区長の責務でありますが、どのように考えているか、お聞かせください。  区長は就任以来、次から次へと降りかかる難問に立ち向かって、がむしゃらにやってこられたと思います。前述したように、その結果、昨年は行革ナンバーワンにランキングされ、財政もここに来てようやく落ちついてきた感がいたします。区長の恩師である経営の神様・松下幸之助さんは、百人の人からことごとく褒められるときが一番危険である、総大将になるとみんなが奉るようになり、友人も家来になってしまう、だれも本当のことを言ってくれない、そこで聞こえざる声を聞くという謙虚さが必要といった言葉を残されておりますが、区長の率直な感想をお聞きします。  また、松下幸之助さんはその実践経営哲学で、経営理念を確立したら全従業員に浸透すべしとも説いております。区役所は何のために存在し、そのために何をなすべきか、改めて山田区長の経営理念をお伺いいたします。  あわせて、それが今どのくらい職員に浸透しているのか、トップと職員が確固たる経営理念のもと、一丸となって区政に立ち向かうための区長の所見を伺います。  「人が育ち、人が活きるまち杉並」という今回のテーマは、杉並区役所という組織にこそ必要であります。職員の一人一人が職務に誇りを持ち、生き生き仕事に励み、トップは強いリーダーシップを発揮しながらも、あくまでも謙虚さを忘れることなく、それでいて、トップも職員も確固たる経営理念のもと一丸となっている姿がこのまちの中心である区役所で見られるならば、瞬く間に区民に伝え広がり、杉並全体が生き生きとし始めるはずであります。  以上、何点かにわたりましてお伺いいたしましたが、明快なるご答弁をお願いいたしまして、質問を終わります。 ○議長(今井讓議員) 理事者の答弁を求めます。  区長。      〔区長(山田 宏)登壇〕 ◎区長(山田宏) 佐々木議員の代表質問にご答弁申し上げます。  まず最初に、すぎなみ五つ星プランの策定に関するお尋ねがございました。これまでとこれからという、この間も質問ございましたけれども、これまでは家を建てるための土台づくりということで、財政再建や自治の基盤、また緊急のいろいろな課題に対応するための計画、こういったことで、ある面では追われてきたと思います。そういう中で、一定の財政再建についてめどがついてきた今日では、その土台の上に柱を立て、屋根をふいていくということで今回の計画になったわけであります。  その際、計画しても行政の職員だけがその計画を説明できるようではだめで、やはり区民のものになっていなきゃならない。その計画を区民がある程度、ああ、こういう計画があるんだなということを、目標を共有してなきゃならない。そのためには目標がはっきりしてなきゃいけない。行政はとかくあれもこれも、これもあれもと、福祉も文化もみどりも何もと、こういうふうにやらなきゃいけないわけですけれども、区として区の個性を基盤にした目標というのは何か、考え抜いてきました。  その中で、今回この五年間の目標として人というもの──杉並の特色の一つは、これまで歴史的に見ても杉並のルールというものを住民がつくってきた、それが全国に波及してきた、こういったものがすごく多いと思うんですね。ですから、やはり人が大事だと。人が育ち、人が活きる杉並区ということを基本にしながら、そういう目標は、スローガンはスローガンとしても、政策を束ねる、一つ一つの戦略目標となるスローガンが要る。それを人から見て三つにしたわけです。それは、いきいき元気に生涯現役、生涯現役社会をつくろうと。それから地域ぐるみで教育立区、二十四時間三百六十五日の行政サービス、こういったものを三つにまとめて、そういうことを、いつもすべての施策の中に頭に入れてつくっていこうというのが今回の考えで、要するに土台の上に柱を立てていく場合、みんなが壁じゃしようがない、柱を立てていかなきゃいけないわけですから、その柱を三本というふうに決めて屋根をふいていくということにしたわけです。もっと柱は必要なのかもしれませんけれども、今後それは三本立ててから考えるということだと思います。  それから、さらに成果目標とか指標とかいうもので、やったことが一体どうだったのかということをきちっと判断できなきゃいけませんので、なるべくそういうものの指標化を心がけたというのが今回の計画の特色です。  それから、三位一体に関するお尋ねですが、これは、これまでも代表質問でご答弁申し上げてきました。今回の三位一体改革については、地方案との隔たりが非常に大きくて、また税源移譲についても実質的に先送りということで、分権推進の観点から見ますと、極めて極めて不十分というふうに考えております。特に、国から地方への基幹税の税源移譲というものが実現できていないということで、やはり所得税から住民税へ税の重心を移していくということが、今後の考え方としては必要だというふうに思います。  また、この三位一体の改革というのは、当然ながら東京都の財政、また税源等に影響を与えてきますので、そういった中で、都区財政調整制度についてもやはり影響があると考えておりますけれども、今後、都区の役割分担に応じた財源配分を確立していく必要があると思います。  いずれにせよ、私はもうベルリンの壁は崩れつつあると考えていまして、制度改革はいろいろあるでしょうけれども、区として必要なことをやっていけば、ぼろぼろぼろぼろと、今の遅れた制度は勝手に崩壊しているという感じがしておりますので、今後、今の法令の中できちっとやるべきことをタイミングよくやっていくということを進めていく必要があると考えております。  それから、都区制度改革にかかわる主要五課題についてのご質問ですけれども、主要五課題の協議に当たり、都区の役割分担を明確にするために必要な大都市事務というものについて、先般都から提示を受けておりますけれども、その内容は、政令指定都市を想定した事務や区に対する補助金、事務処理特例交付金に関する事務など、明らかに府県事務に属するものが多数含まれるなど、自治法の趣旨を逸脱した拡大解釈に基づくものであり、到底容認できるものではありません。平成十二年のときの、中途半端になりました都区制度の改革について、当時の石原知事は、残された課題については誠意を持って取り組むということを発言していたにもかかわらず、残された課題が幾つかしかないのに、さらにそれが大幅にまた増えてくるなんていうのはちょっと考えにくいと思っておりまして、あのとき残された課題というのはもう決まっているわけですから、それにさらにつけ加えてくるという今回の提案というのは、まさにその誠意というものが疑われるというふうに考えております。  今後、改正自治法の趣旨に沿って、都が市町村財源を充当する事務を精査するとともに、十二年度の協議で財源配分なされなかった課題については、十二年度以降の変動要素や実態調査の結果も踏まえ、都区の役割分担明確化に向けた主張を展開していきたいと思います。  決着はどうするのかということですけれども、何となく、今回の都区制度の、後で都区協議会のところでも申し上げますけれども、基本的には、何か日本と北朝鮮の交渉みたいで、やはりトップが判断しないと、とてもじゃないけど変わらない。そうであれば、今の北朝鮮との対応のように、別の圧力をかけていく必要があると思います。そうでないと、都区協議で幾ら話し合ってみても、こっちはAと言うし、向こうはCと言ったり、もう全然かみ合わないまま時間がただ過ぎていく感じがしておりますので、今回都議会選挙もことし予定されていますので、こういった課題が最大の争点になるように、ぜひ皆さん方の方でも考えていただければありがたいと思っております。  それから、都区制度調査会の中間のまとめについてのご質問ですけれども、調査会の中間のまとめでは、都区制度における一体性の概念や自治の形態における今日的な意義の再検討の必要性について言及するなど、特別区のあり方に関する論点整理とともに、今後の基本的な検討の方向を提示したものであり、時宜にかなった指摘をされているというふうに考えております。  とりわけ都区財政調整制度については、平成十二年の改革の趣旨に沿った役割分担や財源配分が実現したとは言えないとするなど、今後の都区の協議を進める上で、これまでの区の主張を裏づける見解を明記しており、評価すべきものというふうに考えております。  都区協議会については、先ほどもご答弁申し上げましたけれども、形としては、都区が独立対等の主体として協議する共同の機関として位置づけられ、それなりに役割を果たしてきましたけれども、制度があっても、それを運用する人の姿勢によっては制度が骨抜きになると考えております。  今後、先ほども申し上げたように、この都区の膠着状況が打開できるように、ことしはいろいろな政治的な動きもありますので、ぜひ議会、行政一体となって、区民に対してもよくご説明しながら、とりあえず七月の都議選は大変大事だと思いますので、各党におかれましても、よろしくお願いしたいというふうに期待いたしております。  また、都区協議会のあり方につきましては、特別区制度調査会の指摘も踏まえ、自立した行政主体として住民への説明責任を果たしていく必要があると考えておりますけれども、区としても、このわかりにくい制度について、この間も「いいメール」でも書きましたけれども、なるべく説明をするということを、ことしは特に心がけていきたいと考えております。  それから、固定資産税に関するご質問ですけれども、固定資産税につきましては、ご指摘のとおり、都区財政調整における調整財源であり、法律上もその一定割合が特別区の固有の財源的性格を有することから、その取り扱いについては、都が一方的に決定せず、事前に特別区とも協議するよう都に申入れを行ってまいりました。その結果、都から事前に負担水準の引き下げの打診があり、区長会としてもこれを了承したものでございますけれども、協議して同意したという事実はありません。一方的な通達に近いもの、事前通達みたいなもので、やはりあり方としてはこれでいいのかというふうに考えております。具体的な協議はなかったもの、協議をして決めたものではありません。  なお、今回の固定資産税の負担水準の引き下げに伴う減税規模は百六十億円となり、特別区の影響額は約七十億円になる見込みでございます。  次に、分権社会が進む中での国の法令と条例との関係についてお尋ねがございました。全国市長会などで論議されているように、地域特性に応じた自主的な条例づくりが可能になるよう、法令の大綱化、枠組み化などが求められていると考えております。  特に、今ご指摘ありました都道府県と区市町村の関係につきましても、両者の役割分担を踏まえた上で、区市町村が地域の実情に即して事務事業を執行できるよう、基本的に区市町村の条例が優先されて適用されることなど、法制度上の措置が講じられることが望まれると考えております。  次に、官の弊害に挑み、どのように自立した地方政府を目指していくかというお尋ねですけれども、地域の特性や実情に応じた施策を通してまちの将来像を決めていくのは、主権者である区民であります。しかし、現実は、制度疲労に陥っている社会のシステムを支えているのは、依然として官の意識、お上意識ですね。公のものは官がやるんだ、役所がやるんだ、国民は自分のことだけやってればいい、こういうような明治以来の民法の一つの基本なんですけれども、そういうものがまだまだ意識としては残っていると思います。しかし、そういうものを打破するのはやはり、一番基礎的な自治体である区とか市だと私は考えております。  そういった中で、これからの地方自治制度は、特に豊かな社会というのは、前もお話ししたように多様性を重んじていく、そういう多様性を重んじた、モザイクのような豊かさを実現していくためには、いわゆる住民から離れた国が何か方針を決めていくという時代はもう終わっておりますし、やはり一番住民と近いところに、役所と一体となって自治を推進していくということが、これからの日本また地域の豊かさに即応したものだというふうに考えております。こうした中で、区役所もやはり官の意識がまだぬぐえないと考えておりますので、今後、協働化率とか、そういうものを目標にしておりますので、そういう取り組みを通じて、一つ一つ具体的なものを成果を上げながら意識が変わっていかなければならないと思っておりますし、変わっていくだろうというふうに考えております。  それから、社会の構造変化を踏まえた区の方針に関するお尋ねで、平成十八年以降、少子化により日本の人口は減少期に入り、我が国の社会経済は転換期を迎えております。少子化とともに高齢化が一層進行し、若い世代の減少で労働力の低下や経済成長の低下が心配となる一方で、知識や経験が豊富で時間的にゆとりがあり、社会参加や生涯学習への意欲を持った人の割合が増加するなど、積極的な側面もあるというふうに考えております。いわば社会の成熟化が進む中で、人々の価値観は多様化し、量よりも質、物の豊かさから心の豊かさへ、個性を大切にするとともに、芸術、文化、ボランティア活動なども盛んになって、仕事に関しても、地位や高収入よりも、むしろやりがいというものに対する志向が高まるというふうに考えております。こうした意味で、これからの時代は一層おもしろさとか、工夫とか、個性とか、そういうものが生かされていく多様な社会になっていくと考えておりまして、そういったそれぞれの個性というものを元気・活力に結びつけていくということが、これからの区の基本方針であるというふうに考えております。  このことから、すぎなみ五つ星プラン及び予算編成方針においても、人が育ち、人が活きる杉並区ということを目指して計画をつくったことでございますけれども、先ほど申し上げたように、教育立区、生涯現役、二十四時間三百六十五日の行政サービスという三つの柱がありますけれども、特にこの三つの中でも一番太い柱は、教育立区だと思います。次の世代にどうかかわっていくか、立派に育てていくかということを、いろいろな意味で、社会また人々が関心を持ち、取り組むということが地域を元気にしていくものと考えておりまして、また、それぞれの人々が役割を果たしていくという分野が広がっていくだろうと考えております。そういうふうな意味で、この三本の柱の中でも、教育立区というものが最も太い柱だと私は認識をしております。  それから次に、生涯現役社会と社会保障のあり方に関するお尋ねですけれども、杉並区が目指す生涯現役社会とは、すべての世代の人が地域社会において生き生きと活躍できるような社会を考えております。中でも、団塊の世代を含む中高年齢層に対する施策に特に重点的に取り組んでいく必要があると考えますが、中高年齢層だけでなく、若い世代も含め、すべての人の力を発揮してもらうことで、地域の元気・活力をはぐくもうというものであります。  また、これからの社会保障のあり方ですが、高齢化が進行する中で、年金制度や医療費、介護保険など、社会保障制度の将来に対する不安が増大しています。核家族化と単身者世帯の増加、女性の社会進出、扶養意識の変化などによって、今後ますます社会保障は重要になってくると考えられ、二十一世紀の本格的な少子高齢社会になじむ社会保障のあるべき方向について議論をしていく必要があります。  ご指摘もいただきましたように、これからの時代は、高齢者を、支えられる側というだけではなくて、世代を超えて社会をみんなでそれぞれの力に応じて支えていく、また、障害者もタックスペイヤーを目指して自立をしていくということが、これからの一つの社会の姿であろうと思います。もちろん、社会保障制度の基本的な部分は国の役割となって、区でいろいろなものを見直していくということは困難ですけれども、しかし、今申し上げたような個人の責任や自助努力だけではなかなか対応できないという分野については、社会全体で支え合うという考え方に転換をしていく必要がありますし、基本的なものについては、最終的には、国や区がきちっとセーフティーネットを張っていくということは、当然大事なことだと考えております。  それから、教育委員会の制度について私の意見が求められました。私は、現在の教育委員会制度というのは、人事権は都道府県、そして予算は首長、区長部局にあって、何か権限と責任と財源というか、そういうものがほとんど与えられていないという中二階的状況に区の教育委員会は置かれておりまして、行政機関としても、また区民の責任という面でも、このままでは見直しの必要な制度だというふうに考えております。  しかし、この問題についてはさまざまな場で議論がされており、国民的議論の中で決定すべきものと考えております。したがいまして、まずは現行制度の中でできる限りのことをやっていく必要があると考えておりますけれども、その中で、新しいものが、自治の中でこういう教育委員会の制度がいい、または教育委員会の制度はやめてこういうふうな方がよりいいのではないかという議論になっていくんじゃないかというふうに考えております。  コールセンターは、二十四時間三百六十五日の安心の区役所サービスを目指して、二十三区で初めて導入するものでございます。現在、先進都市の状況を調査し、課題などを検討しているところでございます。夜間や休日でも区民の方からさまざまな問い合わせにお答えできる便利なコールセンターになるよう、ご指摘ありましたように、覚えやすい番号で、責任を持った総合的な対応ができるように努めてまいります。特に電話番号というのは重要だと考えておりますが、三けたとか四けたがとれるのかどうか、いろいろな制度の問題がありますけれども、この分野で覚えやすくなければ利用度が下がると考えておりまして、特に重要視しております。  また、センターの職員が空き時間に税の督促とか区の事業のPR、また、ご指摘ありましたような意識調査等を行うことも視野に入れ、効率的で実効性のある事業にしていきたい、こう考えております。  新潟県中越地震の教訓についてお尋ねがございました。  第一に、災害対策本部の臨機の立ち上げ訓練の重要性で、実践的な訓練を通し、職員の迅速な対応が求められると考えております。  第二の教訓は情報連絡体制の再確認で、NTTの一七一やメールの活用等を検討する必要があります。  第三に、関連機関との連携強化で、ボランティアセンターの立ち上げなど、行政と社会福祉協議会との協定締結等により、連携を一層強化する必要があると考えております。  区といたしましては、これらの教訓を踏まえ、防災力の向上を図ってまいります。  また、防災協定についての評価と今後の予定についてのお尋ねですが、これまで風連町や吾妻町との締結に加え、小千谷市とは昨年五月に締結いたしました。いち早く小千谷市への救援物資を搬送するとともに、人的な支援を円滑にできたのも、相互援助協定のたまものというふうに考えております。
     こうした他都市との協定の締結につきましては、今後は、これまでの交流の実績や、杉並区からの距離、防災体制などを考慮に入れながら、同じ規模のということのご提案も含め、今後検討していきたいと考えております。  次に、区立公共施設の耐震化についてのお尋ねですが、耐震診断の結果、耐震性が低いと判断された一般施設の中で、耐震補強の対象となった施設は、平成九年度から順次耐震補強工事を行い、平成十五年度で補強工事を終了しております。また、今後改築が必要と判断しております高円寺会館及び体育館二施設は、基本計画に位置づけ、耐震化を進めているところでございます。さらに、震災救援所となる小中学校につきましては、耐震補強の対象となっている学校は、平成十七年度にすべて工事を終了し、平成十八年度からは、学校適正配置計画を踏まえつつ、実施計画に沿って、優先度の高い学校から耐震改築を進めていく予定でございます。  地域防災力の自己評価についてお尋ねがございました。ことし一月に発表された毎日新聞の建物耐震化、被害予測、医療救援体制整備などの十六項目にわたる地域防災力アンケートの集計結果は、杉並区は六十四点満点中四十一点で、全国七百二十八市区のうち、台東区、練馬区とともに上位十位に位置しております。  今後の震災対策についてのお尋ねですけれども、本年の取り組みとしては、ソフト面から震災救援所の運営連絡会の立ち上げを最優先課題といたしまして、本年九月四日に実施を予定しております総合震災訓練において、六十七カ所の全区立小中学校に震災救援所を一斉に立ち上げる訓練を考えております。阪神・淡路及び新潟中越地震の教訓は、地域の強い人と人とのきずなが減災、災害を減らせるというよりどころになると示しております。  なお、さきの毎日新聞の調査で低いと指摘のあった住宅耐震化の行政の取り組みについては、耐震診断士の派遣を、新たな施策として来年度盛り込んだところでございます。  犯罪被害者支援の検討状況についてのお尋ねですが、昨年十一月に設置した犯罪等被害者支援専門家検討会は、この間六回開催され、本年三月には検討結果の報告がまとめられる予定でございます。この間の論議では、先行して支援制度を定めている二十ほどの自治体が給付金支給にとどまっているのに対して、被害発生後の早期の相談、精神的なケア、家事援助、さらには生活再建に至るまで、被害者の切実なニーズに対応し、基礎的自治体ならではの総合的な施策とする方向で検討が進められております。  区としては、この検討会からのご提言をちょうだいした後、直ちに区としての方針を定め、早ければ六月の議会に条例案として提案させていただきたいと存じます。  次に、予算制度と公会計改革についてのお尋ねがございましたが、予算制度の改革につきましては、現金主義を原則とする現在の会計制度にあわせて、発生主義会計を適用できるよう複式簿記の導入を図ることとし、財務会計システムを再構築し、予算編成の過程や内容を区民にわかりやすく公表していくとともに、決算における財務諸表の作成を迅速かつ正確に行い、コストやストック情報を的確に把握していくことにより、区民への説明責任と経営改革の基盤づくりを目指すものでございます。現在複式簿記を導入している都の実施状況なども参考に、実施に向けた具体的検討を進めているところでございます。  財政運営についてのお尋ねがございました。十七年度は事業債を起債せず、財政調整基金や施設整備基金を活用することにより、起債残高の縮減に努めることとしております。しかし、ご指摘のとおり、今後の退職者の増加や小中学校などの改築需要に対して、基金や一般財源のみで措置することは困難であり、また、財政負担の平準化の観点からも、一定程度の起債はやむを得ないと考えております。したがって、将来の財政需要や今後の財政環境の動向を見据えつつ、財政健全化目標を確実に達成していくため、基金の活用や起債の限定化など、慎重な財政運営に意を用いてまいります。  最後に、職員が高い誇りを持って働く環境をトップとしてどう整えていくかということでございますけれども、今後、今お話がありました公務員というものが、本当にそういう意味では高い公共精神を持ってやっていくように、引き続きさまざまな部門で意識を高めていく必要があるし、また表彰制度などを通じて、こういう意識や誇りを高めていくということも大事だと思います。  また、もう一方では、やはり基礎的自治体ですから、住民とのいろいろな協働をした事業を進めていく中で達成感を得ていくということで、私はこういったものが維持されていくものと考えておりまして、そういった意味で、今後ともよく意を用いていきたいと思います。  また、松下さんの、百人の人からことごとく褒められるときが一番危険であるということで、総大将になるとみんなが奉るようになり、友人も家来になってしまうと。まあ私、今こんな状況ではございませんで、いろいろなところから、まだまだいろいろなことを言われておりますので、ただ、六年、この仕事になりますと、やはりそういった空気も感じております。そういったことでは、やはり任期を制限していくということは私はよかったと考えておりますけれども、今後こういうことにならないように、裸の王様にならないように、引き続き意を用いていかなきゃいけないと思いますが、この間も富本議員からもご指摘ございましたし、佐々木議員からもご指摘ございましたので、これからも毎回区議会で、そういうことがありましたら厳しくご指摘をいただきますようお願いしたいと思っております。  また、トップと職員が確固たる経営理念のもと一丸となって区政に立ち向かうために、区長としては、先ほども申し上げたように、職員と区長となるべく情報の格差がないように、情報を共有化して、そして迅速に、適切に、区民のいろいろなものに対応していく、スピーディーに、そして適切に対応していく。適切にということはいいこと、正しいことを形にしていく、こういうことが私は非常に大事だと考えておりまして、そういう職場風土の徹底というものを進めていくと同時に、職員提案で始まりました五つ星の区役所運動などをより進化をさせていきたいと考えております。  私からは以上でございます。残余のご質問につきましては、教育長よりご答弁申し上げます。 ○議長(今井讓議員) 教育長。      〔教育長(納冨善朗)登壇〕 ◎教育長(納冨善朗) 教育委員会所管のご質問にお答えをいたします。  まず、子どもたちの地域や国への誇りと愛着、規範意識や公共心をどのように取り戻すべきかとのご質問にお答えをいたします。  ご質問の中にありましたように、子どもたちの状況にはゆゆしきものを感じています。ただ、この子どもたちのありようというのは、同時に、大人側の生き方、考え方の問題でもございまして、大人がよりよく生きる姿を具体的に子どもたちに見せ、善導するという必要があると考えています。  中でも教育の基本は家庭にあります。子どもたちの規範意識や公共心を取り戻すためには、まず、子どもが言葉やマナー、生活習慣などを学ぶ第一の場である家庭において、豊かな人間性や倫理観を身につける教育が行われる、これが最も大切だと考えております。したがいまして、就学前の教育あるいは食育、道徳教育などの充実を図り、家庭教育への支援を行ってまいりたいと考えています。  その上で、学校教育において、集団的な教育の特性を生かした学習指導や生活指導を通しまして、社会性をはぐくんでいくとともに、地域社会と連携した職場体験学習あるいは社会貢献活動などを通しまして、ご指摘の規範意識や公共心の醸成に努めてまいりたいと考えています。  次に、平成十七年度の教育の基本方針について教育長から表明をとのご質問ですが、教育委員会では、教育改革アクションプランの大もとをなす基本構想を自治基本条例のもとで策定するということを目指しまして、この間、育てたい児童生徒像、あるいは学校力向上の道筋と教育委員会の支援策などを職員と大いに議論をし、教育委員の間でも活発に協議を重ねまして、区民意見提出手続を経て、先月二十六日に教育委員会で杉並区教育ビジョンとして確定をいたしました。平成十七年度以降の施策の方向と内容は、この教育ビジョンの中にすべて盛り込まれていると認識をしております。十七年度につきましては、この教育ビジョンと学校の活力をベースに、子どもたちがよりよく生きようとする意欲を持つことの大切さに気づき、可能性を信じ、学ぶ意欲を高めていけるように、家庭、地域、学校での教育の支援に努めてまいりたいと考えています。  十七年度の教育委員会の施策の骨格につきましては、区長の予算編成方針で明らかにされているとおりでございまして、教育委員会が行うべきことは、区政の基本に据えた三つの柱を教育の分野でしっかり支えた教育を行うことに尽きると考えています。来年度以降、区長部局のさまざまな施策との連携を図りつつ、健やかさ、しなやかさ、強さをあわせ持った、意欲と自信に支えられた信頼できる人をつくる、自分たちで自分のまちをつくる人の力を育てる、人づくりの施策を展開し、未来の日本社会の土台を支える有為な人材の育成に努めてまいります。  次に、杉並区教育基本条例についてのお尋ねにお答えします。  基本条例は、教育立区を実現し、杉並区の教育理念を明確にするために策定するものでございます。趣旨、内容などは現在固まっておりませんが、教育立区推進本部に設置いたしました道徳推進、食育推進、学校力向上、就学前教育、地域貢献の各プロジェクトで検討を始めてございます。  懇談会の設置でございますが、学識経験者、区民等で構成し、教育の基本理念も含めて、今後の杉並の教育のあり方について、自由な意見交換のもと、広い視点から論議をいただきまして、基本条例の骨子をご提言いただきたいと考えております。  次に、教育についての国からの権限移譲についてのお尋ねですが、国の役割は、各自治体が行う義務教育の全国的水準を確保するための最低限の基準に関与することとするのが、地方分権の時代にふさわしい教育のあり方であると考えております。したがいまして、地方の自由な財源をもとに、学校の教職員数や学級編制、教員の人事や教育内容まで市区町村が責任を持って決定できるように、国、都から学級編制、教職員の定数、任命権等の権限が移譲されるべきものと考えております。  十七年度の教育についての取り組みのお尋ねですが、教育立区は、区の施策の全分野に教育の視点を織り込むという考え方でございますけれども、教育委員会といたしましては、具体的には学力、体力の向上を図るとともに、豊かな人間性を育てるということのために、独自開発したドリルを活用したステップアップや、職業体験を実施してまいりたいと考えております。  また、学校力の向上による信頼される学校づくりに関して、仮称杉並師範塾の開設、防災レスキュー隊の創設、小中連携一貫教育の推進、地域運営学校の開始などを進めてまいります。さらに、スポーツ、文化活動を通した豊かな地域づくりのためには、図書館の整備、総合型地域スポーツクラブの創設支援などに取り組みます。これらの方向性と施策を軸にして、人づくりに努めてまいりたいと考えております。  師範塾についてのお尋ねにお答えいたします。  師範塾では、教育への飽くなき情熱と子どもへの深い愛情を持ち、子どもの可能性やよりよく生きようとする意欲を信じて、これを伸ばす、教育が最高の天職と言えるような人材を育てることを目指します。  また、カリキュラムにつきましては、教師は子どもたちの一生を左右するほどの影響力を持つということにかんがみまして、単に指導技術だけでなく、教職の心構えを身につけることや人間性の涵養などについて特に力を入れる考え方で、現在検討しているところでございます。  師範塾卒業生の採用等についてのお尋ねが最後にございました。この採用等につきましては、区独自採用の常勤の教員として採用試験を行った上で、十九年度には小学校に配置をしていく考え方でございます。配置基準については、現在検討しているところでございます。  次に、職員定数削減との関係でございますが、職員定数の削減は、質の高いサービスを提供する小さな区役所の確立に向けて取り組みを進めているものでございます。  教員採用による職員定数増と千名削減との関係についてでございますが、教育立区実現のかぎを握る杉並独自の教師の養成、採用を進める一方で、スマートすぎなみ計画に基づき協働、民営化、民間委託を大胆に推進することによりまして、整合性を図ることができると考えておりますので、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○議長(今井讓議員) 日本共産党杉並区議団代表、三十五番山崎一彦議員。      〔三十五番(山崎一彦議員)登壇〕 ◆三十五番(山崎一彦議員) 日本共産党杉並区議団を代表して、区長の予算の編成方針を中心に、個々の施策というより、基本姿勢を中心に順次質問をいたします。  昨年を一文字であらわすと「災」であったということは、だれしも異存のないところです。地震や津波、水害などの天災が昨年ほど地球上で猛威を振るった年はなかったように思われます。同時に、国民不在の政治が行われた人災の年であったとも言えます。ことしはひとつ、希望と展望のある文字で締めくくりたいものであります。  さて、ことしは、第二次世界大戦が終結し六十周年の記念の年であります。この記念すべき年こそ、歴史の逆流を許さない潮流を大きくすることが必要になっていると思います。平和面で今三つの焦眉の問題があると考え、逐次質問をいたします。  第一は、過去日本が起こした戦争を正しい戦争であったとする、歴史をゆがめた戦争美化論の横行を許さないということであります。  戦後の世界秩序は、日本、ドイツ、イタリアの侵略戦争を断罪した基礎の上に成り立ち、六十年前に調印された国連憲章も、そのすべての条文が侵略戦争の再現を許さないという基礎の上につくられています。ドイツは第二次大戦の侵略国家ですが、戦後ナチス・ドイツの犯罪的な戦争を徹底的に批判し、次の世代に引き継ぐ努力を積み重ねることで、ヨーロッパで信頼ある地位を占めるに至っています。日本も戦争責任をきっぱり認めて歴史意識を互いに共有し、ともに平和な未来を目指す関係へと発展させることが、アジア諸国を初め世界の信頼を得る道と言えます。  第二に、憲法九条の平和原則を守り抜くことであると考えます。  自民党や民主党の二大政党だけでなく、財界も改憲の動きを急にし、石原知事のあの、憲法を認めない、九十九条違反で結構など、見過ごすことのできない発言も続いています。戦後日本国民が憲法九条をつくった際に、そこに二つの決意を込めたことを、改めて確認することが重要であると思います。一つは、日本は二度と戦争は起こさないという国際公約であり、もう一つは、日本が世界に率先して戦争の放棄と軍備禁止という恒久平和の先駆者になろうという決意であります。  第三は、国連憲章の平和ルールを守れを旗印にした共闘を、日本でも世界でもさらに大きく広げることであります。  昨年は、無法なイラク戦争を始めた勢力が世界でますます孤立を深め、自己破綻を深めた年でもありました。ヨーロッパやラテンアメリカを初め、世界じゅうでアメリカ批判の声が高まっています。アメリカでも昨年十二月、ワシントンポストとABCテレビが合同世論調査を行い、その結果、イラク戦争は戦う価値がなかったとの回答が五六%に達し、過半数のアメリカ国民が、イラク戦争を間違いであったと判断しました。世界平和で原水爆禁止署名運動発祥の地、我が杉並の果たす役割も、ことしは小さくないと考えます。  そこで、端的に二点について質問いたします。  今、改憲論議が華やかになっておりますけれども、区長は、とりわけこの憲法九条についてどのように考えているのか。同時に、あの第二次大戦はどんな戦争であったと考えるのか。侵略戦争であったのか、それとも聖戦であったと考えるのか、明らかにしていただきたい。  暮らしの問題では、ことしは本格的な大増税路線を許していいのかどうかが大きな争点になります。  昨年末、政府予算などへのマスコミ報道は、こぞって本格的な増税路線を報じています。東京新聞は、ひたすら耐えてきた国民の堪忍袋の緒が切れる日は近いかもしれないと、増税路線が国民の中に深刻な矛盾を引き起こすことへ強く警告しています。各種年金保険料の引き上げ、住民税の配偶者控除と均等割の妻の非課税措置の廃止、老齢者控除の廃止、消費税の免税点の引き下げなど、既に決定された負担増と給付減に加えて、定率減税の半減そして廃止、高齢者の住民税の非課税限度額廃止、介護保険のホテルコスト導入など、来年度に予定されています新たな国民負担増は、二〇〇五年度と六年度の二年間で七兆円と言われています。  この計画に対し、与党の一部や経済界、エコノミストからも、橋本内閣の二の舞になるのではという危惧の声が上がっています。橋本内閣のとき、年間三兆円から五兆円への規模で伸びていた家計の所得が九兆円の負担増で伸びを上回り、回復しかけていた景気をどん底に突き落としました。今現在は、家計の所得は年間三兆円から六兆円の規模で減り続けており、暮らしと景気にどんな破壊的影響を与えるか、はかり知れないものがあります。  内閣府が今月十六日発表した二〇〇四年十月から十二月期の国民総生産速報値は、物価変動を除いた実質国内総生産が前期と比べ〇・一%減で、三期連続のマイナス成長となりました。国内総生産の六割を占める個人消費が実質で〇・三%落ち込んだことが響いています。  区長は編成方針の中で、地域経済は依然として厳しく、景気回復への期待や実感を持ち得ないのが現状である、今後の税制改正に伴う所得環境の変化や消費動向に対する懸念もあり、慎重に景気の動向を見きわめていかなければならないと述べています。定率減税の廃止などが暮らしと景気にどのような影響をもたらすと考えるのか、見解を問います。悪影響を与えるものだと考えるならば、区長会などを通して政府に中止を求めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。  さて、もう一つの別の観点から、景気などに関連して問います。景気が冷え込み、暮らしが厳しくなっているもとで、行政がとる基本姿勢、スタンスであります。  昨年十二月、日銀が行った生活意識に関する意向調査では、消費支出を増やす条件として、これは複数回答になっておりますけれども、「国民負担の将来像を明確化する」四一・〇%、「雇用や収入の不安の解消」四〇・四%、「所得税の減税」三六・二%、「老後不安の解消」三四・七%、「消費税率の引き下げ」三三・九%の順になっています。個人消費を伸ばすためには、生活のゆとりと先行き不安をなくすことです。とりわけ、不況下において行政がなすべきこと、また逆に避けるべきことを明確にすべきです。自治体は国政と比べ景気に与える影響をそれほど強く持っておりませんけれども、しかし、行政運営のあり方として重要な基本姿勢の一つと言えます。なすべきことは、区民への負担増は避け、暮らしへの応援です。区民が生活していく上での不安を取り除くことであります。この考え方が予算編成でどのように生かされているのか。  スマートすぎなみ計画では、保育園保育料の見直しが載っています。子育て世代にかかる負担は今大変です。渋谷区では、子育て世代の支援策として、来年度から逆に引き下げを決めているようであります。保育料の引き上げは避けるべきです。  家庭ごみの有料化も俎上に上がっています。やるべきことではありません。あわせて答弁を求めます。  さて、杉並区の資料からも、区民の暮らしの実態が浮き彫りになっています。平成十五年度における区民税の所得階層別納税義務者数の年度ごとの推移では、全部で十六階層ある各階層の人数が下の層に下の層にと、すべての階層で雪崩現象を起こしています。数年前までの、いわゆる富める階層はより豊かに、貧しい階層はさらに貧困にという二極化にもなっていません。また、杉並は代表的な中流世帯のまちと言われてきましたけれども、中流も昔話になろうとしています。私は、区民生活の実態がここにあると考えます。  区民意向調査は、杉並区が毎年千四百人の区民を対象に行っている、継続的で最も規模の大きい調査です。この調査の中で、杉並区が「力を入れている」と区民が評価している施策と、逆に区が「今後特に力を入れるべきである」という、いわば不十分と考える施策を毎年継続して調査して、発表しています。最新の第三十六回調査の結果では、「今後特に力を入れるべき」のトップは高齢者施策で二十二・七ポイント、逆に「高齢者施策に力が入っている」という評価は四番目で、十一・三ポイントです。子育て支援では、杉並区が「力を入れている」という評価はわずか四・三ポイントで十三番目、逆に子育て支援で「今後力を入れるべき」という要望は、何と十八・八ポイントになっています。高齢者施策では評価と比べ不十分は倍に、子育て支援では四倍、十分評価を上回っています。一年前の三十五回調査と比べると、「今後力を入れるべき」という要求は、「高齢者」では八・七ポイント高くなり、「子育て」では六・二ポイント高くなっています。特徴を二つにまとめると、「高齢者」や「子育て施策」など、区民の強い要望に対して区の取り組みが不十分であると区民が思っていること、二つとして、前年よりも、「高齢者」も「子育て施策」も要求がより強まっていることを示しています。これらの現象は、私に寄せられる生活相談の内容を通しても納得できるものであります。  区民の暮らしの現状は一体どうなっているのか、区民が今区に何を求めているのか、今回の予算案はどのようにこういった声に、区民の実態にこたえたのでしょうか。編成方針ではこのあたりの記述がなく、明らかではありません。区政の主権者である区民の声が生きていないのではないか、区長の思いだけが先走りしているのではないか、私はそんな危惧も抱きます。区民生活の実態や寄せられる声をどのように分析し、予算化したのか。区民意向調査などで示されている高齢者や子育て施策にどのように生かされているのか、お答えいただきたい。  さて、憲法二十五条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と、国民の生存権を保障しています。同条第二項では、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と、法的責任を明らかにしています。ナショナルミニマムを含め国民の権利があり、権利を保障する義務を、やはり国や自治体が負っているものと考えます。この関係をどのように認識しておられるのか、改めて明確にしていただきたい。  行政運営に当たって重要なことは、サービスを必要としている人々が、だれ一人として落ちこぼれることなくサービスが保障されることです。憲法の大原則である基本的人権の擁護そのものであります。人間生活にとって不可欠なことは、一つ、衣食住などの生活必要ニーズ、二つ、家事労働や生活援助ケア、三つ、人間の喜びや充実感といった人間の尊厳が含まれていると考えます。一人一人の区民が常に区政に参画できることであり、状況に応じたふさわしい行政サービスを受けられることです。その面で、行政責任、公的責任をしっかり果たしていただきたいと考えます。  編成方針では、人が育ち、活きる杉並区、いきいき元気に生涯現役など、元気な杉並区にしていく方向が随所に読み取れます。それには区政の主権者である区民が、まず元気であることではないでしょうか。  まちの中に「介護保険料、納め忘れはありませんか」というポスターが張り出されました。未納の場合、給付制限になることがあります、利用料も自己負担が一割から三割負担になりますというものです。ポスターが必要なくらい、今介護保険料普通徴収の未納が増えています。国民健康保険の未納も同様です。国保短期証が約三千人、資格証が約千百人と言われます。このまま推移すると、医療を受ける上で支障が生まれ、行く行くはまさに健康や命にかかわってきます。区民の暮らしの実態、元気度をはかる一例を述べたにすぎませんけれども、このあたり、しっかり見据えていく必要があります。  区長は以前「広報すぎなみ」の紙上で、区民に自助努力を求めたことがあります。現実は一体どうなっているのか。私ももちろん、自助努力自身重要なことであると考えています。しかし、現実は、本人が幾ら努力してもどうにもならないという、自助努力の域をはるかに超えている事例もさらに多くなっていることもまた事実であります。公的責任において、親切で行き届いた行政の対応が不可欠です。このような置き去りにされ、また置き去りにされそうになっている層へ、急いで光を当てることの重要性を痛感しています。来年度予算案には、置き去りにされている層への手だてが見えてきません。元気な杉並区をつくる考え方とアプローチが、私には見えてきません。ボトムアップなしで、元気な杉並は不可能です。  編成方針の「おわりに」で、「『足るを知る者は富む』、これは、現状に満足できる人は富める人であり、まだまだと欲を出していると、いつの間にか何もなくなってしまうことをいさめた老子の言葉であります。」と述べています。これは、自助努力を強いることと表裏一体の考え方ではないのか。現状に満足することを美徳とすることが、単に古めかしいだけでなく、区民総我慢論の押しつけになってはならない、このことを付言しておきます。  区長は、救済にはセーフティーネットを備えていると言います。しかし、セーフティーネット、例えば生活保護まで一人一人の区民を落とさないための手だてや対策が今必要ではないでしょうか。それが自治体の責務の重要な柱でもあります。見解を問います。  編成方針は、「昨年私は、『安全・安心をかため、元気・活力に挑む』という目標を掲げ、治安回復と地域の活性化に努めてまいりました。」と述べ、安全パトロール隊の充実や防犯カメラ、小中学校における防犯体制の強化などを挙げています。今、区民が区政に求める安全・安心とは何でしょうか。もちろん防犯対策もあります。しかし、区民意向調査にも示されているように、最大の区民が求めている安全・安心とは、やはり福祉や子育てなど生活面の安定ではないでしょうか。区長の持論は、パトロール強化などの防犯対策の強化が福祉増進の基盤をつくるということです。これは常識的に考えてもおかしな理論です。犯罪の原因の多くは生活の困窮にあります。生活面での安定こそ犯罪防止の最大のかぎであることは、言うまでもありません。福祉基盤の整備は、それぞれの施策の充実を図ることに尽きます。なぜ防犯対策が福祉増進の基盤をつくるのか、再度わかりやすい説明を求めるものです。  福祉分野に市場原理を導入する動きが活発です。企業を参入させるとともに、措置から選択へ、公的責任から自己責任へ、そして勝ち組と負け組を当然の帰結とする新自由主義なるものが、その根底にあります。  三鷹市では、大手企業ベネッセコーポレーションに保育事業の参入を許しました。園長を初め全員が一年契約、年収は百八十万円から二百四十万円で、市職員の三分の一以下です。こんな低い労働条件でも、二十名の保育士募集に三百四十名が殺到したということであります。失業やリストラなどの社会現象がこのような市場をつくり上げていることもまた現実です。保育事業をめぐって企業間の競争、労働者間の競争が際限なく繰り広げられ、この帰結は、必ず保育の質の低下となってあらわれます。ベネッセは売れる保育サービスのマニュアルを持っていて、それを企業秘密にしています。保育内容を高めるための交流は断たれ、保育について行政との血の通った接点はもちろん、父母との密度の濃い交流も極めて薄くなったということです。ここには、保育の質をめぐる論議が全く抜け落ちています。  私は三鷹市の例を概略述べましたが、杉並区にとっても対岸の火事ではないということです。既に区の保育所条例に指定管理者制度が導入され、その対象は、社会福祉法人に限らず、企業参入が可能となっています。保育は第二種福祉事業であるため、法的に既に企業の参入の突破口になったわけでありますが、保育事業が企業の市場になる道を歩んではなりません。企業化を放置すると、必ず商品化の道をたどります。区の保育を初め福祉事業の質を落としてはならないことを強く求めるものです。  編成方針では、新しいスマートすぎなみ計画に基づき、現状で三割の事業の委託を、来年度四割にするとしています。委託先は、NPOや地域に帰る団塊の世代などを対象にしています。委託するという入り口と、四割あるいは五割、六割という出口は決まっています。しかし、入り口から出口に向かう過程、プロセスが、現在でも不明のままです。委託できる事業はこれこれで、Aの事業はNPO法人に、Bは団塊の世代に委託する、委託方法はかくかくしかじかで、サービスの質はここまで維持するなど、説明は全くありません。  委託していく理由として、公共空間が広がっていて選択肢が多彩になっている、公務労働では、選択肢に対応する効率性、専門性で限界があることを挙げています。この理論が現在の到達点かと思いますが、私は大変苦しい理論の展開であると思います。  事の是非はさておき、サービスは落ちるけれども、かさむ人件費を縮減するために委託したと言う方がよっぽどわかりやすい。地域に帰る団塊の世代やNPOなどが区と力を合わせ、まちづくりや福祉事業に協力していただくこと自体、私はもちろん賛成です。ぜひ力をかしてほしいと考えています。しかし、区の職員がやってきたことを肩がわりすることとは分けて考えなくてはなりません。そんな簡単なことではありません。仮に形式的に委託できたとしても、そこにあるのはサービスの低下でしかないと私は思います。  新潟県中越地震の援助に、区からも清掃職員が駆けつけました。結局、現場では、区から派遣された職員がまとめて指揮をとったということです。応援を受けた自治体では、清掃事業は民間委託でした。本来なら土地カンがあって動きやすいはずですけれども、右往左往するだけで、体系的に全く動けなかったとのことです。利潤追求ではなく、住民福祉向上のために、高い専門性とともに組織性、それからいろいろな経験の蓄積が生きた一つの例であると私は思います。  仮にかさむ人件費を縮減するための委託でないとしたら、選択肢とは一体何を指すのか、また、公務労働の効率性、専門性の限界とは何か、改めて明確にしていただきたい。  杉並区でも学童クラブのNPO委託がとんざし、善福寺三丁目に整備する計画であった特別養護老人ホームも、選定された社会福祉法人が計画を断念しました。委託費削減など、安上がり行政が原因ではないのでしょうか。学童クラブの委託がとんざした原因をどのようにとらえているのか、また、いかなる教訓をここから導き出そうとしているのか、明確にしていただきたい。  国民健康保険証資格証への経過は既に述べたとおりです。区は弁済書を郵送して、返答のない場合は資格証となっていくという、これが一般的なパターンと言われています。送られてきた弁済書の意味がよくわからない、近所に相談する人がいないなど、なれない区民がぐずくずしているうちに日々だけが経過してしまうという例も多いのではないでしょうか。ポスターの例でも取り上げた介護保険料普通徴収の未納問題も、相手は全員高齢者です。単にコーディネーター的な立場で取り立てだけでなく、職員が場合によっては出かけていくことも含めて、一件一件丁寧に親切に相談に乗る体制が必要です。福祉事務所も受ける相談は数が増えるとともに内容も深刻になり、時間とエネルギーを要すると言われています。削減だけを押し通すのではなく、今、必要部署に必要な職員を増配置して対応すべきではないでしょうか、答弁を求めます。  福祉事務所のケースワーカーは、生活保護世帯八十に対して一人が標準とされています。現状はどうなっているのか。同時に、オーバーしている場合は増配置が必要です。現状と対策を問います。  元気な杉並区をつくり出すためには、区民がいきいき元気なこととともに、働く職員が元気でなくてはなりません。現状はどうか。神経系を初め、職員の中で病人が確実に増えています。職場に病欠者や産休があったりで、年次休暇さえ満足にとれない。窓口相談が毎日相次ぎ、報告書の作成は閉庁になってから、終わるのは大体八時ごろになる。同僚は子どもを抱えているので私がやらざるを得ないなど、厳しい状況も耳にします。また、窓口で顧客である区民に大声でどなられている職員を見ることもあります。制度的問題で区民からしかられることは大変つらいことではないでしょうか。他の会社や仲間までけ落としても自分の売り上げを義務づけられている企業戦士などと違って、自治体の目指す目標は住民福祉の向上です。忙しくても働きがいのある職場になっていれば、かなりのところまで病気を防ぐことができるはずです。区長は病気が増えている原因を何と考えているのか、どのような対策をとられようと考えておられるのか、明確に答えていただきたいと思います。  今回の予算編成、そして予算案の最大の目玉は教育です。編成方針では、地域ぐるみで教育立区、人をつくる教育や学校力の強化、住民や保護者の学校教育への参画、改築計画など教育環境の向上などを挙げ、区の教育理念を明確にするため、教育基本条例の検討などを強調しています。  さて、編成方針の中で、「個の尊重がともすれば児童生徒の自主性の名のもとに放任へと傾き、規範意識や公共心の低下を招き、ひいては学力にも影響しているように感じます。」と述べています。教育基本法は前文で、「われらは、個人の尊重を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。」とうたっており、区長の投げかけている疑問と百八十度基本見解を異にしています。個の尊重こそ新しい教育の最も重要な理念です。戦前、個人の尊厳や権利が否定され、戦意発揚の場に教育がされていったという苦い教訓の上に、個の尊重が教育の命になっているのです。個の尊重という基本精神に疑問を唱える根拠を示されたい。また、個の尊重がなぜ規範意識や公共心の低下につながり、学力にも影響するのか、わかりやすく説明していただきたいと思います。  今、憲法とともに教育基本法改正の動きが急になっています。区長は、教育基本法についていかなる見解を持っているのか、明らかにしていただきたい。  月刊「ガバナンス」二〇〇五年二月第四十六号は、首長部局の教育政策を特集し、杉並区の取り組みを取り上げています。この中で、助役を本部長、教育長を副本部長とする教育立区推進本部を設置し、そのもとに五つのプロジェクトチームを立ち上げると紹介した後、本来的には教育行政は区長部局が担うべきだが、まず今の制度の中でできる限りのことをやっていくという区長の話が紹介されています。そして、次のページの区長インタビューの中で、教育委員会は廃止して、区民の意見を反映できる常設の教育諮問会議などを設置し、区長に直接アドバイスするような仕組みにした方が、区民から見て教育機構としてもすっきりした体制になると答えています。私はこれを読んで驚きました。教育委員会を廃止し、教育行政は区長が担うことは、教育の執行機関からの独立の原則を破るものです。教育基本法第十条は、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。」、第二項「教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」とうたっています。明らかに法律にも違反しています。許されない見解であり、撤回を求めるものであります。  三十人学級は既に四十二道府県で実施され、来年度さらに広がろうとしています。どうも取り残されるのは東京都だけになりそうな事態です。全国道府県への広がり自体、教育効果を物語っています。  実施されている鳥取県では、担任の九六%、保護者の八一%が「大変よい」あるいは「よい」と回答、担任からは、子どもの学習理解度を把握しやすく、理解不十分な子により多く支援できた、保護者からは、心の安定、落ちつきが感じられるという意見が、総じて多く寄せられているということです。  山形県では、小学校全学年で三十三人以下学級を実施、各学校での共通点は、欠席の減少、読書の増加、保健室利用の減少ということです。  また、日本教育学会代表の桑原敏明筑波大学副学長は、学級規模二十五人前後を境に教育効果は大きく変わる、学級定員の規模を二十人程度とすべきだと述べています。  平成十五年十二月に出された杉並区学校適正規模検討会でも、学習指導では、二十人台の学級に比べ、三十五人前後の学級ではきめ細かい指導ができにくいと指摘されていると述べています。三十人学級についての教育効果についての見解と、都に実施を求めるのか求めないのか。前段の解説は省いて、端的にはっきり答えていただきたい。  私は、昨年の決算特別委員会で、区長の区政運営の基本姿勢について質問しましたが、重大なことであり、再度問うものであります。改革とは、方針や施策を変えることであり、区民や議会の理解と納得が当然必要です。時間もかかります。それを、改革は一気にやる、時間をかけると抵抗勢力が生まれる、一気にやれるかどうかが成功のかぎという姿勢にまだ固執するのでしょうか。抵抗勢力とは一体何を指すのか。首長の姿勢として、こういった考え方は認められません。明確な答弁、同時にこの考え方は撤回をすべきであります。  最後に、都区財政調整問題で質問します。  都区財政調整に係る主要五課題について、都区間の財源配分をめぐる重要課題として都区間で協議することを都区協議会で確認し、二〇〇二年三月、大都市事務検討会、清掃関連経費検討会、小中学校改築等検討会が都区間で設置され、この二年間検討が進められてきました。しかし、どの問題をめぐっても意見の隔たりは大きく、協議は難航をきわめています。とりわけ、昨年五月の第五回大都市事務検討会で都が新たに大都市行政という概念を持ち出したことにより、協議は一層膠着状態となっています。  二〇〇五年中の決着という期限を前に、区側は不退転の決意で都区協議に臨むとして、区長会、議長会合同で行動計画を決め、さきの第四回定例議会では、杉並区を初め大半の区議会が、主要五課題の早期決着を求める決議を行っています。都のやり方はまさに理不尽の一語です。地方自治法改正の国会の質疑の中で、政府委員は、特別区の存する区域を通じて一体的に処理することが必要かどうか、必要であると認められる事務に限って都が限定的に事務を担当する、特別区はそれ以外のものを一般的に行う、こういう考え方でございますと、わざわざ「限定的に」ということで答えています。あくまで都が共通的に行う事務は限られていることを示し、都区財政調整の財源は二十三区のものであることを一方で明らかにしていると私は考えます。  さて、もう一つ重大なことは、府県としての都の役割をあいまいにしながら、大都市特有の行政課題に対応する事務は大都市事務であるとして、府県事務や特別区の区域では府県事務として行うべき政令指定都市の事務まで大都市事務に含めていることです。石原都政は、府県として都民の暮らしを守る高い行政能力を発揮すべきにもかかわらず、大型開発に巨額な税金をつぎ込み、都民生活をないがしろにしています。その上さらに大都市行政の概念を持ち込むことによって二十三区の財源を吸い上げ、さらに開発につぎ込もうとしています。二十三区は最後まで力を結集し、まさに不退転の決意で対処すべきです。今までの経過の概略を示していただきたいことと、都に屈せず財源と自治権を守り抜く決意を述べていただきたい。  以上で私の質問を終わります。 ○議長(今井讓議員) 理事者の答弁は休憩後とし、ここで午後一時五分まで休憩といたします。                   午後零時〇二分休憩                   午後一時〇五分開議 ○議長(今井讓議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。
     理事者の答弁を求めます。  区長。      〔区長(山田 宏)登壇〕 ◎区長(山田宏) 山崎議員の代表質問にご答弁申し上げます。  まず、憲法第九条等についてでございますけれども、憲法は国の最高法規でございますので、当然尊重すべきものと考えております。ただ、憲法に改正条項が規定されているということを考えれば、九条も含めて、未来永劫変えてはならないというふうには考えておりません。  次に、太平洋戦争とおっしゃいましたけれども、いつからいつが太平洋戦争なのか、大東亜戦争のことなのか、日中戦争も入っているのか、その戦争のどこからどこまでと言わないと、その判断はすることはできません。  また、聖戦だったか侵略戦争であったかとおっしゃいましたけれども、聖戦とは何か、侵略とは何か、この辺も定義をきちっと明確に定めてもらわないと、判断しようがないと思うんですね。これは感傷論で言うことではなくて、戦争の判断ですから、やはりきちっと、共産党らしく定義をはっきりさせていただきたいと考えております。(笑声)  次に、定率減税の廃止の影響についてのご質問でございますが、政府は、日本経済の回復とともに、中期的な観点から持続的な経済成長を目指す時期に来ているものと判断し、定率減税を段階的に廃止する方針を決定しております。私は、こうした減税措置の縮減、廃止を行う場合は、三位一体改革に伴う税源移譲とあわせ、国と地方と通じた個人所得課税に関する税制の抜本的な見直しを行い、個人の所得環境の変化に対する不安を払拭していくことが必要であると考えておりまして、そういう立場に立って、区長会を通じて、必要な場合は国に申し入れたいと考えております。  それから、区民の暮らしと予算編成についてのご質問でございますが、区民福祉を向上させていくためには、区政の経営改革に取り組み、改革によって生み出される資源を新たな施策に戦略的に投資していくことが重要と考えております。地域経済はいまだ厳しい状況が続いており、先行き不透明感も否めない状況でありますが、経営改革を一層推進するとともに、都市型多機能拠点の整備や、二十四時間安心ヘルプ事業など、福祉基盤の拡充を図り、区民の安心を支えるセーフティーネットの役割を果たしていくため、二十四時間三百六十五日安心の区役所サービスの実現を目指した予算編成としているものでございます。  また、そのためにも区民の声を反映させていくことが大切であると考えておりますので、区が毎年実施をしておりますコストや成果志向の観点から、行政評価の実施、また、ご指摘のような区民意向調査や各種調査を初め、日々寄せられる区政についての意見、要望などを踏まえた、必要な事業の拡充や改善、施策の見直しや再構築を行い、区民の声を予算に反映させていくための仕組みを講じているところでございます。  保育料と家庭ごみの有料化についてのお尋ねですが、保育料については、個別外部監査でも指摘されているように、認可保育所運営にかかるコストを考慮すれば、利用者の受益と負担の関係や、保育所を利用している区民と利用していない区民との公平性の観点から見て、課題があると考えます。このようなことから、今後、保育サービスのあり方全体を検討していく中で、認可外保育施設を含めて、保育料のあり方についても検討してまいりたいと存じます。  また、家庭ごみの有料化については、ごみ半減プランの中で、検討すべき今後の課題と位置づけております。  次に、セーフティーネットや生存権、福祉の基盤をつくるための施策の充実に関するお尋ねですが、昨年策定したすぎなみ五つ星プランにおいては、二十四時間三百六十五日の安全・安心を目標の一つとして挙げ、すべての人が住みなれた地域の中で安心して自立した生活が送れるよう、福祉サービスの基盤整備などを着実に進めていくこととしています。これは、区が区民福祉向上に責任を持ち、社会経済環境や行政需要の変化に対応して、的確な行政サービスを提供していかなければならないという考え方に基づき、必要な人に真に必要なサービスを提供する責務を負っているとの考えに基づいて策定したものです。  もちろん、生存権の保障など、区民の生活を守るということは区だけでできるものではなく、国や都道府県の果たすべき役割もありますが、区は住民に身近な自治体として、必要な施策を充実していかなければならないと考えております。  また、安全・安心のための施策が果たす役割に関してのご質問がございましたが、安全・安心のための施策が、高齢者福祉や教育、さまざまな経済活動等の基盤になっているものであり、この部分が揺らいでしまうとマイナスの影響が出てくると考えており、そうした基盤をきちんと整備していく必要があると認識しております。そのことを踏まえて、各分野における個々の施策については、それぞれの必要性に応じて計画的に進めていく必要があると考えております。  十六年度予算編成方針の中で述べた公務労働に関連してのお尋ねですが、地域では、コミュニティ組織を初め、ボランティア、NPOなど、多様な公共サービスの提供主体が存在し、それぞれの分野で公共サービスを支えるものと認識をしています。こうした多様な公共サービスの提供主体が育っている現状の中では、地域における区民サービスを担うのは行政だけではないということ、そして、NPOなどの公共サービス提供主体を重要なパートナーとして協働し、連携して新しい公共空間を形成していくことが必要であると考えております。そのような趣旨で、十六年度予算編成方針では、区民サービスを行政だけで提供していくことは限界であると申し上げたところでございます。  学童クラブの運営委託に関するお尋ねがございましたが、昨年三月に受託法人から辞退の申し出を受けるに至ったことについては、区としても真摯にこれを受けとめ、その原因等について検証に努めてまいりました。委託先を区内NPO法人に限ったことにより、結果として法人選定の選択肢を狭めてしまったこと、法人選定や選定後の引き継ぎに十分な時間的ゆとりが確保できなかったこと、あるいは法人に対する区の助言や指導が十分ではなかったことなどが挙げられますが、それらを十分踏まえた上で、現在、平成十八年度の二学童クラブ委託の準備を進めているところです。  職員配置のお尋ねがございました。区では、本来行政が実施すべき仕事なのか、民間が実施することがふさわしいのか、だれが公共サービスを提供するかについて検討した上で、行政が実施すべき事業については、必要な部署に必要な人員を適正に配置しているところでございます。例えばこの十年間の人員配置を見ると、保健師は六十三名から七十名に、またケースワーカーは二十九名から四十八名にそれぞれ増員しており、また、生保受給者の増大を抑制するため、専門的立場から就労指導を行う就労支援専門員を非常勤職員として福祉事務所に配置するなど、必要な部署には必要な人員を配置しております。  ケースワーカーの設置についてのお尋ねでございましたが、区では、毎年ケースワーカーを増員してきております。しかしながら、被保護世帯の急激な伸びもあり、一人当たりの担当世帯数は、八十世帯を超えている現状にあります。このため、平成十六年度より就労支援専門員を雇用して、ケースワーカー業務の軽減を図ってきたところであり、さらに、十七年度にはその増員のほか、民間事業者による一貫した自立支援プログラムの導入や、社会保険労務士による資産調査の実施などにより、多様な社会資源を活用した生活保護業務の強化に取り組んでまいります。  職員の病気休暇取得者のご質問でございましたけれども、病気休暇取得者を疾病別の内訳で見ますと、神経系が若干増えておりますが、これは社会全体の傾向であると考えております。その背景には、社会全体として言えることは、時代のスピード化、コンピューター化など大きく影響しているかと存じます。このような事態を改善するため、心療内科医と心理カウンセラーによる健康相談体制の充実、メンタルヘルス情報の提供やストレスチェックの実施などにより、職員の心の病の予防や対処を図っております。  それから、「ガバナンス」という雑誌の取材の、教育委員会についての内容についてのお尋ねにお答えいたします。  私は、取材に対して、現在の教育委員会制度は、人事権は都道府県、予算提案権は首長部局にあって、中二階的状況に置かれており、行政機構としても、また区民への責任という面でも、見直しが必要な制度であるという認識を述べたものでございます。しかし、問題は国民的議論の中で決定すべきことであるということも承知しており、取材の中でも、まずは現行制度の中でできる限りのことをやっていく必要があるというふうに答えたところでございます。  それからまた、私の「一言申しあげます。」の著書から出していただいたことなんですけれども、行財政改革の基本姿勢についてのお尋ねでございますが、社会経済の変化が激しい時代においては、行財政改革を進めるに当たってのスピードが必要と考えます。改革に時間をかけていては、その改革が時代遅れになりかねません。私が著書の中で、例外なく一気にやることが肝要だと述べていることは、改革のスタンスについて、聖域をつくらずに改革を検討する、そして、改革すべきであると判断した事業については例外をつくらないという考え方で改革を進めるということを申し上げているものでございます。  このことと説明責任をきちっと果たすということとは全く次元の違う問題であり、私は区長就任以前から、区民に説明する際には、丁寧に、そしてわかりやすく説明することが大切であり、説明責任を果たすことが政治家の責務であるという認識に基づいてこれまでも行動してまいりましたことを申し上げておきたいと思います。  それから、都区財政改革についてのご質問でございますが、この部分についてはぴったり意見が合っております。都区制度改革に関する主要五課題につきましては、これまで、それぞれの課題ごとの論点や基本認識を中心に都と協議してまいりましたけれども、いまだ都区双方の基本的認識が一致しておりません。主要五課題の解決は、特別区の財政自主権の確立とともに、新しい都区関係を構築するものでございます。限られた時間の中ですが、改正自治法の趣旨にのっとり、地方自治体としての行政責任を果たしていくため、不退転の決意で今後の協議に臨んでまいりたいと存じます。  私からは以上でございます。 ○議長(今井讓議員) 教育長。      〔教育長(納冨善朗)登壇〕 ◎教育長(納冨善朗) 教育委員会関連のご質問にお答えをいたします。  まず、予算編成方針の、個の尊重についてのお尋ねにお答えをします。  個の権利や自由の尊さを浸透させてきたことは、戦後六十年の教育の成果であると考えておりますが、反面、自由や権利には責任と義務が伴うという点が、必ずしも教育において徹底されてきませんでした。そのことが公共の精神の涵養の不十分さを招き、地域や国等、社会への貢献、公共心、規範意識などの低下をもたらしていると言えると考えております。  子どもは、自分のためばかりでなく、他者や社会の役に立とうという気持ちや意欲が高まってきたとき、学ぼうとする力や学ぶ力が向上し、より学習に身が入ると考えているものでございます。  教育基本法の評価についてでございますが、戦後日本の教育の基本を確立するという歴史的な使命を負った法律であると認識をしております。  次に、少人数学級のご質問にお答えをいたします。  教育効果でございますが、子どもたち一人一人の個性と能力を大切にしたきめ細かな学習指導を行う点では、一定の効果があると考えておりますが、反面、体育や音楽などの集団活動においては、規模が小集団になり過ぎる場面もありまして、課題があるものと認識をしております。そのため、本区におきましては、学級活動のすべてを少人数にするのではなくて、四十人学級を前提にしながら、教科に応じて学習集団を二つに分けて、二人の教員で指導したり、二人の教員でティームティーチングをしたりする少人数指導を、加配教員やフレッシュ補助教員を配置し、実施をしているところでございます。  都に対する要望でございますが、少人数指導等に対する加配措置につきましては、これまでに引き続き要望してまいりますが、三十人学級については要望する考えはございません。  以上でございます。 ○議長(今井讓議員) 三十五番山崎一彦議員。      〔三十五番(山崎一彦議員)登壇〕 ◆三十五番(山崎一彦議員) いろいろご答弁をいただきました。予算特別委員会という場もありますので、幾つかの問題点について再質問をさせていただきます。  太平洋戦争をいつからいつまで、どこからどこまでというようなことがあったんですが、一年前に、日露戦争百年というこの問題の質問については、区長は明確に、ソ連の東進南下、日本の存亡の危機、やむを得ず開戦に至った、祖国を守る戦争であったと思うと。これは、いつからいつまで日露戦争があって、それで日露戦争に対する区長の歴史観というか、これが示されているわけですけれども、そういう意味では、どうなんですか。いわゆるあなたの考える太平洋戦争、あなたは大東亜戦争と言うかもしれませんけれども、この見解をもう一回述べていただきたいと思います。  それから、公共空間が広がって選択肢が増えているということで、しかし、公共空間が広がって選択肢が増えている、その選択肢というのは具体的に何を指すのかというのがいまだに私はわからないし、その選択肢を実現するためには、公務労働は限界があるというのを今も区長はお答えになったんですけれども、どんな限界があるんですかね。ここのあたりがさっぱりわからないのが現状なので、もう一度ご答弁をいただきたいと思います。  それから、NPOのいわゆる民間委託、このとんざについては、選択肢を狭めたことが原因ではないかというような答弁があったんですが、私は、区から出すお金が少ない、これがやはり一番の原因ではないかと思うんですけれども、そのあたりはどうなのか、再度聞いておきます。  それから教育の問題、「ガバナンス」の件についてご答弁をいただいたわけですけれども、確かに今の教育行政というのは、区長部局との関係なども含めて矛盾はあるんですよね。人事権もそうですし、それから教育委員を任命する場合にも、区長がぼんと出してくる。これ自体は矛盾ですよ。しかし、この矛盾は矛盾で解決をしていく、そういうことと、区長部局と一体にするということは全く違う話だと思うんです。  この「ガバナンス」でも、あなたが本当にこういうことを言ったのかどうかあれなんですけれども、いわゆる常設の教育諮問会議などを設置する、区長に直接アドバイスするような仕組みにするということで、結局、これも教育委員会を廃止するということにとれていくわけですけれども、やはり分けて考えなければいかんと思うんです。そういう矛盾があるから教育委員会をなくしていいということは全く違う話なので、もう一度そのあたりを整理して答弁をいただきたい。  それから、教育委員会に最後に少人数学級、三十人学級でお聞きするんですけれども、そうすると、率直に言って三十人学級の教育効果は認めてない、こういうことで理解をしていいのかどうか、端的にそのことについてお答えをいただきたい。  以上で終わります。 ○議長(今井讓議員) 理事者の答弁を求めます。  区長。      〔区長(山田 宏)登壇〕 ◎区長(山田宏) 山崎議員の再度のご質問にご答弁申し上げます。  まず、太平洋戦争というのは、あなたの考える太平洋戦争と言われても難しいんですけれども、仮に昭和十六年、一九四一年十二月八日の真珠湾から始まり、昭和二十年の八月十五日に終わる、この期間の、主にアメリカを対象にした日米戦争、ほかのヨーロッパ諸国も、イギリスやフランスもオランダもございましたけれども、いわゆる連合国を相手とした戦いについては、ここに至るまでのさまざまな経緯があるわけで、先ほどお話ししたとおり、聖戦であるか侵略であるかというのは、定義をはっきりしておかなければならない。  ですから、そういうような言葉で判断するのではなくて、一連の戦争をずっと見たときに、日中戦争も含めて、いろいろなところで愚かな判断があった。愚かな判断と、そして非常に悲惨な結果をもたらした戦争であるというふうに私は考えております。ただ、それがどんなものかということについては、いろいろ事実を踏まえながら、今後、後世の歴史家がその判断をしていくべきというふうに考えております。  それから次に、公務労働のことなんですけれども、サービスが多様な選択肢が広がっている。なぜ広がっているかというと、住民の要望というのが非常に多岐にわたり、また個別のものになってくる。これは、先ほどもお話ししたとおり豊かさの一つの姿なんですね。これに、さまざまな住民要望にこたえていくサービスをつくっていかなきゃいけないと考えたときに、これを税金で公務員が全部やるということには限界があると申し上げているわけです。  どういう限界かというと、まず、どこにどういうものまでかはっきりわからない。わからないから、それに対応することまで、きちっとした適切な対応ができるかということまでやはりできない。そういう中で、そういう分野をNPOとかまた社会福祉法人とか、いろいろなものがそういう要望に敏感にこたえていくということで、これからの公共サービスというのは、協働で担っていくということが大事だというふうに考えております。全部公務員でやっていたら、コストはべらぼうにかかってくるということで、ほかの施策が今度へこんでしまうということもあって、限界ある財源の中でやっていくには、私はそういう方法が適切であるということを、サービスが選択肢が広がっている公務労働については一定の限界があるということを申し上げたところでございます。  それから学童クラブについて、予算が少なかったからこういうことになったんじゃないかということなんですけれども、一定の予算の中で、今申し上げたように申し込める法人の範囲をもう少し広げたりしていけば、もっといろいろとコスト面でも工夫ができる法人等が参入できたのではないかというふうに私は考えております。  それから、「ガバナンス」の教育委員会に関する記事ですが、山崎議員のおっしゃられることも理解できます。それは教育委員会を理想に向かって直すべきものを直すということもあり得ると思いますけれども、そもそも現在の制度は、国の文部大臣でも、国の文部大臣は政党から出ているわけですね。ですから、教育の中立性とは言っても、教育委員会の大元締めの大本山が政党政治家がやっているわけですね、今の日本の憲法では。そうすると、憲法を変えなきゃいけない。  そういうふうになっているというような状況の中で、現在の教育委員会制度というのは、特に区市町村は、文部省の支配の一つの道具になっている可能性が私は非常に高いと思っているんですね。そういう意味で、より住民に近づけたものにしていくためには、教育委員会をどうしていくかというのは、改革案をまたお聞きしたいところでございますけれども、私は、今の教育というものは、住民に近いところでやる教育については、もっと見える形でやっていった方がいいんじゃないか。仮に一つの案としては、教育委員会を廃止して、そして区長諮問会議みたいなものをつくって、そこでいろいろな提案をしてもらう。もちろん公平性とか中立性というものについては、仮に第三者機関をつくって、教育の監視委員会みたいなのがあって、そしてそこからいろいろと、何かあれば勧告する、そういう制度でも、私は、文部省のいろいろな支配の道具になっているよりはましだというふうに思っているんですね。  そんなことなども含めて、今後いろいろな論議を踏まえていこう、当面は今の制度の中でできる限りのことをやろう、こういうことでございますので、ご理解いただきたいと思います。 ○議長(今井讓議員) 教育長。      〔教育長(納冨善朗)登壇〕 ◎教育長(納冨善朗) 三十人学級の効果に関する再度のご質問にお答えいたします。  私ども、三十人程度で固定せずに、教科ごとに、また発達段階に応じた指導ができる仕組みをつくっていく方がいいと考えておりまして、今、現実問題として、算数、数学等の少人数指導は、一クラス五、六名程度の指導もしている場合がございます。今申し上げましたように、教科また発達段階に応じたきちんとした措置を講じていくような、その措置を教育の条件整備として進めていくことが、学校現場における教育がより深まるというぐあいに認識を持っておりますので、先ほどお答えしたように、三十人学級についてはご要望をしませんということでございます。  以上です。 ○議長(今井讓議員) 民主党杉並区議団代表、三十七番門脇文良議員。      〔三十七番(門脇文良議員)登壇〕 ◆三十七番(門脇文良議員) 民主党杉並区議団を代表いたしまして、平成十七年度予算と区政を取り巻く幾つかの課題について質問をいたします。  項目といたしましては、経済動向と地方分権について、行政改革と新たな人事制度について、いわゆる教育改革について、以上三つのことを中心にお伺いをいたします。また、幾つかの細かい施策についても、簡略に質問をいたします。  なお、代表質問も五番目でございますので、重複する部分についてはできるだけ割愛をして質問をいたしますけれども、お許しをいただければ幸いでございます。  我が国の景気、経済の動向は、大企業の業績を中心として回復の流れが見え始めていることは事実でございますが、本質的に、残念ながら売り上げ増加による本来の営業利益のアップというところまでは、営業利益によるものはそう多くはありませんし、企業も、資産の売却やそれから大幅な人員整理、リストラ等によって何とか数字を調整しているのが現実である部分が多くあります。  また、景気、経済の大きなポイントになる、あるいはGDPのかなりの部分を占めている、六割程度だと思いますけれども、いわゆる個人消費の伸びについては、依然として厳しい状況にあることはご承知のとおりでございます。閉塞感のあるこのような情勢の中で、これからの景気、経済の中長期的展望をどのように予測をし、そしてそれらのことから区財政に対して何を期待しているか、まずお伺いをいたします。  昨年の一年間、特に後半において、新聞やテレビでいわゆる三位一体改革について報道、放映がされなかった日はないように思います。区長が、予算編成方針や説明書あるいは記者会見の資料の中でも、そのことについては詳しく触れられていますけれども、どうもこの三位一体改革については、どちらかというと国と都道府県との関係の見直し、具体的に申し上げれば、補助金であるとか、あるいは地方交付税交付金、これも市町村も大きくかかわってきますけれども、その交渉主体が特に国と全国知事会ということもありまして、どうしてもそのような印象が強くありました。  もちろん、それはそれでとても大切なことではありますけれども、私たちが真剣に考え、そして議論、論議をしなければならないことは、むしろ国と都道府県との関係よりも、都道府県と区市町村との業務分担あるいは仕事の線引き、役割の見直しではないでしょうか。つまり東京都と二十三区、あるいは東京都と杉並区との業務分担、仕事の役割の見直しということでございます。  区長は、現在までこの三位一体改革の全体的な評価をどう考え、これからどのような思いを持ってこの改革にかかわっていくのか、既に答弁のあった内容もありますけれども、その方向性をお示しいただきたいと思います。  同時に、今後の都区制度改革の中で、杉並区として重点主張事項というものは一体何なのか。もちろんこれは区議会の議長会の部分もありますけれども、特に杉並区として、あるいは二十三区の区長会としての要望事項、主張事項というものについてお示しをいただきたいと思います。  また、これは難しい表現になってしまうのですけれども、あるべき東京都と二十三区、そのワン・オブ・ゼムである杉並区との関係を今後どのようなイメージで構築をしていこうとお考えになっているのか、あわせてお伺いをいたします。  今お尋ねしたこととも関係をいたしますけれども、ことしの夏、ちょっと六月か七月か忘れたんですけれども、オープンが予定をされている、まだ仮称だと思いますが、いわゆる自治会館のことについてであります。  今までは、通称「九段」などという表現を使っておりましたけれども、どうもこの組織というか、会館の組織の、人事も含めてですけれども、位置づけがよくわかりません。幾つかの組織、団体が入居するわけですけれども、基本的には二十三区が、議長会であったり、それから区長会であったりするわけですけれども、その運営を主体的に行っているのに、例えば人事についてもそうですけれども、時としてというか、どちらの方向を向いて一体仕事をしているのかわからなくなる部分が多くございます。  私自身の経験を一つだけ申し上げれば、かつて区議会の総務財政委員長を担当させていただいたとき、二十三区の総務財政委員長会に何度か出席をいたしました。そのときに、いわゆる事務方の責任者でありますけれども、この方は東京都から、間違っていたら申しわけないんですが、いわゆる天下った方のように記憶をいたしております。具体的なそのときの項目については省略をいたしますけれども、どうも二十三区に対して東京都の側で物を言っている、圧力をかけてくるといったことがございました。これは私が所属をしている政党の考えだけではなくて、当時、総務財政委員長会はほとんどが自由民主党出身の委員長さんでございましたので、そのとき、そのほかの委員長さんともお話をしましたけれども、全く同様のことをおっしゃっていたことをよく覚えております。この感想については、ここにいらっしゃる皆さんも、そう違ったことを思っているとは思いません。  先ほども申し上げましたけれども、これから本格的な、あるいは本質的な意味での地方分権を進める、つまり、それは国と都道府県との関係ではなくて、それも重要かもしれませんけれども、都と区の、東京都と杉並区との制度改革を進める上で、大変に重要なことと思います。新しく高層の自治会館ができることは、一般的に申し上げればよいことかもしれませんけれども、何か基本的な地方分権の推進とは異なっているような気がいたします。  そこで、この新規オープンが予定をされている自治会館について、会館そのものということではもちろんございませんが、組織や人事のことについて、ハード、ソフト両面でどのようなことを期待しているのか。私は、これは大変重要な問題だと認識をいたしておりますので、お伺いをいたします。  次に、区長の考えるあるべき真の地方分権の姿とは何か、また、道州制のイメージについてどのようにこれから展望していくのか、お尋ねをいたします。  このことについては、既に今までの答弁の中でも触れられておりますし、あるいは道州制の導入については、私自身、昨年の代表質問でも提起をいたしておりますので、そのポイントをお答えいただきたいと思います。  正直なところ、現状では、具体的な議論が活発に行われているということではありませんけれども、この問題については、第二十八次地方制度調査会、及び民間団体ではございますけれども、二十一世紀臨調の中でもメーンテーマの一つとして取り上げられておりますので、この機会に、山田宏区長の先進的な、先駆的な考え方をお示しいただければ幸いでございます。  二つ目の大きな項目は、行政改革と新たな人事施策について何点かお伺いをいたします。  我が杉並区も、過去から行政改革については先進的に取り組み、また、多くの、他区に誇れるような、他自治体に誇れるような実績を残しておりますが、特に山田さんが区長に就任以来、そのスピードというか、改革の質量ともに向上、加速をしてきていると思っております。確かに現場で働く皆さんからの声には、これは余り外に出ない場合もありますけれども、その声にはシビアなものもあるようではありますけれども、厳しい財政状況や多様化する区民の皆さんからのニーズを考えれば、このことは避けて通ることのできない問題ではないかと思います。  民間企業でも同様でありますけれども、例えばリストラにしても、もちろん本来であれば、そのようなことを会社がしなくても組織が維持できることが大変望ましいことはわかっておりますけれども、このリストラも、受ける側は、家族や、あるいは具体的な例で申し上げれば住宅ローンのこともあり、大変なことでありますけれども、それを命じる側はさらに苦しい思いをしているという感覚も理解をしなければなりません。私の民間企業での経験でも、全くそのような状況でございました。公務員の場合は、その対象となる基礎数値、つまり売り上げやあるいは利益がないだけに、ある意味、民間企業よりも複雑な思いかもしれません。  そこで、まず一般論として、行政改革を進める過程で現在困難な問題点は何か。また、その解決に向けての方法をお示しいただきたいと思います。  言うまでもなく職業に貴賤はありません。清掃業務は、よく言われるように、その困難性、特殊性、そして危険性も、すべてではありませんけれども、私自身もよく理解をしているところであります。  反面、比較することに意味があるかどうかわからない部分もありますけれども、例えば朝の出来事というか風景の中で、目の前で何台もの民間のごみ収集車が作業をいたしております。区の清掃車よりも一回り大きい、色はブルーで同じような色ですけれども、一回り大きなサイズであります。運転している人が車をとめ、そしておりてきて、主としてもちろん業務系ごみでありますけれども、これを積み込み、そしてまたその方が運転をし、次の場所に車を走らせています。つまり、この作業を一人で行っております。この人たちの年収は一体どのくらいなんでしょうか。私は現在のところ調べておりませんから、ここでお示しをすることはできませんけれども、私も長く続いてきている人事や賃金制度のことを指摘するのであって、その職員個人を問題視するものでは全くありません。しかし、年収一千万円を超える賃金を得ている職員がいることについては、区長はどのように思われるでしょうか。年収一千万円を超えるというと、私もはっきりしたことは申し上げられませんけれども、部長もしくは部長級の年間給料にほぼ匹敵する数字ではないでしょうか。身分切りかえを控え、清掃職員の賃金体系の現状と今後の方向性を明らかにしていただきたいと思います。  それに関連をいたしまして、現業職員に限らず、広く区長の人事管理の基本的な考え方はどのようなものでしょうか。  また、地方自治体もこれからは競争原理を積極的に取り入れていかなければならないと思いますが、いかがでしょうか。  このことについても昨年少し触れていますし、抽象的な表現で申しわけありませんけれども、逆に言えば、これからの杉並区政、あるいはその具体的な施策としての人事と組織運営の根幹的なことでもありますので、お答えをいただきたいと思います。  山田区長は常に、住民の皆さんにとって身近な仕事は身近な自治体で、つまり自治体ではありませんけれども、国よりも都道府県、都道府県よりも区市町村ということ、それから、先ほどの答弁や質問の中にもありましたけれども、民間企業でできることは何も役所がやっている必要はない、積極的に民間に任せるべきだと言われております。私も、私が所属をいたしております民主党区議団も、全く同様の考え方でありますし、効率的な、そして質の高い行政サービス、区民サービスを提供する、あるいは他の自治体より住みやすい環境での杉並区を創造していく上では、避けて通れないということであります。  しかし、残念ながら、先ほども一部申し上げたように、国や都では、その原則ということを理解していないようであります。というか、実は理解をしているんだけれども、わかっているんだけれども、とにかく中央官庁を中心として、これは東京都にも言えることでありますけれども、権益を守りたい、あるいはそのステータスを維持していたいという思いから、聞く耳を持たないというのが現状ではないかと思います。  それはともかくといたしましても、先ほど申し上げたとおり、現在区が行っている業務で、民間にこれからお願いをしなければならない最も必要性の高いものはどのようなことであるでしょうか。また、その今後のスケジュールの日程についても、お示しをいただきたいと思います。  ところで、アウトソーシングが進む中で、残念ながら賃金や労働条件をめぐりトラブルが発生をするケースが多くなってきております。このことについては、もちろん好ましいことではありませんけれども、今後も増加していく可能性が高いものと思います。民間企業同士でしたら、そう大きな問題になることもありませんけれども、例えば、先ほど申しましたように清掃事業の今後の民間委託が予定をされているとき、あるいは学校給食等も積極的に民間委託が進んでいる中で、そしてこれは新しい年度の計画だったと思いますけれども、図書館の業務についても民間委託を進めていこうというときに、区としての責任というか、対応も十分に考えておかなければなりません。それは委託先の問題だから区は直接関係ないんだということでは、業務そのものが停滞をしてしまいますし、そのことが、あえて申し上げれば、区民の皆さんへのサービスを阻害する大きな原因にもなりかねませんので、委託先の労働条件問題だから区は関係ないと区民には説明できないと思いますので、そのことについてお伺いをいたします。  この項の最後に、雇用創出について質問をいたします。  言うまでもなく雇用の拡大、あるいは例えば有効求人倍率のアップ、失業率の問題などは、一つの地方自治体で解決できることではありませんけれども、我が杉並区といたしまして、改正された雇用対策法、あるいは職業安定法の趣旨を踏まえて、お考えがあればお示しをいただきたいと思います。  それから、区内で働く多くのパートタイマーの皆さんの現状についてはどのように把握をされているのか、おわかりの範囲で結構でございますけれども、お答えをいただきたいと思います。
     次に、教育改革について大きく三点についてお伺いをいたします。  教育は国家百年の計と申します。教育とは、国が繁栄するかあるいは衰退するか、まさに国家の存亡にかかわる重要なものであります。教育によってどのような人を育てていくかということは、すなわちこの国が、国家がどのような方向に動いていくかということを決定することでもあります。  甲斐の名将武田信玄は、「人は城、人は石垣」と言ったと伝えられておりますけれども、まさに人は国家、そして社会の主体であります。人を動かすのは山を動かすよりも難しいと言われた方もいらっしゃいます。そして同時に、社会の質を左右する重要な要素でもあります。国が発展していくための目標を定めても、教育を基本とした人づくりを進めなければ、その目標達成は到底困難なものになってしまうでしょう。教育が国家の前途を決定していくという根源であるということは、我が国のみならず、諸外国においても熟知されているところであり、各国がそれぞれの教育改革を推進し、国力の源泉を開発することによって国をさらに発展させようと、体制の違いはあるものの、おのおのの国が、国家が努力を続けているところであります。  一方、平成十四年度以来、我が国の義務教育も完全週五日制時代を迎え、いわゆるゆとり教育が提唱されてきたところですが、国の考え方はこの間やや揺らぎ、ぶれがあるように思わざるを得ません。文部科学省は、現行の学習指導要領を告知した数年後には、早くもその一部を訂正いたしました。また、先般のOECDの学力調査結果から我が国の子どもたちの学力低下が指摘されると、これまでの総合的な学習よりも、基礎あるいは基本的な事項の徹底が重要ではないかとの考え方に立ち、各自治体が土曜日の授業を行うこともよしとする見解を示しております。  このような教育を取り巻くさまざまな動向の中で、今回、山田区長が杉並区の教育に力点を置いた独自の施策を展開しようとお考えになられたことは、まことに私自身、意義深いものがあると考えております。私は、子どもたちの輝くひとみの中に、まなこの中に、私たちの未来を見るものでございます。まさに教育こそが杉並の未来を、そして日本の未来をつくるものであると思います。  そこで、既に部分的に答弁があった質問もありますけれども、お伺いをいたします。  区長は、ことしを教育立区元年と位置づけ、区政に取り組んでいかれるとのお考えでありますけれども、杉並区の教育理念というものはどのようなものか、お示しをいただきたいと思います。  次に、いわゆる学校力の強化についてお伺いをいたします。  区長は、教育委員会が進める教育改革について支援するとおっしゃっていますけれども、具体的にはどのような項目、ポイントでそのことを実現するのか、お伺いをいたします。  次に、この項目の最後でありますけれども、区独自の教員育成及び採用を目指している、何回か質問にも出ましたので恐縮でございますけれども、杉並師範塾についてお伺いをいたします。  師範塾を設立することによって、現行の教員採用制度では解決し得ないどのようなメリットがあるのでしょうか。その構想及び設立趣旨について改めてお伺いをいたします。  次に、幾つかの細かい内容について簡潔にお伺いをいたします。  なお、冒頭申し上げたとおり、区長の予算についての基本的な考え方などは、概要説明書及び記者会見等の資料に記載をされております。つまり、その内容が平成十七年度予算のポイントになっているわけですけれども、このことは、それを読むことによって理解ができておりますので、あるいは周知がされておりますので、主にそれ以外のことについて、簡略に内容項目を挙げて質問をいたします。  まず、子育てサポートの拡充についてお伺いをいたします。  杉並区も今日まで、他自治体と比較をしても、積極的にいわゆる保育施策に取り組んできておりますけれども、いろいろな困難な原因があるにせよ、待機児童の解消は実現をいたしておりません。もちろん子育てサポートの視点は、この問題だけではなく、一時保育、延長保育、あるいは駅前保育の拡大などを進めることも大変重要でありますし、父親も子育てができるような環境整備を民間企業と連携しながら創出をしていくことも必要と思います。総合的に考え、対応しなければなりませんけれども、特に待機児童解消に向けての基本的な考え方と行動計画についてお示しをいただきたいと思います。  次に、障害者の就労支援について質問をいたします。  景気の動向についてなかなか明るさが見えないこともあり、依然として雇用、就労の厳しい状況に変化はありません。もちろん、このことは障害者のことだけに限ったことではありませんけれども、その影響は一般的な勤労者、労働者に比べて大きいものがあることも、同時に間違いのないことであります。障害者雇用促進法など法律の整備もあり、少しずつではありますけれども、雇用、就労は確かに進んでおります。しかし、依然として全体的な、とりわけ知的障害者の皆さんの就労は困難な状況が続いております。また、その給料も月間で一万円、あるいは少ないところですと、一カ月働いても三千円とか五千円というのが現実問題でございます。先ほども述べましたとおり、雇用施策は一つの自治体だけで改善できることではありませんけれども、障害者の皆さんが明るく、そして生き生きと働くことができる職場と、そして仕事を確保するために、区としてどのような計画を持って推進をしていくのか、お伺いをいたします。  次に、河川のことについて簡潔にお尋ねをいたします。  杉並区には妙正寺川、善福寺川、神田川などがありますけれども、残念ながら、ごく一部の地域を除いては、心から親しみのある河川ということは言えません。河川の親水性の向上については重要な課題と考えておりますけれども、例えば下水道の分流化やろ過装置の導入をもって、大人も子どもも楽しめる河川の復活を望んでいますけれども、その具体的な方法についてお伺いをいたします。  次に、阿佐ケ谷住宅の建て替えの件でありますけれども、昨年、居住者の皆さんあるいは地権者の皆さん、近隣住民の皆さん、そして学識経験者から構成をされました成田地域まちづくり協議会が十二回にわたって開催をされ、そして報告書を提出され、終了いたしました。区が担当をされました事務局も含めまして、本当にお疲れさまでございました。  代表質問ですので、今日までの詳しい経過や報告内容については申し上げることを避けますけれども、いずれにいたしましても、全国的にも大変に注目をされている建て替え計画でありますし、同時に、今回その実施が仮に実現ができなかったとするならば、杉並区の中心に、余り表現はよくありませんけれども、ゴーストタウンが出現をしてしまう可能性すらあります。このような状況、情勢の中で、関係者の話し合いや意見調整がとても大切でありますけれども、その関係者の一人である杉並区のリーダーシップが、ここに来て特に重要になっております。建て替えの中止はあり得ません。その時間があるわけでもありません。区として指導性をこれからどのように発揮をいたしていくのか、お伺いをいたします。  最後のご質問であります。  北朝鮮による拉致問題について、区長山田宏さんはどのようにこのことをとらえ、その本質的な解決に向けてどんな行動が必要と思うかを、もちろん、直接的にはこのことについては区政の問題ではありませんけれども、区長もこのことについては大変に関心を持っていられると思いますので、所感についてお答えをいただきたいと思います。  今までのこの問題の経過や現状については改めて申し上げませんし、私たち民主党本部も対策委員会を設置し、その解決に向けて努力をいたしております。  その中でも、今まで忘れられない経験があります。小泉首相が訪朝を初めてされた数カ月前のことでありますから、今から二年近く前、一昨年の九月十七日に一回目の訪朝をされておりますので、それからさらに数カ月前のことでありますけれども、都内のあるターミナル駅で、私たちは、民主党でありますけれども、拉致被害者を一刻も早く救出しようと署名活動を行っておりました。これは一回だけの経験ではありませんけれども、何人かの方が、あなたたちは何の証拠があって北朝鮮が日本人を拉致したと言っているのですか、事実をねじ曲げた運動はやめるべきですといった内容の指摘を受けました。もちろん、当時も日本の警察庁は十人の皆さんについては拉致を事実として認定をいたしておりましたけれども、私たちは具体的な物証を提示しながら署名活動をしていたわけではありませんでしたので、明確に反論できなかったことも事実であります。私はその方に、大変失礼ですけれども日本の方ですかとお聞きしましたら、そうだ、日本人だと言われました。もしこれが在日の方でしたら、祖国をおもんぱかってそのような発言というか、会話をしたことも、私はある意味で無理からぬことだと思いますけれども、日本人の方が、私たちの運動について、事実をねじ曲げている署名活動は直ちに中止すべきだと言われたことは、大変残念なことでございました。その後、北朝鮮当局が拉致の事実を認めたことで世論が大きく変化したのは、皆さん方よくご承知のとおりであります。  偶然のことでありますけれども、私に声をかけた人が、先日テレビに出演をされておりました。そのとき気がついていたのですけれども、割と名前の知れた、いわゆる文化人と呼ばれている人物でございました。このことは、少し膨らませて申し上げれば、戦後日本の政治というか、民主主義にとって、そのような勢力からの発言やあるいは行動からどう呪縛を解き放していくか、重要な出来事ではなかったかと認識をいたしております。  国歌や国旗のとらえ方、あるいは自衛隊の問題、あるいは憲法第九条の問題についても、ある意味、この北朝鮮の拉致問題と同様な考え方でとらえることもできるのではないでしょうか。  以上、幾つかの項目について質問をいたしました。区長と教育委員会の積極的な答弁を期待いたしまして、民主党区杉並議団の代表質問を終わります。  ありがとうございました。 ○議長(今井讓議員) 理事者の答弁を求めます。  区長。      〔区長(山田 宏)登壇〕 ◎区長(山田宏) 門脇議員の代表質問にお答え申し上げます。  まず、経済見通しと区財政に関するお尋ねでございました。  政府の経済見通しによれば、中期的には世界経済の回復が期待される中で、企業の生産や設備投資が増加するなど、企業収益の改善を背景に、景気回復が雇用、所得環境の改善を通じて家計部門へと波及し、消費も着実に増加するなど、日本経済は緩やかながらも持続的に回復するものと見込まれております。  こうした中で、区財政の根幹である特別区民税については、区民所得の改善により微増傾向を示すものと推計しておりますが、一方で、生産年齢人口の逓減が見込まれる中、政策減税の廃止、三位一体改革による税制改正や財源の動向、さらに都区間の財源配分の確立など、区財政をめぐる環境は流動的で、決して楽観できる状況ではございません。区が自立した地方政府として強固な財政基盤を築いていくためにも、今後とも可能な限り歳入確保に努めていくとともに、経営改革に取り組み、行政のあり方を見直す中で、施策の再構築によるコスト縮減を図るなど、将来を見据えた財政運営を図ってまいりたいと存じます。  それから、三位一体の改革について、今回の議会はこの質問を何度もいただいておりますけれども、どういう思いを持っているのかということでございましたけれども、やはり国のまず数字ありきであると。内容は補助金削減なんだけれども、補助金の中の大きなものが、例えば今検討されているのは義務教育費国庫負担金だとか生活保護費だとか、削ろうにも削れないものを地方に任せて、自分には幾らでも自由になるお金を財布に残しておく、こういうような、地方の自立というものにつながらない、つまり三位一体改革の趣旨から外れた補助金削減というふうにはとらえております。  ただ、義務教育費の補助金の問題については、この間の議会でも申し上げましたとおり、私は、それを都道府県ではなくて区市町村に移すべきだと考えておりまして、区市町村に移せば、大きな意味がある。それは、都道府県の持っている教職員の人事権に関する区の主張というものを強力に推し進める一つの基盤になっていくものだと考えております。  あとは、基幹税について、所得税から地方税に対する税率等の配分の問題ですけれども、こういうものも後回しになっておりますので、現在のところは、なかなかこの改革はどうなるかわからんと思っておりますけれども、本当にそういうふうな方向に行くように、これから努力をしていかなければならないと考えております。  それから、あるべき都と区の関係というのをどういうふうに考えているかということですけれども、都のやっているほとんどの仕事は区でできます。だから、もう余計なことはしないでほしいというのが基本的な今後の流れだと思います。と同時に、国でやっていることも、都道府県、またはもう少し大きい道州制という規模であればできると思うんですね。ですから、時代が進んでいくということはそういうことであって、都のこういう仕事に対して、国の補助金が三分の一、都の補助金が三分の一、区の負担分が三分の一みたいな事業はどんどん消していく必要があるというふうに考えておりますし、区市町村はそれを十分できる力を持っているというふうに考えております。  道州制につきましても、そういう面で、本当に国が広域的な国というレベルでやる行政なのか、それとももう少し道州という単位にすれば国の関与というものは減っていくのか、そういう面で考えれば、今の基礎的自治体に都道府県の仕事がほとんど移っていく。東京都の場合はちょっと特別なので、もうちょっと地方の場合は時間がかかるかもしれません。しかし、大きな流れとしてはそういうふうに流れる。東北では県がみんな一体になろう、州をつくろうという動きもあるようですけれども、そういうことが可能になれば、広域的な、国がやっている行政もかなり受け皿になると思っておりますので、国がこういうふうに分けようというのは無理だと思います。地域でこういうふうな単位をつくって、国の受け皿をつくろうという研究を進めるべきだというふうに考えています。  次に、自治会館に関するお尋ねがございましたけれども、新しい自治会館はことし五月三十一日に竣工しますが、新しい自治会館に対しては、ハード面においては、高度情報化の時代に対応するインフラの整備や、二十三区の連絡調整の場の充実を期待しております。また、ソフト面においては、地方分権時代の東京二十三区の顔としてさまざまな政策を発信するということは期待しているところですけれども、今後の流れは、二十三区共通でやる仕事というのは、これも減っていくと考えておりまして、この中で減らしていかなきゃなりませんし、この中に入っている組織も徐々に変質をし、小規模になっていくべきだというふうに考えております。  ましてや都からの派遣というものも、これはどんどん減らしていく必要があると考えています。都から来ている人も、都のためにやっている人もいれば市でやっている人もいますので、一概には言えませんけれども、帰るところがある人は、帰りやすくするために仕事をする場合もあるかなという感じはしております。  それから、行政改革を進める上で困難な課題というのは何かということですけれども、やはり行政の場合は人件費なんですね。固定費をどうするかという中で、固定費は扶助費、公債費、そして人件費とありますけれども、公債費も扶助費もそう簡単に削れないわけです。やはり人件費をどうしていくかということが大きな課題であると思っております。  人件費については、地方公務員法で身分保障や人事委員会による任用、給与等が決定される仕組みになっておりまして、区長の判断、裁量だけでは、こういったものを抑制しにくいという困難な状況がございますけれども、本来、行政職員の人件費は市場原理の中で決定されるべきものと考えておりまして、当面、現行の制度の枠内であっても、特別区人事委員会の共通事項となっている項目につきましては、できる限り早い時期に各区事項とし、区民の意向が反映できるようにしたいというふうに考えております。  それから、清掃職員の賃金体系のお話がございました。  現在、東京都から派遣されている清掃業務に従事している職員の賃金体系については、給料表は四層制の任用制度に対応した四級構成の給料表となっております。給与はこの給料表に基づいた給料のほか、調整額、調整手当等が東京都職員の給与に関する条例等に基づいて支給されております。現在の給与につきましては、社会一般から見ても高額であると指摘されており、ご指摘のありましたように、一千万円以上の賃金を得ている職員がいるということでもございますし、私もほぼ同様であると考えております。  ここに至るまでの経緯は、清掃という仕事にかかわるさまざまな歴史的な経緯がございました。しかし、これまで苦労した人にはもちろんいろいろなことは考えてきたでしょうけれども、しかし、その人に対するものと職種に対する評価というのは別であって、職種の評価は時代に合わせて、市場に合わせて判断されるべきものというふうに私は考えております。  今後につきましては、平成十八年四月以降、区に身分切りかえがされることに伴い、杉並区職員の給与に関する条例等に基づき、区現業職員と同一の新たな四級構成の給料表を適用いたします。また、調整額は廃止することとなっておりますが、さらに適正な給与への見直しを行っていきたいと考えております。  人事管理の基本的な考えについてのご質問がございました。  それぞれの職場において、常に職員がやる気を持って仕事に取り組むとともに、時代にチャレンジする職員を育成することが重要であると考えております。五つ星運動に示されるように、多くの職員が区の最前線職場において知恵と工夫を出し合って、事務事業の見直しや提言を行うことができるようにすることが、この管理の基本だというふうに考えております。私は、これらのボトムアップを促す部課長のリーダーシップと、部課長が適切な指示を行うトップダウン型リーダーシップをバランスよく発揮できるような環境を整備していくことが、私の人事管理の基本と考えております。  また、地方自治体の中に競争原理を積極的に取り入れることが必要だということでございまして、まさに私も賛成で、職員の能力と業績を重視した人事制度とともに、同じような仕事を公共と民間がそれぞれやってみて、それで競争していくという環境を整えていくことも大事だというふうに考えております。  それから、区の業務の中で民間委託の最も必要度の高い内容についてのお尋ねですけれども、これまでも現業に関する業務の民間委託等を進めてまいりましたが、引き続き学校等における民間委託を進めてまいります。  また、大きな行政効果が見込まれる清掃分野、ご指摘がございましたが、については、十八年度の清掃職員の身分切りかえを視野に入れ、委託化についても幅広く研究していくというふうに考えております。  今般策定した協働等推進計画では、十八年度に向け、これまで行政が直接実施すべき事業と位置づけた事業であっても、民間でできることは民間でという視点で、民営化・民間委託等の指針等に基づき徹底的に事業の見直しを進め、課や係をそのまま民間委託にするということなども含めて、骨太の計画にしてまいりたいと考えております。  それから、民間委託を実施している事業所でのトラブルに関するお尋ねですが、受託事業者が適正な賃金支給や労働時間など、守るべき労働条件のもとで事業を進めることが前提となります。委託者としての区といたしましても、受託事業者に対して、労働者の安全衛生や守るべき労働条件について注視しております。行革で民間委託等を進めてまいる中で、万一トラブルやサービスの低下が見られるようであれば、受託事業者に対して必要な指導、監督をしていくことは、区の重要な義務であると考えております。  また、雇用創出や区内パートタイマー労働者の状況についてのお尋ねですが、区としては、就職面接会や創業セミナーなどを実施する中で、雇用の促進を図っております。区内のパートタイマー労働者の状況につきましては、東京都レベルでは、平成十五年の統計によりますと、労働者数の約二〇%がパートタイム労働力で、おおむね増加傾向であり、区レベルでもほぼ同様の状況にあると考えております。  こうしたパートタイム労働者の労働条件に関する相談につきましては、ハローワークや東京しごとセンター、東京都労働相談情報センター等につなげるなど、国や都との連携を引き続き図ってまいります。  杉並区の教育理念等についてのお尋ねでございますが、まさに予算編成方針でも述べましたように、今は大変な激動の時代だと思いますし、社会全体に構造変革の波が起きております。また、全国一律の時代が終わりまして、まさに真の地方自治の確立が必要な時代になってきていると考えます。  そういう中で、やはり私は、地方自治の根本的な精神の発露というものは、その地域の教育をどうするかということをきちっと地域が考えているかどうかということによっていると考えておりまして、そういう意味で、今般、教育立区元年ということで、ことしからさまざまな教育に関する事業等を進めていこうというふうに考えているわけでございます。  教育立区の内容につきましては、教育に支援を惜しまない地域社会を築く、また、区のすべての施策に教育の視点を盛り込むなど、そういう点を柱に教育立区の政策をつくってまいりますけれども、その理念等につきましては、今後制定する杉並区教育基本条例の中で、区民のご意見をいただきながら杉並区の教育理念を固めてまいりたいと考えております。  また、教育改革の支援ですけれども、区の教育委員会そのものにはいろいろな限界がございます。しかし、我々の考えとしては、やはり学校それぞれが自分の力を強化していくことが一番大事と考えておりまして、そういった面で、時には国や都との折衝もあるでしょう。また、物心両面の支援が必要な場合もありますが、そういったことを、教育委員会の取り組みが目標どおり進むように、物心両面で援助していきたいと考えております。  保育園の待機児解消についてのお尋ねがございました。  保育園の改築等に伴う定員の拡大、既存園の定員の大幅な見直し、認可保育所また分園の設置、認証保育所の拡充などにより、平成十九年度待機児ゼロを目指し、今般改定をいたしましたすぎなみ五つ星プランやスマートすぎなみ計画に基づき、計画的に取り組んでまいります。  また、障害者の就労支援についてですが、区は、新しいすぎなみ五つ星プランに、障害者の地域生活を支える重要な柱として、新たに就業者雇用支援の充実を盛り込みました。また、杉並区障害者雇用支援事業団は、十七年度から五年間の障害者雇用支援杉並アクションプランを策定し、これまでの会員の就労の場であったところも含めて、これからは、障害者の就職と事業主の障害者雇用に対する支援業務をより強化して、毎年二十五名の障害者の就労を目指すこととしております。  今後、区は、杉並区障害者雇用支援事業団を核に、作業所、ハローワークなどの関係機関と連携しながら、体験学習の民間企業への拡大、作業所等職員へのジョブコーチ養成講座の開催、就職後の定着支援アドバイザーの派遣など、障害者の就労支援に積極的に取り組んでまいります。  また、親水河川についてのお尋ねですが、区民が水に親しみ、憩いの空間となる河川の整備は、まちづくり基本方針の中で、みどりと水のまちづくりの重要な施策に位置づけられております。具体策としては、区は、河川の護岸緑化やキロポストの新設、河床や護岸の補修など、実施計画に沿って進めてまいります。  さらに、都に対しましては、降雨時における下水のごみの流出抑制や一時的貯留対策により、河川の水質の向上を図る下水道合流改善事業の早期実現を下水道局に、また、計画中である河川改修事業に対して、公園と一体整備するなど、景観に配慮したものにするよう建設局に強く要請しているところでございます。  次に、阿佐ケ谷住宅の建て替えでございますけれども、昨年五月から十月まで、阿佐ケ谷住宅の方々や周辺住民の方々から成る成田地域まちづくり協議会を開催し、阿佐ケ谷住宅とその周辺のまちづくりについて検討いたしました。協議会では、阿佐ケ谷住宅の建て替えについて、公園、道路や空き地等の整備とあわせて、高さや容積率を緩和する地区計画を導入することを前提とした建て替え計画案が提案されました。区といたしましては、阿佐ケ谷住宅に対し、この提案を基本とした建て替え計画案の実現性について検討いただくようお願いをしているところでございます。  今後、この協議会の趣旨に沿った建て替え計画になるよう、阿佐ケ谷住宅と十分協議を進めてまいりたいと考えております。  最後に、北朝鮮の拉致問題についてどのように考えるかということでございますけれども、この日本人の拉致問題は北朝鮮という国家によるテロであり、最も重大な人権侵害事件で、到底許されない行為ということはもう世論が一致しているところだと私は考えております。こういうことをやる国というのは、大体選挙も議会もない、またそういう民主的な制度を持たない国が多いわけですけれども、そういったことも相まって、今日に至ってもなお北朝鮮が全容解明と解決への真摯な姿勢を見せず、六カ国協議も進展しないという状況においては、まず日本は関係各国ときちっと連携をとって、共通歩調をとっていくということが大事だ。それから、効果を確かめる必要があると思うんですけれども、きちっと効果が出るならば、経済制裁を順次発動していくということはもう必要なことだと私は考えておりまして、今後、北朝鮮には断固たる態度で引き続き臨んでいくべきというふうに考えております。  なお、この拉致被害者につきましては、現在拉致と認定されている人以外に、たくさん拉致されたのではないか、かなり可能性が高いと思われる方々のリストがございます。その方々の中には、杉並区で一定のある期間、杉並区から拉致をされたというふうに言われている方々もおられまして、区としても、そういう面では無関心でいられないということでございまして、この問題につきましては、継続的に世論に働きかけていく必要があると考えております。  私からは以上でございます。残余のご質問につきましては、教育長よりご答弁申し上げます。 ○議長(今井讓議員) 教育長。      〔教育長(納冨善朗)登壇〕 ◎教育長(納冨善朗) 私から、教育改革についてのご質問のうち、杉並師範塾のお尋ねにお答えをいたします。  「教育は人なり」と言われており、人を育てる指導者の質を高めていくことが教育立区杉並を推進する上で重要であると考え、杉並師範塾を創設することにしたものでございます。  師範塾では、人の師に足る人間性豊かな教師ばかりとは言えない現状を打開し、教育を立て直すために、教育への飽くなき情熱と子どもへの深い愛情を持ち、子どもの可能性やよりよく生きようとする意欲を信じて、これを伸ばす、教師が最高の天職と言える教師を育成してまいりたいと考えております。  次に、メリットでございますが、子どもたちの一生を左右する教師としての心構えを持った、人間性豊かな教師を育てられるということや、養成した教師を区内に配置できるということが挙げられると考えております。  以上でございます。 ○議長(今井讓議員) 以上で日程第一を終了いたします。  日程第二、区政一般についての質問に入ります。  通告順にこれを許可します。  二十番小倉順子議員。      〔二十番(小倉順子議員)登壇〕 ◆二十番(小倉順子議員) 日本共産党を代表して一般質問いたします。  最初に、介護保険制度について伺います。  小泉内閣は二月八日、介護保険制度改革関連法案を閣議決定し、国会に提出しました。制度が始まってさまざまな問題点が指摘され、改善が求められていましたが、その中身は、介護に対する国の財政負担抑制を口実に、高齢者の介護サービス利用を制限し、施設でも在宅でも利用者の負担を増やし、保険料を引き上げていく、国民いじめの改革となっています。改革を言うなら、安心して必要なサービスを受けられる制度への改善にこそ進むべきであります。日本共産党は、介護不安を拡大するだけの介護保険制度改革法案の撤回を強く求めるものです。  そこで、質問いたしますが、杉並区はこれまで、介護保険制度についての我が党区議団のさまざまな問題点の指摘に対しても、当区での介護保険制度は順調に推移しているとしてきました。現在の介護保険の到達点に対して、今回出された介護保険の改革の中身について、区はどのような見解を持っているのか、まず伺います。  国は、予防重視型への転換として、軽度者、要支援、介護度一の人たちに対するこれまでのサービスは改善が見られないと決めつけ、ホームヘルプサービスなどの給付を抑制しようとしています。そして新予防給付として、筋肉トレーニング、栄養改善、口腔機能向上などを介護保険のサービスに導入し、自立した生活に戻すというふうにしています。介護保険の選択と契約の視点から見ても、また個々のケースによって必要なサービスは多様なはずです。  そこで質問です。本人の受けたいサービスとは異なるサービスを押しつけることでの給付抑制が、介護度を悪化させることにつながるのではないでしょうか。新予防給付だけが予防と考えるのではなく、ホームヘルプサービスも、これまで利用者の生活を側面から援助することで、例えば規則正しい生活を送らせたり、精神的な面で自立の支えになってきました。ホームヘルプサービスは自立を助ける大切なサービスであり、継続させるべきです。問題点がもしあるとするならば、改善をするなどで質を向上させることが介護予防にとっても重要です。国は、これまでのホームヘルプサービスは自立の妨げになるとしていますが、杉並区として、サービス利用と具体的な効果についての調査など行っているのでしょうか。もし行っているのなら、その結果はどうだったのかということを伺います。  国が給付増を抑えるもう一つのたくらみとして、特養ホームなどの施設利用者への居住費、いわゆるホテルコストや食費、調理費などが自己負担となることです。国が参考例として示している特養ホーム入所者の場合、標準で現行の月額五万六千円から、見直し後は八万七千円になるという資料を示しています。年間にすると三十七万円の負担増です。このような急激な値上げなど、とんでもないことです。現在特養ホーム入所の人で、ホテルコストなどの自己負担のため、費用負担ができずに退所しなくてはならない人も出てくるのではないか、その点について伺います。  区が行った高齢者の実態調査でも、世帯の収入が二百万以下の世帯が二〇%、四百万以下が五四%となっているなど、高齢者は厳しい生活を強いられています。こうした実態から見て、施設に入所したいと思っても、負担の重さで利用できないということになるのではないでしょうか。これまで施設が不足していて、緊急性の高い人でもなかなか入所できなかったわけですが、今度は、お金がなければ緊急性があっても入所できないということになるのではないでしょうか。この点についての見解を求めます。  介護保険の第一号被保険者の保険料は、これまで、所得が低く税金が免除されている人からも保険料を集める仕組みとなっていました。六十五歳以上の七五%は住民税非課税であり、負担軽減は不可欠です。現在でも保険料が払えずに、給付制限を受けるというケースも出ていると聞きます。さらに、一月から実施された公的年金控除の縮小、老年者控除の廃止は、高齢者の暮らしの厳しさに追い打ちをかけるものです。今後も定率減税の半減、廃止などが計画されていますから、高齢者はたまったものではありません。  そこで質問です。国の改革案は、住民税非課税世帯を対象にした現行の第二段階の保険料を二つに分割し、新第二段階の保険料の割引率を大きくするなどの改善策を出す一方、給付は抑制しながら、保険料は二〇〇六年度から三年ごとに引き上げる計画です。現状でも負担が大変で払えない高齢者が増えています。今度こそ、この見直しの時期に、何としても国の責任で負担軽減を行うべきと考えますが、区としての見解はいかがか、伺います。  次に、利用料の問題ですが、これまでの利用料一割負担は、低所得者にとってはサービス利用を我慢する原因でした。介護認定を受けても利用しない人が全国で約二割もいることや、限度額に対する利用率も五割という現状からも判断ができます。今回の改革では、二割、三割の利用料負担は見送られました。このことは国民の大きな反対があったからで、当然のことです。介護保険利用料についても、やはり国の責任で低所得者のための減免制度をつくるべきです。また、杉並区独自の軽減制度は、来年度からも引き続き行うべきと考えますがどうか、伺います。  次に、施設整備の問題について伺います。  介護サービスを拡充すると保険料にはね返るというシステムでは、施設整備が進みません。杉並区の施設への待機者、特に特養ホームも減っていません。ショートステイも同じように、緊急に利用したくても入れません。また、定期的に家族の条件に合わせて利用しようとしても入れないなど、圧倒的に数が足りていません。  私のところに相談をしてきたケースですが、ご主人は六十五歳で全盲で、マッサージなどの仕事をしています。奥さんは六十七歳で弱視ですが、介護度三の九十二歳の認知症の、ご主人の母親の介護をしています。ご自身がハンディを持ちながらも、デイサービスやショートステイなどを活用しながら、一生懸命これまで面倒を見てきましたが、肉体的にも精神的にも限界に来て、特養ホームへの入所をさせようとしました。しかし、介護度三であるということや、おばあさんの部屋が確保されていることなどを理由に、入所の見通しが立たずに困っていました。直接施設に交渉をしたり、ケアマネジャーからも福祉事務所にも相談したけれども、区内の施設では全く見通しが立たないということです。やむなく区外の施設でも仕方がないということで入所させようとしましたが、本人が直接行って交渉しましたが、やはり地元が優先ということで、見通しは立たなかったということです。この奥さんが嘆いていましたが、障害に甘えないように、また、夫の母親ですから大切に思って、これまで一生懸命頑張ってきた、これ以上は無理と思って入所させてほしいと申し込みをしたが、こんなに大変だなんて、本当に情けないですねというふうに言っておられました。  また、この方はショートステイについても不満を漏らしていました。毎月利用しようと申し込みをしていますが、なかなかあきがなく、やっととれても、それが細切れで、二日間、三日間というふうに別々な施設に入所をさせられるということもしょっちゅうあったということです。私も本当に杉並の福祉の貧困を感じました。
     介護の社会化と始まった介護保険制度ですが、このような現状が放置されていることを、仕方がないと言って済ませていいのでしょうか。一刻も早く、利用者の選択でだれもが利用できるような施設整備を行うべきです。特養ホームの整備については、国の責任で緊急に整備すべきであり、また、ショートステイについても、利用したいときすぐに利用できるよう、国の責任で確保するよう要望すべきだと考えますが、いかがか、見解を伺います。  グループホーム、ケアハウス、小規模多機能施設などの整備も緊急に求められています。しかし、入所での費用負担が高く、低所得者の利用ができないという問題があります。グループホーム、ケアハウス、小規模多機能施設などについても、土地の確保など、国が支援をするように求めるべきです。また、低所得者対策も国の責任で行うよう要望すべきですが、これについても見解を求めます。  政府は、軽度の介護サービスを制限しながら、一方で、健康診査や機能訓練、給食サービスなどの福祉事業を一体化し、介護予防として介護保険に移そうとしています。一本化での事業費は変わらないですが、全額公費だったものが、介護保険に変わることで、国の負担は半分に減ります。これでは介護予防に逆行しかねません。公衆衛生や高齢者福祉への公的責任を投げ出す政府の姿勢は認められません。  そこで質問ですが、本当の介護予防とは、国のしっかりとした財政支援のもと、自治体が責任を持ってきめ細かな介護予防を進め、医療や福祉などとの連携で高齢者の健康づくりをすることであり、そのことが介護給付費の膨張を抑えることになるはずです。これについての区の見解を求めます。  次に、新たなサービス体系の確立として、介護予防、包括的、継続的マネジメントを担う中核機関として、地域包括支援センターを創設するとしています。また、社会福祉士、保健師、主任ケアマネの確保が義務づけられています。介護保険制度の重要な役割を果たしてきた在宅介護支援センターの役割はどうなるのでしょうか。これまでの蓄積を生かせるようにすべきではないでしょうか。区はどのような見通しでいるのか、見解を求めます。  また、ケア24を含む介護事業者への影響は相当なものに及ぶと予想されます。区としてこうした事業者をどうしていくつもりなのか、現時点での区の見解を伺います。  事業所で働く介護労働者の待遇改善について、前回の我が党の原田区議の質問には、調査などを行うことは考えていないという一言でした。登録ヘルパーの移動時間、待機時間への賃金支払い、また、利用者都合のキャンセル時の賃金保障、労災問題などについては、介護の質を向上させるためにも放置できない問題です。介護報酬の適正化も含めて検討するよう国に対して要望をすべきではないでしょうか、見解を伺います。  次に、少子化問題について伺います。  少子化の進行は、労働力不足、消費の縮小など、経済への影響に加え、年金、医療など、社会保障の維持をも困難にします。杉並区の合計特殊出生率は、平成十五年〇・七四人、全国の一・二九から見ても一層低く、大変深刻です。抜本的な対策が求められています。  昨年、杉並区で行った次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画作成のための青少年実態調査の結果では、未就学児童から中学生までの保護者のアンケートのどの段階でも、子育て支援の環境づくりの要望では、子育てに伴う経済的支援の充実というのがトップでした。次に、未就学児、小学校低学年では、子ども、子ども連れの親が安全・安心に通行できる道路交通環境の整備、また専業主婦家庭を含めた産後支援、一時保育など、子育て支援サービスの充実となっています。小学校高学年から中学生では、やはり経済的支援に次いで、仕事と生活のバランスがとれた多様な働き方の実現、男性を含めた働き方の見直しなど、仕事と子育ての両立の推進となっています。  この結果を見ると、何らかの経済的支援を求めているという要望が、未就学児、また小学校、中学校ともに圧倒的であり、次いで安全な環境整備、保育や子育てを直接補完し、援助の体制をつくるということ、そして子育てしやすい働き方への支援が望まれていることが明らかです。  現在策定されようとしている子ども・子育て行動計画に、アンケートに示されているこうした要望が十分に生かされなければならないと考えますが、どのような計画を出そうとしているのか、具体的な中身についてお示しください。  乳幼児の医療費助成制度は、社会全体で子育てを応援することと同時に、経済的支援の代表的施策であり、少子化対策にとって有効であると考えますが、まず、この点についての見解を伺います。  現在、杉並区は小学校入学前まで所得制限なしで受けられるようになっています。東京都は所得制限を設けていますが、この所得制限を撤廃させることを都に対して求めるべきではないでしょうか。そしてその財源を活用しながら、新たな予算をもつけて、無料化を将来中学生までを見通しながら、当面、小学校六年生までの入院、外来に拡大すべきと考えますが、見解を求めます。  子育て支援として、専業主婦も含めての要望が多かったのが保育の充実です。待機児が依然として解消されていない中、認証保育所などでの待機児解消を図ろうとしていることは問題です。  認証保育所についてですが、東京都福祉局が行った認証保育所実態調査でも、保護者が認証または認可保育所を選んだ理由というのに、家から近いということが最も多く、東京都が駅から近いとして売り込んだ認証保育所のとらえ方がかけ離れていることがわかります。また、認可保育所を選んだ理由としては、一、保育料が安い、二、園庭がある、となっています。認証保育所に不満を感じている理由としては、一、保育料が高い、二、園庭がない、三、保育スペースが狭い、の順となっています。  また、認証保育所利用者に、認可保育所に入れるとしたら選ぶかどうかとの問いかけには、約六三%が、はい、選びますと回答しています。ここから判断できることは、認証保育所を選んだ人も、認可保育園にあきがなく、仕方なくとりあえず選んだということがわかります。  ここで質問です。認証保育所の増設で待機児解消をするのは間違いです。保護者の要求から見ても明らかなように、安心して預けられる認可保育園の増設が父母の一番の願いです。また、少子化問題解決にとっても重要と考えますが、見解を求めます。  負担の公平化の名のもとに、現行の保育サービスを削減して、家庭で子育てをしている専業主婦への対策に回すなど、本当の少子化対策にはなりません。あくまで新たな予算を増やしての子ども・子育て行動計画にすべきです。そうでなければ、情報化の時代でもあり、子育て施策の整った地域に子育て世代が流出することになりますが、これについての見解を求めます。  区役所における職員の子育て支援行動計画について伺います。  次世代育成支援対策推進法に基づき、区役所も特定事業主としての行動計画が出されました。職員へのアンケート調査では、子育てのための休暇や休業について余り知らないという人もかなりいること、小学生以下の子どもを育てている人で、自分も配偶者も育児休暇をとらなかった人は二一%いること、とりたくない理由に、「職場に迷惑がかかるから」が五一・四%、「仕事が忙しいから」が二六・五%、「復帰後の職場や仕事の変化についていけなくなるから」が二三・二%、「育児休業がとりにくい雰囲気が職場にあるから」が一五・七%挙げられています。  また、職員の子育て支援については、自分の職場やまた区役所に対する評価は、「子育てしやすい」と評価している人が約七〇%前後あるということ。しかし、「評価できない」とする回答も二〇から三〇%あるということ。特に、自分の職場は男性も育児休業をとりやすいかという質問に対して、「そう思う」「どちらかというとそう思う」が四六・三%で、「どちらかというとそう思わない」「そう思わない」という回答が四七・九%と、上回っています。男性が育児休暇をとれるような環境になっていないということではないでしょうか。  次に、職員の子育て支援についての意見、要望で一番多かったのが人的補完措置であり、次いで休暇制度、職場環境、意識改革というふうに続いています。  そこで伺いますが、区長は、少子化対策で他の事業所に範を示していく決意があるのかどうか、まず伺います。  特に人的補完措置をという回答が多いわけですが、やはり人員の配置が整っていなければ、幾ら休暇をとりなさいと仮に言っても、とりにくいものです。安心して休暇などをとれるような保障をつくることが一番大切ではないでしょうか。スマートすぎなみ計画を進め、職員をどんどん減らしていくことと子育てしやすい職場にすることとは、矛盾する方向ではないでしょうか。安心して子育てできる事業所として、区役所はどのような具体的な対策を行っていくのか、見解を求めます。  次に、大型店の出店問題について伺います。  昨年暮れに、善福寺と桃井三丁目日産跡地に大型店の出店が相次ぎました。オープン後に地域商店街に話を聞いてみました。両店舗に挟まれた形の地域の八百屋さんの奥さんは、本当に大変、これほどひどいとは思わなかった、一体どうなっちゃうんだろうと嘆いていました。少し離れた住宅街にある八百屋さんも複雑な顔で、影響はありますよ、うちは家族でやっていることや、お得意さんに配達などをやっているから何とか続けられるけれども、やっぱり厳しいですよ、と言っていました。また、かなり離れた地域の八百屋さんも、影響が出ているということを言っていました。半径二キロ地域にある家電屋さんは、奥さんが、年末で売り出しというのに客が全然来ないのよ、人が歩いてないの、と深刻な表情でした。  そして年が明けて近所の八百屋さんに行ったところ、オープンした大型店二店舗の一キロもしくは一・五キロくらいのところに、新たに大型店ができるという話を聞きました。区に問い合わせたところ、そういう話は聞いていないという返事でした。その近くの八百屋さんも、これ以上そういう大型店ができたらどうしようもないよと言っていました。  杉並には、大店立地法の不備を補ってつくられた、特定商業施設の出店及び営業に伴う住宅地に係る環境の調整に関する条例というのがあります。五百平方メートル以上の店舗面積の特定商業施設を出店、営業する場合、区長は、住宅地としての生活環境の維持のため、住民から調整の申し出があったときには、これに努めなければならない、第三条。また、事業主は、「地域のまちづくりとの調和を図り、住宅地としての生活環境に及ぼす影響に十分配慮するとともに、良好な近隣関係を損なわないように努めなければならない。」第四条。このほかにも、第六条では、出店者は届け出をした日から二カ月以内に近隣住民に説明会を開かなければならないこと、そして十分な理解を得られるよう努めなければならないともなっています。このほかにも、区長には、審議会をつくって、調査、審議などを行わせる権限も持っていたり、調整を行うことができるなど、活用できる内容であるということ。  そこで質問ですが、大型店出店については、もっと特定商業施設の出店及び営業に係る環境の調整に関する条例についての周知なども含め、活用についても知らせることが必要ではないでしょうか。自治体の責任として、地域の商店の営業を守ることは当然のことです。今回の出店は少なくとも今後の教訓にしなければならないのではないかと考えますが、見解を求めます。  小売商業調整特別措置法、商調法が改めて今注目されています。商調法の十四条の二では、「中小小売商団体は、大企業者が(中略)相当数の中小小売商の経営の安定に悪影響を及ぼすおそれのある事業の開始又は拡大の計画を有していると認めるときは、(中略)都道府県知事に対し、当該計画の内容に関し、(中略)調査するよう申し出ることができる。」となっています。  これらは、需要と供給の関係を考慮することを禁止する大店立地法十三条では大型店出店について規制するすべがないと思われてきたものが、自治体が関与して大型店との話し合い調整が可能なことを示すものです。この画期的朗報で、大型店の相次ぐ出店に悩まされていた京都府では、各地で学習会や説明会などが広がっているということです。京都市中京区の西新道錦会商店街振興組合は、京都府に調停、あっせんを申請しました。  九〇年代に隣の中野区でも、商調法の活用で、計画の変更を実際に行わせた経験があります。このケースは、一九九七年、中野区のJR中野駅前近くに、ビデオ、CDなどの販売、レンタル業最大手の子会社が出店計画を出した際、集客のために、書籍雑誌売り場を一、二階に設ける予定でした。これに対し、周辺の書店経営者が集まって、東京都の書店商業組合を通じて商業調整を東京都に申請しました。東京都は、調査で、この大手会社が商調法の対象になる大企業者と認定をしました。その後、東京都が仲介して話し合いが行われ、計画の変更をすることで合意したということです。この書店経営者は、商調法申請後、大手のこの会社は態度が一変し、話し合いができ、やはり自治体の仲介の影響力が大きかったということを話したということでした。その後、お互いに営業は今も続けているということです。  そこで質問いたしますが、東京都も都議会で我が党の質問に対し、商調法について申請があれば、法に基づき適正に対処しますと答弁しています。大型店の出店計画があった場合、東京都に対し商調法の積極的な活用姿勢をとるよう求めるべきと考えますが、見解を求め、私の質問を終わります。 ○議長(今井讓議員) 理事者の答弁は休憩後とし、ここで午後三時十分まで休憩いたします。                  午後二時五十四分休憩                    午後三時十分開議 ○議長(今井讓議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。  理事者の答弁を求めます。  高齢者担当部長。      〔高齢者担当部長(大澤 渉)登壇〕 ◎高齢者担当部長(大澤渉) 私からは、介護保険制度に関連したご質問にお答え申し上げます。  まず、介護保険制度の到達点及び今回の改正に対する区の見解についてのお尋ねでございますが、制度導入後約五年を迎え、要介護認定者やサービス利用者は大幅に伸びており、区民に欠かすことができないものとして制度が定着してきている一方、サービスの質の確保などの課題も生じていると認識しております。  次に、介護保険制度改革の内容についてですが、新予防給付や地域支援事業の創設など、介護予防の一層の推進と給付の重点化、効率化、認知症高齢者の尊厳の保持の観点に立ったケアの充実など、高齢者の自立支援という制度の基本理念を継承し、高齢者の尊厳の保持という視点で発展させる内容を含んでおり、制度の持続可能性を高める観点や、活力ある長寿社会を築く観点から見て、必要なものと考えております。  次に、ホームヘルプサービスを継続すべきというお尋ねがございました。  国は、新予防給付として、介護予防訪問介護の創設を示しております。区としましては、新予防給付の対象者も、社会的条件等により、部分的な介護や生活援助のニーズをあわせて有していることから、従来のホームヘルプサービスに介護予防の視点を取り入れたサービスが必要であると考えております。  なお、区としてサービス利用と具体的な効果についての調査は行っておりません。  次に、施設サービスの見直しに関するお尋ねですが、在宅と施設の負担の均衡を図る観点から、在宅では負担している光熱水費などの居住費や食費を施設利用者にも負担していただくものでございます。  また、新保険料段階の第一段階から第三段階の適用者の負担上限額が定められるなど、低所得者に対する配慮も検討されており、個別な事情はあるかと存じますが、ご指摘のような事態は避けられるものと考えております。  次に、介護保険料、利用料に関して、国の責任で低所得者層に対する軽減または減免制度をつくるべきとのことですが、低所得者対策は、国民全体の問題として国の責任で対応すべきものと考えております。今回、都内区市町村との意見交換を踏まえ、制度改革の円滑な実施に向けた東京都からの提案を厚生労働省に提出しておりますが、今後も必要に応じて、また機会をとらえ、意見を出していきたいと考えております。  次に、区独自の介護保険サービス利用者負担額の助成制度ですが、十六年度までの時限的措置としておりますが、介護保険制度改革は十八年度から実施されることから、終了時期を十七年度まで一年延長することとし、所要額を十七年度予算で提案しているところでございます。  なお、十八年度以降につきましては、今後示される制度改革の内容を踏まえ、研究をすべき課題ととらえております。  特別養護老人ホームの整備等に関するお尋ねでございますが、区としても、特別養護老人ホームを初めとする介護保険施設は、大都市部では充足していないと考えており、特別区長会を通じて要望してまいりたいと存じます。  次に、グループホームなどの用地確保について国へ要望すべきとのお尋ねですが、借地や改修など、さまざまな手法により整備を進めているところで、国に要望する考えはございません。  グループホーム入所者の利用料負担軽減につきましては、介護保険制度改革の円滑な実施に向けた東京都からの提案として、国に要望しているところでございます。  老人保健事業と介護予防、地域支え合い事業等の介護保険の地域支援事業への再編に関するお尋ねですが、これらの事業は介護予防の観点から相互に関連しており、統合により保険給付と体系的に実施することで、一層効果的な実施が図られるものと存じます。  一方、これに伴う財政影響も懸念されており、現行のサービス水準を下回ることのないよう、適切な財政規模の水準とすること、及び自治体の超過負担が生じないような財政措置の仕組みの構築を国に要望しているところでございます。  在宅介護支援センターに関するお尋ねでございますが、在宅介護支援センターは、制度改正で創設される地域包括支援センターと類似の機能を果たしてまいりました。今後、学識経験者、ケア24の代表者を含めた在宅介護支援センター運営協議会で、これまでの実績の評価と、杉並区の地域包括支援センターのあり方についてご議論をいただき、それを踏まえ、区の方針を定めてまいりたいと考えております。  また、介護保険事業者とのかかわりにつきましては、ケアマネジメント機能向上のための支援など、必要な支援は継続しつつ、今後国から示される方向性を見て判断してまいりたいと存じます。  ホームヘルパーの労働条件及び介護報酬に関連してのお尋ねでございますが、労働条件につきましては、個々にさまざまであろうかと存じます。介護報酬につきましては、国が近年の賃金、物価の傾向、介護事業者の経営実態等を踏まえて定めているものですが、介護職員の人材確保、資質の向上が制度改革の課題であることから、見直しが行われる際には、必要に応じて適正な額が設定されるよう意見を出していきたいと考えております。  私からは以上でございます。 ○議長(今井讓議員) 児童担当部長。      〔児童担当部長(伊藤重夫)登壇〕 ◎児童担当部長(伊藤重夫) 私からは、小倉議員のご質問のうち、所管に関するお尋ねにお答えいたします。  まず、子ども・子育て行動計画についてのお尋ねがございました。  この行動計画は、杉並区子ども・子育て将来構想の実現を図るために策定するものでございます。行動計画につきましては、子どもや保護者を対象に実施したアンケート調査の結果を踏まえ、すべての子育て家庭への支援なども含め、現在、策定に向けて検討中でございます。  次に、乳幼児医療費助成制度に関してのお尋ねでございますが、医療費の助成につきましては、現在、子ども・子育て施策の再構築に取り組んでおり、その中で施策の有効性等を慎重に検討すべきと考えてございます。  なお、東京都への所得制限撤廃の要請につきましては、特別区長会を通じて行っているところでございます。  次に、認可保育所を増設することが少子化解決に重要であるとのご質問でございますが、入園待機児を解消することや、多様な保育ニーズに対し柔軟、効率的にこたえていくことが少子化対策の一つの柱であると考えております。そのためには、認可保育所だけではなく、認証保育所や家庭福祉員等も重要な役割を担っております。あわせて一時保育等も含め、多様な主体による保育サービスの展開を行っていく必要があると考えております。  私からは以上でございます。 ○議長(今井讓議員) 行政管理担当部長。      〔行政管理担当部長(南方昭彦)登壇〕 ◎行政管理担当部長(南方昭彦) 私からは、少子化対策に係る残りのご質問にお答えいたします。  このたび区では、特定事業主としての立場から、杉並区役所職員の子育て支援行動計画を一月に策定いたしました。次世代育成支援対策の牽引役として区内の他の事業者の範となるよう、その計画の実行に向けて積極的に取り組んでいきたいと考えております。  また、行動計画において、目標を達成するための子育て支援策として合計五十五項目を示しており、制度や趣旨のPRの徹底とともに、これらの具体的な支援策を着実に実行していきたいと考えております。  私からは以上でございます。 ○議長(今井讓議員) 地域経済振興担当部長。      〔地域経済振興担当部長(根本信司)登壇〕 ◎地域経済振興担当部長(根本信司) 私からは、大型店の出店に伴う対応についてのお尋ねにお答えいたします。  特定商業施設の出店及び営業に伴う住宅地に係る環境の調整に関する条例、いわゆる商環条例の周知及び活用についてのお尋ねですが、商環条例による事前説明会は、近隣住民に直接通知をして開催しております。説明会では周辺住環境への影響について説明をし、住民から質問、意見等を受けております。  今回の説明会においては、著しく住環境を悪化する旨の意見等は得ておりません。今後も関係部署と協力して、条例の趣旨を周知してまいります。  また、商店街の活性化は、自らの主導的な取り組みや自助努力を行う事業者主導が基本姿勢と考えております。区は、商店街に対し、補助金交付などさまざまな支援を充実してまいります。  次に、小売商業調整特別措置法、いわゆる商調法に関するお尋ねでございますが、区といたしましては、大型店の出店計画が提出されても、東京都へ商調法の積極的な活用姿勢をとるよう求める考えはございません。  以上でございます。 ○議長(今井讓議員) 二十番小倉順子議員。      〔二十番(小倉順子議員)登壇〕 ◆二十番(小倉順子議員) 幾つか再質問をさせていただきます。  まず、介護保険についてですけれども、先ほどの答弁で、今回の見直しについては、サービスの質の確保などが課題としてあるけれども、介護保険制度は五年間施行してきて、大幅に活用が広がっていて必要なものであるというふうな答弁だったかと思いますけれども、今国が目指しているというのは、軽度者の人たちに対する、例えばホームヘルプサービスなどを削減するという方向が出されているということが大きな問題であるということでは、これまで定着してきたということは、やはり高齢者の生活にとってなくてはならないものになってきている。  問題点は、私たちも幾つかこれまで指摘はしてきているわけですけれども、かつて私も医療の現場で働いていた、介護保険などがない時代ですけれども、例えば高齢者のみの世帯で往診などをすると、例えば奥さんが寝たきりみたいな状態のうちを訪問しますと、かなり悲惨な状況で暮らしている。例えば夏場ですと、ポータブルトイレが部屋にあって、そのにおいが部屋じゅうに充満しているというようなケースが結構ありました。それから、いろいろなごみの中に埋もれるようにして孤独死をしたというようなケースもありました。そういうことが介護保険の導入によって、それは申請して受けた人ということですけれども、受けなければそういう状況もあるかもしれないということはありますけれども、一定の介護の社会化といいますか、そういうことは一定浸透はしてきたということを区自身が認めたということだと思うんですけれども、そういう状況のときに、こうしたホームヘルプサービスがもし打ち切られるとすれば、やはりそれは守っていかなきゃいけないというふうな立場に区が立っていただかなければいけないというふうに思うんですね。  ですから、その点での、例えば国がこのまま、軽度者の介護について新予防給付という形で、筋トレだとか口腔管理ですか、あともう一つありましたね、そうした新予防給付について、そういう方向に今度移すといいますか、新しくそういう体系にしていくということで、逆に、今までホームヘルプサービスを受けていたような人が、では、あなたは筋肉トレーニングですよということになった場合に、それを受けるかどうか。私も聞いてみたら、そんなことはやりたくないという人もたくさんいるという意味で、そのことがサービスを抑制することになって、結局現状の人たちが悪化するというか、介護度が悪くなっていくということが考えられるということで、もし国がこうしたことを強行するならば、従来のホームヘルプサービスなどのサービスを区独自としてでもやっていかなければいけないのじゃないかということについて、明確な答弁をいただきたい。  そして、不正といいますか、そういったことがあったということは事実としてあるかとは思うんですけれども、それだから一律的にそういったものをなくすというのとは、また全然話が違うと思いますので、それとこれを一緒にしてしまうというのは、やはりちょっとおかしいと思いますので、その点についての明確なご答弁をお願いしたいと思います。  次に、特養ホームのことなんですけれども、ホテルコストの問題ですけれども、低所得者対策というのが立てられて、第一段階、第二段階の部分については変わらないか、もしくは安くなるというふうになっているんですけれども、第三段階、第四段階のところ、所得の部分については負担が増えるということが明らかになっているんです。第四段階でも、所得が二百万円未満というような所得の人が入所した場合に、十三万とかの負担が強いられるということは、例えば三段階、本人課税であって、そのほかの家族は非課税ということがあったとしても、二百万未満で生活をしているということは、これだけの負担をするということは本当に厳しいということは、もうやる前からわかっていることだと思うんです。そうした人が出るということは明らかなわけで、そのことに対して、どうしてそういうふうになっていくのかということでいいますと、介護保険になってから国の負担が大幅に減っているということが大きな原因になっているわけですから、やはり国に対してしっかりと予算をつけるべきだと。そのことでこうした問題を解決していかなければ、今度は、お金がなければ施設に入りたくても入れないということが生まれてくると思いますので、その点について国に対して要望していただきたいということを、もう一度答弁をいただきたいと思います。  あと、子育ての問題なんですけれども、アンケートの結果を踏まえて、すべての子どもを対象に考えているというふうに伺いましたけれども、もう既に子ども・子育て行動計画はでき上がっているころではないかと思うんですね。来年度の予算書などを見ましても、経済的支援の事業などの計画は全くないというのが感じられていますし、例えば経済的支援として住宅問題なども本当はすごく大きな問題なんですけれども、とりあえず医療費の助成などというのは、今ある制度を拡充するということですぐにできるものでもあるし、そういう意味で、こうした具体的なものが出されてもしかるべきではないか。アンケートの結果を踏まえたなら、それが出てきてもいいのではないかと思うんですけれども、その点が余り明確に答弁にはなかったので、ぜひその点もう少し、何かそういうことも考えているとか、いないのか、その辺をちょっとお願いしたいと思います。  あと、保育園の問題ですが、待機児解消は認可だけではなく、認証保育もということで答弁をされたかと思いますけれども、その認証保育について、先ほど指摘したように、認証保育所はあくまでも、とりあえず入るところがないから仕方がないから入るというアンケート結果があったと思います。私の知り合いも、少子化に貢献している、三人目を産む人がいるんですけれども、実際、認可保育所を探してもどうも入れそうにない、やむなく、では認証と聞いてみた場合に、月十万円もかかると。これではちょっとどうしていいかわからないというふうに、実際にそういう意見も寄せられています。  ですから、認証保育所をつくっていくということは区民の要望ではないと思いますから、やはり認可保育園をつくっていただきたいということが一番の要望であるということで、その点もう一度、認証保育についての見解を伺いたいと思います。  次に、最後の区役所の子育て支援の計画についてなんですけれども、スマートすぎなみ計画との関係については、全くご答弁がなかったかと思います。民間の事業所の牽引役として五十五項目にわたって着実に実行していくというふうにおっしゃっていましたけれども、やはり今人がどんどん削減されていく中で、そのことを実行していくということは、ある意味矛盾することでもあるのかなということでは、その辺の矛盾についてどういうふうにとらえているかということについて伺いたいと思います。  以上で再質問を終わります。 ○議長(今井讓議員) 理事者の答弁を求めます。  高齢者担当部長。      〔高齢者担当部長(大澤 渉)登壇〕
    高齢者担当部長(大澤渉) 私からは、介護保険に関連した小倉議員の再度のお尋ねにお答えいたします。  最初に、ホームヘルプに関連したお尋ねがあったわけでございますが、新予防給付に関連して、当初ホームヘルプサービスが受けられなくなるといった懸念も言われていたわけでございます。今回、介護予防訪問介護が創設をされまして、そういった中で、区民のニーズに合った、必要なサービスが適切なケアマネジメントのもとに提供できるようなサービスに充実させていく必要があるというふうに考えております。  また、区独自のサービスの問題につきましては、介護保険の新予防給付と地域支援事業と区の一般施策でやる事業、この体系的な整理が必要と考えてございまして、そういった中で今後検討していくべき課題と考えております。  次に、低所得者対策の問題でございますが、在宅と施設の均衡の観点から、このような見直しは避けられないものと考えているものでございまして、低所得者対策の問題につきましては、今後、必要があれば機会をとらえて国に対して要望してまいりたいと考えております。  それから、国の財政負担の問題でございますが、先ほどもご答弁申し上げましたけれども、例えば老人保健事業と介護予防、地域支え合い事業の統合に伴う財政負担の問題など、必要な点につきましては、区としても国に財政負担の要望をしてまいりたいというふうに考えております。  私からは以上でございます。 ○議長(今井讓議員) 児童担当部長。      〔児童担当部長(伊藤重夫)登壇〕 ◎児童担当部長(伊藤重夫) 私から、小倉議員の再度のご質問にお答えいたします。  行動計画につきましてのお尋ねでございますけれども、行動計画につきましては、これまでの間、さまざま検討を進めてきているところでございますが、この行動計画をより杉並らしい、よりよいものにしていくということから、もう少し時間をかけて検討を進めていきたいというふうに考えているところでございます。視点といたしましては、子どもの自立性、社会性をはぐくむとともに、先ほどご答弁申し上げましたとおり、すべての子育て家庭への支援なども含めまして、よりよい行動計画を策定してまいりたいというふうに思ってございます。  また、医療費助成の関係につきましては、先ほどご答弁申し上げましたとおり、このような再構築の考え方の中で、施策の有効性等を慎重に検討すべきものというふうに考えてございます。  それから、認証保育所につきましてのお尋ねでございますが、認証保育所につきましては、待機児解消に向けての有効な施策の一つというふうに認識をしてございます。したがいまして、認可保育所、認証保育所あるいは家庭福祉員等々、さまざまな手段を講じまして、待機児解消あるいは子育て支援に取り組んでまいりたい、そのように考えているところでございます。  私から以上でございます。 ○議長(今井讓議員) 行政管理担当部長。      〔行政管理担当部長(南方昭彦)登壇〕 ◎行政管理担当部長(南方昭彦) 杉並区役所職員の子育て支援行動計画とスマート計画の関連でございますが、例えば育児休業者の代替措置として派遣やパート職員の雇用を考えておりまして、影響はないものと考えております。また、業務に支障を来さないように努めさせていただきます。 ○議長(今井讓議員) 十七番藤本なおや議員。      〔十七番(藤本なおや議員)登壇〕 ◆十七番(藤本なおや議員) 私は、杉並自民議員連盟の一員として一般質問をいたします。  昨年、区長は、「安全・安心をかため、元気・活力に挑む」という目標を掲げ、安全パトロール隊の充実や地域の自主防犯団体の増加などを推進し、区民が安心して住み続けられるまちづくりに取り組んでこられたことは、大変評価できるものでありました。  また、元気・活力という観点からは、私ども杉並自民議員連盟が条例提出者となり、杉並区商店街における商業等の活性化に関する条例を上程し、昨年の第四回定例会で可決、成立できたことからも、その基盤整備をより一層後押しすることができたと考えております。  この土台を今後さらに強固にしていくためには、ことしは新しい発想のもと、さらなる施策展開が必要であり、そのためには、杉並区民が心を一つにして、この杉並というまちを愛し、また、愛されるようなまちづくりを行政が主導して、区民が一体となれる運動を起こしていくことが必要であります。  そこで、地域の活力を高めるという観点から、新たな地域名表示ナンバープレート、いわゆるご当地ナンバーの導入についてお伺いをいたします。  現在我が国では、四十七都道府県で八十七種類の自動車ナンバープレートの地域名が存在をいたしますが、最近では、一九九四年の湘南ナンバーが話題になり、一九九九年の栃木ナンバーが、「宇都宮」と、平仮名表示の「とちぎ」に分割されたのが直近の新設でありました。  この地域名は、自動車の使用の本拠の位置を管轄する運輸支局または自動車検査登録事務所の所在地の名称に起因しており、したがって、新たな地域名表示を新設するには、支局及び自動車検査登録事務所の新設が不可欠でありました。しかし、二〇〇〇年に静岡県が伊豆ナンバーの新設を要望したことをきっかけに、地域振興につながるなどとして、会津、仙台、尾道、倉敷などが独自ナンバー構想に名乗りを上げ、ご当地ナンバーの導入を求める声が全国に広がっていきました。  こうした動きの中、昨年三月、所管の国土交通省自動車交通局は、ナンバープレートの地域名表示細分化等に関する懇談会の報告をもとに、ナンバープレートの地域名表示細分化の考え方を公表し、広く意見募集を行った結果、十一月三十日に、地域振興や観光振興などの観点から、ナンバープレートの地域名表示を弾力化し、自動車検査登録事務所の新設の有無にかかわらず、新たな地域名表示を解禁して導入基準などをまとめた要綱を公表したことは、記憶に新しいところであります。  この走る地域の広告塔としてのご当地ナンバーの効果は、地域の存在感を示し得る一つの象徴であり、区民の地域アイデンティティーや帰属意識へのインパクトも大きいものであります。その一方、地方分権を推し進める中で、地域の再活性化と自立は不可欠であり、行政は、地域活性化を図るためにあらゆる手段を駆使して実績を重ねていくことも重要であります。こうした意味からも、ご当地ナンバーの導入は、地域の自立性、分権化を後押しする一方策として、また、観光振興、地域振興の観点からも有効な手段と考えますが、当区における見解をお伺いいたします。  次に、さきの国土交通省の要綱によると、その新たな地域名表示の主な基準としては、登録されている自動車の数が十万台を超えていること、既存の表示と紛らわしいものを使わないこと、全国的に認知をされた地名、原則として漢字二文字であること、さらには、地域特性や経済圏などに関してほかの地域と区分された一定のまとまりのある地域であることが示されております。これらの要綱と照らし合わせた場合、杉並区に杉並ナンバーを導入できる可能性があるものか、お尋ねをいたします。  また、国土交通省の要綱では、原則として単独の市町村ではなく、複数の市町村の集合体であることとされており、この基準によれば、杉並ナンバーの実現においてクリアしなければならない課題であることとは認識をしておりますが、しかし、既存の川崎ナンバーや浪速ナンバーなどは、それぞれ川崎市、大阪市など一市のみの管轄区域、いわゆる単独市町村でも地域ナンバーを保有している前例から、当区も粘り強く関係省庁などに働きかけ、中長期的な視野で取り組むべきと考えます。  そこで、先ほども述べたとおり、全国的にも地域ナンバー創設に向けた取り組みが広がりつつある中において、都内の自治体でご当地ナンバー導入に向けた動きがあるのでしょうか。  また、杉並区もほかの自治体と連携して継続的に検討を進めるべきと考えますが、あわせてお尋ねいたします。  この項の最後に当たり、杉並ナンバーの実現には、区民の意向を十分に把握していくことも必要であります。区長は、自治基本条例を制定するなど、かねてより区民の参画と協働で区政を進めていくことが区政の基本であるというスタンスをとっておられ、私もこの考えに強く共感するところであります。その上で、この仕組みをより発展させ、一歩踏み込んだものとして醸成させるためには、今後いかにして区民が地域に対して関心を持ってもらうかが重要であり、その意味において、杉並ナンバーの実現は、特に日ごろ区政に余り関心を示さないと言われている二十代、三十代という若い世代に対しても興味を引き寄せることができる政策であるとともに、さらに、今後区民との協働社会を構築していく上において、取り組みにくいとされる若年層に区政へ目を向けてもらう一つのきっかけになるものと考えられます。  そこで、お尋ねをいたします。区長は、「平成十七年度予算の編成方針とその概要」において、一人一人の区民が地域に愛着を持ち、誇りを持って住み続けたいと思えるよう、杉並の魅力を内外に発信し、輝き度を向上させることを施策の重要な柱として掲げております。杉並ナンバーの実現もこうした取り組みの一例であるという、こういった観点から、区長は今後どのようにこの杉並の輝き度を増していこうとされるのか、お考えをお聞かせください。  次に、高円寺会館の改築について伺います。  先月の一月十六日に、高円寺会館の改築に当たって地元説明会が開かれましたが、当該施設は昭和四十二年十月に開設以来、地元に暮らす住民はもとより、区外の利用者にとっても親しみのある施設として、長年にわたり高円寺のシンボル的存在として使用され、先日の説明会でも多数の方が出席をされ、その関心の高さを改めてうかがい知ることができました。  その説明会において区から示された施設の主な内容は、演劇活動の拠点となるようなホールを設置する、こういったことでありましたが、当該施設の改築後は、演劇の上演が中心となるような施設と理解してよいのでしょうか。具体的にどのように利用されるのか、まず、確認の意味で伺っておきます。  当日の説明会では、高円寺に演劇の拠点ができることに歓迎の意見も聞かれましたが、その反面、地域の住民の中には、特定の利用者によって会館の施設の使用が制限されてしまうのではと、こういった不安の声も聞き及んでおります。  そこで、区は改築に当たり、区民の意向をどのように反映していこうとしているのか、ご所見をお尋ねいたします。  さらに、地域の高齢者を中心に、セシオン杉並の一階にある談話室のような交流スペースを高円寺会館にも設置してほしいという要望がございます。そこで、新しい高円寺会館が、演劇や阿波踊りのホールとあわせて、地元のだれからも長く愛され、まちの元気・活力を高める施設となるために、地域住民同士が交流できる場も設けるべきではないかと改めて要望いたしますが、見解を伺います。  次に、地域住民が区内の各施設を利用する上で特に重要なことは、いつでも気軽に立ち寄れることであり、その結果、施設が憩いの場や交流の場として活用されることは、コミュニケーションの希薄となっている現代社会において、地域の活性化を図る上でも極めて重要な事項であります。  こういった意味において、特に高円寺地域では、高円寺地域区民センターのあるセシオン杉並まで、JRの最寄り駅である高円寺駅から約五キロもの距離があるにもかかわらず、交通手段がなく、高円寺地域に在住する七千人の高齢者にとっては、利用しづらい状況にあります。  この件に関して、私は、一昨年の第四回定例会の一般質問において、区が関与しております民間の松ノ木線の路線ルートを一部変更して、セシオン杉並経由となるよう要望をいたしましたが、なかなか実現できない状況であります。  このような中、先日、二月二日の産経新聞において、練馬区では、区立障害者通所施設利用者に限定されている通所バスを福祉コミュニティバスとして、区民の足がわりに一般乗客も有料で乗れるようにすると報道がなされました。練馬区では、今後試行的な取り組みを行っていくようでありますが、民間事業者の路線バスが新規ルートの開設に柔軟な対応ができないのであれば、このような新しい形のコミュニティバスの交通は、非常に有効なアイデアであると考えます。  そこで、これは高円寺地域に限ったことではなく、区民のモビリティー確保を第一義に置いた総合的な交通政策を実現していくという観点から、練馬区が進めておりますコミュニティバスを活用して区内の施設間をネットワーク化し、運行するなどの工夫が当区でも可能であるのかどうか、検討すべきであると考えますが、見解を求めるものであります。  この項の最後に、現在、高円寺地域は、JRによる駅舎改修を初め、高円寺会館の改修や交通バリアフリー基本構想の重点地区の指定、地域安全対策重点モデル地区の指定など、まちづくりを進めていく上で取り組むべき課題が集中しております。特に高円寺駅南口広場の整備に関しては、人々が集い、憩えるようなスペースとなるよう、地元の商店街などの人々が中心となってアイデアを持ち合いながら、要望をまとめているところであります。このように、まちづくりは行政だけで進めるものではなく、民間の自主的な取り組みを理解し、促進するとともに、地域の声を計画に反映していくことが大切であります。  そこでまず、高円寺地域のまちづくりに関連して、警察大学校跡地についても伺っておきます。  これまで警察大学校跡地開発については、平成十三年に中野区、杉並区、東京都と三者で策定した土地利用転換計画を継承して話し合いを進めているということでありましたが、去る二月四日の中野区議会特別委員会において、中野駅周辺まちづくり計画素案が発表されたと聞きました。正直申し上げまして、私、この素案がいきなり出されたことに対して非常に驚きを感じているところであり、また、地域住民の皆さんからも、不安の声が大きくなってきております。  そこで、お伺いいたします。この中野区まちづくり計画素案の発表に当たり、事前の十分な協議があったのでしょうか。また、中野区は、計画素案の内容に関して杉並区からの公式の要望がないと議会に説明をしているようですが、事実関係について伺います。  さらに、今後中野区に対して、防災機能の確保や隣接住環境への配慮などについて強く要請していくことが必要であると考えますが、見解をお伺いします。  以上、これらを踏まえて、今後、高円寺地域のまちづくりを進めていく際に、地域の声を十分に踏まえ、ハード、ソフトを踏まえて、総合的な観点から行政が総合調整機能を発揮していくことが必要であると考えますが、区の見解をお示しください。  次に、商店街における装飾灯整備事業について伺います。  商店街の環境の整備は、楽しい買い物の場づくりの上からも、顧客を商店街へより一層誘引する方策としても、極めて大切な事柄であります。特に装飾灯については、商店街振興という目的で設置をされているものでございますが、道路を照明し、夜間の交通安全や防犯等の機能をあわせ持っていることからも、その維持や道路に必要な照度を保つための費用については、行政の責務として適切に行われるべきものであります。  そこで、お尋ねいたしますが、現在、杉並区内の商店会において装飾灯の電気料金助成を受けている団体は何団体あるのでしょうか、その数をお示しください。  次に、商店街装飾灯の修繕費と電気料の助成事務は、平成十年度に土木部道路管理課から経済勤労課に移管されました。そのときに、修繕費については、三十メートルに一本という距離に応じた助成から全灯対象となり、なおかつ道路の幅員別で三ランクに分かれていた基準額は一本化に統一をされましたが、電気料の助成については、今まで大幅な見直しは行われてきませんでした。  しかし、このたびの予算編成に当たり、電気料の助成についても修繕費と同様、この距離制度が撤廃され、不況に苦しむ商店街への支援拡大に向けた動きと大いに評価をするものでありますが、道路幅員別の三ランクの基準額は残されたままであります。細部につきましては、後日の予算特別委員会で改めてお伺いをいたしますが、駅前の商店街などは、道路の幅員にかかわらず、まちの活性化や防犯灯としての役割から街路灯の照度を高める必要があり、その結果、電気料にかかる費用の持ち出しが多くなり、本来行うべき商店街のイベントや売り出しといった活動を圧迫していることをかんがみると、今後、使用電気料の助成に関し、道路幅員別に分かれたままの基準額を見直し、さらなる緩和を検討すべきと考えますが、区の見解を伺います。  最後に、現在の不況や後継者不足の問題から、やむを得ず商店街を解散しなければならないケースが今後増えることも予想されます。このような場合、現に解散した商店街では、街路灯維持会という組織を立ち上げ、今後の装飾灯の維持管理を行うケースが見受けられます。しかし、この街路灯維持会も年を追うごとに会員が減少し、継続して管理していくことが困難になったときには、安全・安心の観点から、区が必要に応じ、以降の電気料を初めとする維持管理にかかる経費や、さらに、装飾灯の腐食により撤去しなければならない時期には、その費用を全額助成するなどの措置も今後必要になってくると推察をいたしますが、見解をお聞かせください。  以上、まちの安心・安全、元気・活力をはぐくむために、さまざまな要望を踏まえた質問をいたしましたが、理事者の明快なご答弁を期待し、私の質問を終わります。 ○議長(今井讓議員) 理事者の答弁を求めます。  区長。      〔区長(山田 宏)登壇〕 ◎区長(山田宏) 藤本議員の一般質問にご答弁申し上げます。  まず、ご当地ナンバー導入による効果等をどう考えるかということですけれども、杉並ナンバーができれば、区民一人一人がこの杉並という地域に愛着を持ち、また、誇りを持って住み続けたいと思えるような、そういう雰囲気がさらに深まってくるだろうと思いますし、また一方で、こういった形で杉並の名がいろいろなところで広がっていくということは、いろいろな意味で杉並の観光経済にとってもいいことだというふうに考えております。  仮に杉並ナンバーというものが実現された場合には、今申し上げたようなことが効果があるというふうに考えておりますけれども、何よりもこのナンバーを実現するためには、まだまだいろいろな困難がございます。そういったものに対して、私は積極的にこういうものを取り入れていくべきだと考えておりますけれども、要綱等を読んでも、後で関係部長から申し上げますけれども、なかなか難しいことが多うございます。しかし、技術的には、コンピューター等も発達しておりますし、可能だというふうに聞き及んでおりますので、今後その要綱等を変更してもらいながら、やはり杉並ナンバーができてくるといいなというふうに考えておりますし、また、こういったことをみんなで実現しようと区民が思って、行動していくことがまた、いろいろな意味でいい杉並をつくっていくことにつながっていくというふうに考えております。  そのためには、区としてもいろいろ研究、行動を起こしていかなければなりませんが、議会の方でもぜひ研究、行動を起こしていただいて、議連等をおつくりになるとか、いろいろと、差し出がましいことを申し上げましたけれども、そういうようなことなども含めて、一体となって、区民の団体等も一体となって運動を起こしていくということにも大きな意味合いがございますので、ぜひ今後積極的に考えていきたいと考えております。  次に、警察大学校跡地についてのご質問がございました。  警察大学校跡地につきましては、平成十三年七月に、東京都、中野区、また当区の三者で合意した土地利用転換計画案を原則継承することを基本として協議していくことを中野区と確認しております。しかし、中野区は、これまでの協議過程において具体的な計画を提示しないため、協議が進展しない中で、事前の協議もなく、去る二月四日の中野区議会の中野駅周辺警察大学校跡地整備特別委員会に、中野駅周辺まちづくり計画素案で、警察大学校跡地についての計画を発表し、また、中野区議会にあいまいな情報を提供するなど、当区に対して誠実な対応がなされていない状況にありまして、まことに遺憾に感じているところでございます。  杉並区としては、政府の中央防災会議で出された被害想定などを踏まえ、広域的な見地及び隣接地域の住民の立場から、事前協議の徹底とより具体的な計画内容やパブリックコメント、地域住民説明会などの正確なスケジュールを迅速に提示するよう、公文書などで中野区に強く要請してまいります。  さらに、広域的観点から、広範に防災公園とする土地利用の考え方についても、国や都に伝えていきたいと考えております。  私からは以上でございます。残余のご質問につきましては、関係部長よりご答弁申し上げます。 ○議長(今井讓議員) 政策経営部長。      〔政策経営部長(松沼信夫)登壇〕 ◎政策経営部長(松沼信夫) 私からは、杉並ナンバーについて、そして輝き度向上、コミュニティバスについてお答えしたいと思います。  まず、杉並ナンバーの導入の可能性や他自治体などとの連携に関するお尋ねでございますけれども、国土交通省が制定した要綱によりますと、新たな地域名表示を導入できる対象となる地域は、地域特性について一定のまとまりのある複数の市町村が原則である、それから、都道府県内の登録自動車数等に関して極端なアンバランスがないことなどとされているために、杉並区単独での申請というのは、現時点では困難と考えられております。  しかし、都内では、武蔵野ナンバーを目指す市民団体の運動などの動きもございます。杉並ナンバーを実現することによる効果を考えた場合、区民の声を踏まえながら、中長期的に取り組んでいくことが必要であると考えておりまして、国や都に対しまして、要綱の規制を緩和し、柔軟に対応するよう、他の自治体の動向などとも連携して、要望を行っていく必要があると考えております。  次に、今後どのように杉並の輝き度を向上していくかというお尋ねでございますけれども、区民が心を一つにして杉並に対する愛着を深めることを目的に、杉並の輝き度向上を目指す検討を開始したところでございます。十七年度中には、杉並が今後何を目指していくのか、どういったコンセプトで行くべきなのかという基本的な方針を明らかにしていきたいと考えております。そして、この基本的コンセプトに基づいて、例えば杉並学会、杉並区のアニメキャラクターの選定など、個々の取り組みを行うことによりまして、一つの運動として盛り上げたいと考えております。杉並ナンバー実現に向けた取り組みも、こうした運動の一環であると考えております。  次に、新しい形のコミュニティバスに関するお尋ねでございますけれども、ご指摘のとおり、区内交通のより一層の充実については、引き続き検討すべき課題であるというふうに考えております。杉並区におきましても、これまでも、こうした課題に対応するために、福祉バスの活用につきまして、さまざまな角度から検討してまいりました。法的な規制から実施は困難であると判断してまいりましたが、一方で、区民の利便性向上と移動手段を確保するために、既存の交通機関と連携、補完をしつつ、南北バス交通を整備いたしました。交通不便地域の解消を図るなどの取り組みを着実に進めてきているところでございます。  しかし、練馬区におきまして、規制緩和も視野に入れて、福祉バスの一般利用への開放を試行していくということでございますので、練馬区の具体的な導入の状況を把握しながら、杉並区においてもこうした工夫は可能かどうか、今後十分調査検討していく必要があると考えております。  私からは以上でございます。 ○議長(今井讓議員) 区民生活部長。      〔区民生活部長(四居 誠)登壇〕 ◎区民生活部長(四居誠) 私から、高円寺会館改築に関するご質問にお答えを申し上げます。  まず、機能についてのお尋ねですが、新しい高円寺会館は、貸し出しを中心とした機能に加え、舞台芸術を中心に、杉並区と区民の文化活動を創造し、育成し、発展させる機能を備えた施設として改築したいと考えております。  そのために、区民の方々が演劇や舞踊などのすぐれた舞台芸術に接することのできる小劇場、区民の自主的な文化活動の発表などに利用する区民活動ホール、阿波踊りを中心に、多様な区民活動にも利用できる多目的スペースなどを整備します。また、これらの施設を活用し、演劇などの舞台芸術の担い手を育成する教育事業なども実施していきます。  こうしたことを通し、新しい高円寺会館を芸術の鑑賞や文化活動の場の提供にとどまらず、杉並区の文化の創造と発展を可能にする施設にしたいと考えております。  次に、改築計画への区民意向の反映についてのお尋ねですが、多くの区民の方々にとって使いやすく、多様な文化活動が展開される施設とするためには、区民意向を把握し、計画に反映させることは、大変重要なことだと認識をしております。これまでも、地元説明会で出された意見、要望を初め、実施計画への区民意見提出手続や関係団体との協議などを通し、区民意向の把握に努めてまいりました。改築方針は、そうした区民意向を可能な限り反映したものと考えておりますが、今後も、基本設計、実施計画の段階で一層幅広い方々からの意向把握に努めるとともに、新しい高円寺会館の機能を十分発揮させる視点から、多くの区民の方々にとって使いやすく、多様な文化活動が展開できるよう、運営にも工夫を凝らしてまいりたいと存じます。  さらに、地域区民センターの談話室のような施設を設けるべきではないかとのお尋ねがございました。新しい高円寺会館は、先ほど申し上げましたように、限られた敷地の中に多様な機能を盛り込んだ施設となるため、広い談話室を設けることはなかなか困難でございます。しかし、区民ホールや阿波踊りなどに利用する多目的スペースなどが持つ区民交流の機能を生かす意味からも、今後の設計の中で、可能な限りフリーな交流のスペースを確保するよう努めてまいりたいと存じます。  なお、高円寺駅の北側の地域では、高円寺会館の改築と並行して、現在の高円寺北会議室を改修する予定であり、新たにつくります仮称高円寺区民集会所に談話コーナーを設置してまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。 ○議長(今井讓議員) 都市整備部長。      〔都市整備部長(菱山栄二)登壇〕 ◎都市整備部長(菱山栄二) 私からは、高円寺地域のまちづくりについて、残りのご質問にお答えいたします。  これまで高円寺地域では、だれもが安全で安心して暮らせるまちを目指し、杉並区交通バリアフリー基本構想の実現や、みどりのベルトづくり、駅前広場の整備や防災まちづくりなどのハード事業、及び地域の安全に向けた安全パトロール、放置自転車対策などのソフト面を強化するため、内部検討組織として、高円寺駅周辺まちづくり検討会及び地域安全対策重点地区検討部会を設け、施策の連携、調整を図っております。  高円寺地域のまちづくりにつきましては、今後区が中心になって、商店会や町会などの地域の方々、交通事業者や東京都、警察などの関係機関との総合調整を図りながら、それぞれの意見や要望を反映してまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。 ○議長(今井讓議員) 地域経済振興担当部長。      〔地域経済振興担当部長(根本信司)登壇〕 ◎地域経済振興担当部長(根本信司) 私からは、商店街の装飾灯に関するお尋ねについてお答えいたします。  まず最初に、電気料の助成を受けている団体数についてのお尋ねですが、平成十六年度については百二十三の団体が助成を受けております。  今般、ご指摘のとおり、商店街の装飾灯につきましては、地域の安全と商店街の一層の活性化を図るため、助成額の拡充を図ったところでございます。したがいまして、道路幅員の基準につきましても、個々の商店街の状況を踏まえ、必要な見直しを進めてまいりたいと考えてございます。  次に、装飾灯の維持が困難となった商店街や装飾灯維持会への対応についてでございますが、撤去費用の一部を助成するなどして対応しているところでございます。今後におきましては、該当する商店街と連絡を密にしながら、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
     以上でございます。 ○議長(今井讓議員) 二番けしば誠一議員。      〔二番(けしば誠一議員)登壇〕 ◆二番(けしば誠一議員) 都政を革新する会より、区政一般について、教育問題、介護保険、そして富士見ケ丘駅葬儀場建設について質問いたします。  冒頭、本日朝八時十分、区庁舎前で、山田区長の成人式の発言を批判し、都政を革新する会の一般質問の日程を入れたビラを配布中、突然一名逮捕されるという事態が起こりました。これは、議会活動や政党政治活動に対する弾圧、妨害であり、厳しく弾劾するものであります。あえて私の一般質問の朝に強行された石原警察都政の暴挙に対し抗議し、一般質問を行います。  第一は、教育問題です。  これまで、子どもたちを主体にフロア方式などで行われ、在校生、先生や保護者による祝福の場であった卒業式、入学式が、昨年十月の都教育委員会の通達により、ことごとく戦前戦中と同じ儀式に変えられました。これに教職員のだれもが反対しながら、校長の職務命令と服務違反の処分でおどし、日の丸・君が代への起立斉唱を強制し、教育委員会が目を光らせての監視の中で異常な事態となりました。  都教育委員会を震え上がらせたのは、これに対し、都立高校、養護学校、小中学校で三百人を超す教職員が不起立の抵抗に立ち上がったことであります。教育が強制に変わり、子どもたちの差別、選別が行われ、戦争に動員することを拒んだ教育労働者の誇りをかけた選択でした。有事法制と自衛隊のイラク派兵に立ち上がった陸海空港湾二十の労働組合の闘いに続く、教育労働者の戦争拒否宣言であります。  ことしの卒業式、入学式が近づいています。処分され、解雇されながら、人事委員会や民事訴訟で闘う先生たちは、教育者としての良心に従い、ことしさらに不起立の抵抗を拡大し、石原都知事の暴走を阻もうと呼びかけています。勇気ある先生方と地域で手をつなぎ、子どもたちの未来を守り抜きたいと考え、質問いたします。  第一は、成人式における山田区長の発言であります。  一月十日、杉並区の成人式で、山田区長が新成人を前に、六十年前、二十歳の特攻隊員が母親にあてた遺書を読み上げたことについてお尋ねいたします。  区長は、同じ二十歳でも、豊かな社会で成人式を迎える人もいれば、国のために、社会のために命を捨てなければならなかった人たちもいると語りました。区長が読み上げた遺書は、「母親様、慈愛深き母親様、幾久しくごぶさたいたしました。おわび申し上げます。不肖、士気旺盛、ますます必殺の意気に燃えて任務に邁進いたします。二十年のこの方、よく面倒を見てくださったお母様、ありがとうございました。」途中略しますが、「昔より忠孝一致と言われています。忠すなわち孝です。ご安心ください。必ずや孝いたします。では、くれぐれもご健康に注意されてください。三郎」と、こう書かれていました。  そして区長は、皆さんが今日ここにあるのも、こういった同じ二十歳の人が命を捨てて、その時代の運命に身を任せてきたからだ、お父さん、お母さんが必死の思いで苦労してここまで育ててくれた、こういった多くの人たちに、ぜひ心の中でありがとうと唱えてほしいと訴えたのであります。  山田区長は明らかに、国のために命を捨てねばならなかった特攻隊員に感謝することを求めたのです。この発言が、自衛隊のイラク派兵が延長され、米軍とともにイラク侵略戦争の泥沼にのめり込んでいる、社会全体が戦争協力に向かう中でなされたことは重大であります。  山田区長にお聞きします。特攻隊員に感謝せよということは、国のために命をささげた英霊として彼らをたたえ、彼らの行為を価値あるものと考えよということなのでしょうか。  二つ目に、国のために命をささげることを絶対の使命として教えたのは、戦前戦中の天皇制教育でした。小学校には教育勅語と天皇の写真を飾る奉安殿があり、生徒は毎朝頭を下げ、教育勅語を暗唱させられました。その結果、遺書の中にもあるとおり、忠孝一致、すなわち天皇に忠義を尽くすことが親孝行であると教えられ、天皇のために死ねば、英霊となって家族の守り神になると信じ込まされてきたのです。当時の教育のあり方を区長は正しかったと考えているのでしょうか、所見を伺います。  石原知事は、ことし自分の書いたシナリオで特攻隊をテーマにした映画の制作を今行っています。文藝春秋で、守らなければならないもののためにあえてその運命に殉じていった、私が描きたいのはそうしたある確かな青春の姿、と語り、私は何とか天皇陛下にも靖国神社に参拝していただきたい、その一瞬に、この日本で大きなものがはっきり変わると結んでいます。石原都知事は議会でも、教育勅語は正しかったと語り、その方向に向かって教育改革を進めています。特攻隊を賛美する山田区長の教育改革も、同じように教育勅語による教育の復活を願うものでしょうか、伺います。  敗戦後、侵略戦争への国家総動員のために教育が使われたことへの反省から、大日本帝国憲法が日本国憲法に変わったことに基づき、教育勅語にかわって教育基本法が制定されました。区長に改めて教育基本法の目的について伺います。そこで明記されている公教育の役割、教育の機会均等と平和主義に対する区長の見解を伺います。  次に、教育ビジョンです。  杉並区教育委員会は、一月二十六日、杉並区の目指す教育、教育改革の方針を示す杉並区教育ビジョンを決定しました。これに基づき、二〇〇五年から三年間の新教育アクションプランを策定いたします。策定の趣旨には、「教育をめぐってはいくつかの危機的とも思われる状況が生まれています。」とあります。危機的状況とは具体的に何を指すのか、それが生み出された原因をどのように考えているのか、聞かせてください。  第二に、子どもの世界は大人の現実の反映であります。職場でも商店街でも努力は報われず、リストラや首切りの不安で自信を失い、年間三万人を超える人が自ら命を断つ大人の世界。不安定雇用が拡大し、卒業しても仕事に希望が持てない若者。子どもの世界にさえ競争が持ち込まれ、勝ち組と負け組に分断される子どもたち。戦争で何万の人の命を奪いながら、命の尊さを説き、自分のために利権をあさる政治家たち。ここに希望を失う子どもたちの感性こそが正しいのであり、それを教育基本法やそれに基づき教えてきた教員の責任にするのは、本末転倒と言わなければなりません。  与党会派の代表質問で、教育の危機は、いたずらな個の尊重により規範が喪失し、地域や国でのアイデンティティー、つまり愛国心が失われたためとか、公つまり国家を尊重し、個性の大切さは次にとただしたことに、教育長は、地域や国へのアイデンティティーや、権利には義務を伴うことを教えてこなかったと、基本的に同調する見解を述べました。区教育委員会の考えは、教育基本法や戦後の平等主義や平和教育を進めてきた教員に原因があるかのような議論にくみするものではないのでしょうか。山田区政のもとでの教育改革とは、教育基本法の核心ともいうべき教育の機会均等や平和主義を否定するものではないのか、見解を伺っておきます。  三つ目に、杉並区教育ビジョンでは、区長部局との連携の強化が強調されています。山田区長は「ガバナンス」二月号で、本来的には教育行政は首長が担うもの、区市町村では教育委員会制度は形骸化している、教育委員会制度は廃止すべき、教育委員会は実質的に首長の支配下にあるからと、その本心を語っています。他会派の質問には、人事権を区に移せということだとすりかえて答弁を行っていますので、そこで区長に伺いますが、教育委員会の設置の意義と役割は何か、お尋ねします。  扶桑社版歴史教科書を採択するために、新しい歴史教科書をつくる会系人物を教育委員に任命し、教育委員会を形骸化させたのは、石原都知事と山田区長ではなかったのでしょうか。教育委員会が形骸化し、首長の支配下にあると言うならば、公選制など、教育委員会の独立性を回復する方向を打ち出すべきではないのでしょうか。区長の意図は、逆に教育の行政からの独立性を排し、行政が教育を直接支配する戦前型教育の復活を目指すものではないのか、見解を伺います。  戦後、教育労働者は、教育の名のもとに、戦前戦中、子どもたちを戦争に駆り立ててきた深い反省から、教え子を再び戦場に送るなを合い言葉に団結し、教育基本法の機会均等、平等主義と平和主義を貫いてきました。  教育改革のねらいの一つに、人事考課や主幹制の導入で、教育労働者に競争と分断を持ち込み、教育労働運動の団結の解体に集中していることがあります。教育の危機を叫ぶ区長は、現在、教育現場で教員たちがどのような過酷な状況に置かれているか、ご存じでしょうか。教師への管理の強まり、研修、土日補習や部活の指導、行事参加、生徒指導、週案などの提出等書類作成の膨大化、強制異動、教員の団結や共同性が破壊された結果、病気や心の病い、教師が子どもと向き合う時間を奪いながら、教員の質を語り、教員の責任にするのは本末転倒ではないのか、お答えください。  第五に、それでは質の高い教員とは一体どのような人を指すのか。質の低い教員とはどのような人を指すのでしょうか。教育力ということが言われます。子どもたちを人的資源と考え、後でも述べる、財界の要求する人材、すなわち質の高い労働力、一部のエリートと、いつでも首を切れる、使い捨てできる労働力、これを生み出す生産力を意味する言葉です。生産性の高い教師が質の高い教員ということになるのでしょうか。教育の場で子どもたちに教育を受ける機会の均等を支え、障害があっても、外国人でも、分け隔てなく指導してきた教師は、質の低い教師と言えるのでしょうか。上意下達で、校長の言いなりになるエリートを養成し、子どもたちを選別するような教員が質の高い教員となるのか、お答えください。  六番目ですが、山田流教育改革は、石原都知事の教育改革とともにマスコミでもしばしば取り上げられ、閉塞する社会や、だれもが実感している教育の危機を打開する積極策であるかのように一部では受け取られています。しかし、学校選択の自由化、師範塾、ゆびとま制度、小中一貫教育など、具体的計画を分析すれば、どれも区長が自らつくり上げたものではありません。二〇〇三年三月、中央教育審議会が打ち出した教育基本法を改正する教育改革答申の方向に沿ったものではないのか、お聞きします。  山田区長は、公立学校を私学のようにしていくのが一番の成功と語っていますが、これは公教育の否定ではないのか、お答えください。  教育改革のさまざまな財界への要望等々について、次に伺っておきます。  一月十八日、日本経団連は、「わが国の基本問題を考える〜これからの日本を展望して〜」という内容を発表しました。自衛隊の海外派兵、憲法九条の改定を宣言し、日本国憲法の主権在民と平和主義の転換に対応し、教育改革が打ち出され、教育基本法の全面的な改悪が提言されています。同時に、これからの教育の方向性に関する提言も発表されていることは極めて重大であります。これに対する区長の見解を伺います。  提言は第一に、戦後教育では不十分であったとして、日本の伝統、文化、歴史にかかわる教育、郷土や国に対する誇りをはぐくむ愛国心教育が強調されています。これを見ても、山田・石原流教育改革は、小泉首相・奥田経団連会長の路線である、戦争と民営化、憲法改正、教育基本法改正を目指す教育改革の方向を先取りしたものではないかと思いますが、お尋ねいたします。  提言では、第二に、多様性、競争、評価を基本とした改革がうたわれ、新自由主義の、国家の責任を縮小し、競争と市場原理に任せ、最終責任は個人が負うという考え方を教育に導入しようとしています。多様性とは、株式会社などを使い教育の民営化を進めることであり、教育の場で競争をあおり、評価で選別することで、必然的に子どもたちの中に勝ち組、負け組の分岐と線引きを生み出します。負けた者は自己責任と言われても、そもそも子どもたちのスタートラインから差があっては勝負になりません。子どもの発達は一人一人違います。大切なのは、生まれ育った環境や親の経済状況が違っても、どの子にも一定の学力を保障することです。市場原理を学校に持ち込む教育改革の方向は、生活環境の差がある子どもの世界に競争と分断を持ち込むことであり、教育の名に値しないものではないか、お伺いいたします。  二〇〇二年、「心のノート」は、全国の小中学校に配布されました。これは教科書でもなく副読本でもなく、したがって、検定も通っていません。執筆者も明らかにされていません。文部科学省の担当者は、これで子どもたちの心をつくると語っています。これは行政が子どもたちの心の中にまで入り込み、行政が子どもの心を、あるべきだと考える鋳型にはめ込み、人間の多様性を否定することになるのではないか、お答えください。  そこには教育の力を超えたものがあるなどと書かれ、科学的な物の見方を否定し、宗教的畏敬の念を育てることを目指す表現があります。このような見方をすることは自由でありますが、行政がこれを押しつけることは、国家神道につながるおそれがあると危惧しますが、区教育委員会はどのようにお考えでしょうか。  第五に、子どもを犠牲にする犯罪がマスコミで大きく取り上げられています。区長は安全・安心を第一に、学校での管理と監視の強化に力を注ぐことに積極的です。しかし、子どもの安全を守る力は何よりも人の力です。教職員の輪と団結ではないのでしょうか。教員、主事、給食、用務など、学校から人を削減し、授業中職員室にだれもいない状況で、監視カメラを校長が見ているような状況で、子どもたちの危機を救えるのでしょうか。学校警備を機械化したり、民間委託に税金を注ぐことで安全を守るのでしょうか、お伺いいたします。  卒入学式での日の丸・君が代の強制について、都立高校で、昨年の一〇・二三通達に続き、生徒への強制を教員に強いる指導がなされています。生徒が従わないときは、教員の指導力を問うとされています。これは、職務命令を使って生徒の思想信条の自由、内心の自由まで奪うのは明らかであり、憲法違反ではないのでしょうか。  また、学校長を通じて教育委員会が命令を発することは、教育基本法十条違反ではないのか、区の教育委員会の見解を伺います。  町田市では、君が代の生徒の声量まで指導する通達を出しました。これはもはや教育ではなく、強制ではないのか、お答えいただきます。  この項の最後に、杉並には在日韓国人、朝鮮人を初め、多くの外国人が居住しています。一方で拉致事件を非難しながら、他方で朝鮮侵略と植民地支配の強制連行や軍隊慰安婦の過去については、一度も謝罪や償いをしたことのない日本国家。天皇をたたえる旗と歌を強制することに耐えがたい生徒もいるはずです。区教育委員会がこうした在日の子弟にも起立して歌うことを強制するのでしょうか、お答えください。  ことし七月の教科書の採択に当たり、歴史的事実を否定し、天皇の歴史として描き上げ、侵略戦争を国家と民族の解放の戦いとして賛美する扶桑社版歴史教科書の採択を図る山田区政に対し、在日の諸団体から危惧の声が上がっています。再び保護者、教育労働者、宗教者、全労働者と国際連帯でストップする行動を呼びかけて、この質問を終わります。  次に、介護保険の見直しについてであります。  政府は八日、介護保険の増大する給付を抑制するために、軽度の要介護者の生活援助サービスを打ち切り、介護保険では居住費と食費を自己負担とする介護保険法改悪案を閣議決定し、国会に上程しました。十八日、厚生労働省は、要支援と判断される人全員を、法改正案に盛り込んだ診療給付の対象とする方針を打ち出しました。これまで、認知症モデルは従来の介護サービスの対象とする考えを示していたのが、これからも家事援助を打ち切る大転換となりました。八割程度とされている廃用性症候群モデルは、ヘルパーの家事援助が生活機能を低下させるという理由で、ホームヘルプサービスを廃止するばかりか、自立が困難で、筋力トレーニングの対象にならない認知症まで予防事業の対象にするなど、介護の現実を無視した暴論であります。このような介護保険改正案は、六十万人と言われている介護サービスを打ち切られる受給者の怒りを先頭に、廃案に追い込む以外ありません。  二月十日のNHKによれば、栃木県大田原市では、要支援、要介護認定者の四百四十三人のうち、認知症や脳卒中、心臓病など内臓疾患、九十歳以上などを除き、筋力トレーニングの効果があると思えるのは六十三人、一四%であるとのことでした。介護と福祉を要求する住民の会による会員を対象にした調査でも、要介護、要支援を回答した四十四名のうち、要支援、要介護一は二十名、そのうち、脳梗塞の後遺症が五名、認知症が三名、他は廃用性症候群の部類に入りますが、実態は全員が心臓病や糖尿病などの疾患を抱えているため、筋力の低下、筋力トレーニングの対象と思えるのは二名の、一割でした。残りは生活介護サービスを切り捨てられて、一体どうして生きていけるのでしょうか。時間が限られているので、ここでは見直しの基本的動向についてのみお聞きし、具体的問題は、我が会派の新城議員の質問と予算審議に回します。  八日の見直し案では、これまで伝えられてきた生活援助サービスの削減に関しては、筋力トレーニングができない人への生活援助を促す方向でのヘルパーの派遣とか、予防介護事業をほのめかしながら、その内容や数値を明らかにされていません。筋力トレーニングのあり方や生活援助のヘルパー派遣のあり方など、区がつかんでいる方向性についてお示しください。  第二に、国会に上程されながら、重大な部分の数値や事業内容が厚生労働省から明らかにされていない現状を、区はどのようにお考えでしょうか。この現状に対する二十三区の今後の取り組み、具体的内容が明らかにされる見通し、国会審議や施行に向かう日程などをお示しください。  いずれにせよ、受給者や自治体にさえ情報を隠し続け、事前の説明以上にサービスを切り捨てる法案は廃案を求めるしかないと思いますが、断固たる区の姿勢を求めて、この質問を終わります。  最後に、富士見ケ丘の葬儀場建設問題です。  富士見ケ丘駅前に葬儀場を建設している株式会社さくら相互は、年明けから解体工事に続き葬儀場建設工事をねらい、指導要綱に基づく説明会を一方的に通告してきました。反対同盟の要求で、二月二十七日午後七時に久我山小学校体育館で行うことになりました。いよいよ重大な段階に差しかかりました。富士見ケ丘駅前の葬儀場建設に関する区長の反対意見は今も変わらないのかどうか、ここで改めて確認しておきます。  第二に、区は、解体工事に要綱は適用しないという考え方を示したことで、地元は解体工事だけはやむなしとせざるを得ず、建設過程に要綱の適用を求めてきました。富士見ケ丘駅前葬儀場建設という、地元住民の生活環境に著しい影響を及ぼす計画に対し、要綱に基づく説明会を開催するに当たり、地域住民の暮らし、環境を守る責任を有する区の支援を期待しますが、区長の考えをお聞かせください。  第三に、駅南側、神田川沿いの駐輪場が、用地の売却、共同住宅建設により使用ができなくなりました。駅北側でも地主の相続問題で利用不可能になります。周辺に暫定的利用可能性はあっても、長期的には見通しは立たず、富士見ケ丘駅周辺整備計画はぎりぎりの危機に立たされました。この現状では葬儀場予定地は利用可能な唯一の場所であり、他にかわる場所がなければ、確保する方向に転換する以外にないと思いますが、区の見解を伺います。  最後に、西永福のバリアフリー化が決まり、井の頭線で残されたのは富士見ケ丘駅のみとなりました。葬儀場建設用地は駅改修の足がかりになる唯一の土地であり、区が利用する意思を表明すれば、地元は自力で用地を確保する用意をしています。逆に、この土地に葬儀場ができれば、富士見ケ丘駅周辺まちづくりは見通しを失うなど、厳しい現実に直面します。区の決断を求めますが、いかがでしょうか。  以上で第一質問を終わります。 ○議長(今井讓議員) 理事者の答弁を求めます。  区長。      〔区長(山田 宏)登壇〕 ◎区長(山田宏) けしば議員の一般質問にご答弁申し上げます。  私の成人式の発言についてでございますけれども、その趣旨は、成人を迎えられた方々が今日ここにあるのは、かつて特攻隊の青年たちも含め、戦争で亡くなられた方を初め、日本の繁栄のために尽力されてきた多くの人々、それにご両親等の支えがあったからだということを心に刻んでほしいという思いであいさつを述べたものでございます。  残余のご質問につきましては、関係部長よりご答弁申し上げます。 ○議長(今井讓議員) 区長室長。      〔区長室長(高 和弘)登壇〕 ◎区長室長(高和弘) 次に、教育に関しての所掌に関する事項についてお答え申し上げます。  まず、教育委員会制度でございますが、既に先ほどご答弁申し上げているとおり、現在の教育委員会制度は、人事権は都道府県、予算提案権は首長部局にあって、中二階的状況に置かれており、行政機構としても、また区民への責任という面でも、見直しが必要な制度であるという認識を持っているところでございます。  次に、教育改革と教育基本法についてのご質問がございました。  杉並区の教育改革は、杉並のあすを担う子どもたちを家庭や地域、学校が一体となってはぐくむための改革でございます。  また、教育基本法については、憲法にのっとり、我が国の教育のあり方の基本を定めているものと理解してございます。  最後に、日本経済団体連合会の提言でございますが、今後の教育のあり方について示唆に富む提言がなされていると考えております。  私からは以上でございます。 ○議長(今井讓議員) 高齢者担当部長。      〔高齢者担当部長(大澤 渉)登壇〕 ◎高齢者担当部長(大澤渉) 私からは、介護保険に関連するお尋ねについてお答え申し上げます。  まず、介護保険制度の見直しと、新予防給付等に関するお尋ねでございますが、国は、新予防給付に導入するサービスとして、筋力向上、栄養改善、口腔機能向上を示しておりまして、既存プログラムの中で実施し、または単独で実施するということとしております。  また、介護予防訪問介護につきましては、利用者ができることをヘルパーがかわりに行う家事代行型サービスについて、期間、必要性、提供方法等を見直しすることとしております。  次に、介護保険法改正案に関するお尋ねでございますが、区といたしましても、早急に詳細な内容が示されることを希望しております。  また、今後の見通しにつきましては、二月開催の全国介護保険担当課長会等を通じて内容が示されるものと考えております。  私からは以上でございます。 ○議長(今井讓議員) 都市整備部長。      〔都市整備部長(菱山栄二)登壇〕 ◎都市整備部長(菱山栄二) 私からは、富士見ケ丘駅前葬儀場建設問題にかかわるご質問にお答えいたします。  まず、当該計画は踏切に近く、また、渋滞の激しい富士見丘商店街の通りに面しているなど、今でも決して好ましい計画であるとは考えておりません。  次に、説明会を開催するに当たっての区の支援についてのお尋ねですが、説明会の目的は、建築主が建築計画の内容を近隣関係住民等に周知し、理解を得るよう努めることにあります。そこで、区といたしましては、説明会における当事者間の話し合いの状況を見守りつつ、引き続き指導要綱に基づき対応してまいりたいと考えております。  次に、富士見ケ丘駅周辺の自転車駐車場整備についてのお尋ねですが、当面、南側の区道上の登録制自転車置場を拡張し、現在富士見ケ丘駅へ乗り入れられているすべての自転車を収容できるようにいたします。  今後の整備計画につきましては、富士見ケ丘駅の自転車利用者の大多数が南側から来ておりますので、早期に適切な用地を利便性の高い南側に確保し、自転車駐車場を整備してまいります。また、北側につきましては、現在、京王電鉄所有地及び区有地等の活用による自転車駐車場の設置について、京王電鉄と協議を進めているところですので、ご指摘の葬儀場予定地の確保については考えておりません。  最後に、駅のバリアフリー化に向けた駅改良のため、葬儀場予定地を活用できないかとのお尋ねでございますが、あくまでも駅改良は鉄道事業者の主導で施行されるものでございます。鉄道事業者に判断を求めたところ、当該地は東側の道路を隔てた場所にあり、バリアフリー化に伴う駅改良を想定した場合でも、駅施設として活用することは非常に困難であるとの回答でございました。区といたしましても、土地の活用は難しいものと考えます。  私からは以上でございます。 ○議長(今井讓議員) 教育委員会事務局次長。      〔教育委員会事務局次長(佐藤博継)登壇〕 ◎教育委員会事務局次長(佐藤博継) 私からは、教育の所管に関するご質問にお答えいたします。  まず、教育の危機的状況についてのお尋ねですが、基本的な習慣を身につける家庭の力の低下、人間関係や社会のルールを学ぶ場としての地域の教育力の低下、あしたへの夢を描けない子どもの増加、規範意識、公共心の低下、学校における教師と子ども、保護者の信頼感の低下などを指しています。これらは、社会構造の変化による家庭生活の変化、大都市特有の生活環境の変化などがあるものと考えております。  次に、教育改革、教育委員会の役割等についてのお尋ねにお答えいたします。  教育改革の原因を教員にあるとするのではないか、教育の機会均等、平和主義を否定するものではないかとのお尋ねでございますが、区は、教育基本法を初めとする現行法制度のもと、自治体の責任に基づいて、教育立区の理念に沿って教育改革を進めているもので、ご指摘の点は杞憂のことと存じます。  次に、教育委員会設置の意義と役割ですが、教育委員会は教育の中立性、継続性、安定性の確保を目的として設置されており、教育機関の設置、管理、教職員の人事、学校の組織編成、社会教育等、法律に定める事務を所掌しているところです。  次に、教員に関する二つのご質問にお答えいたします。  まず、教員が過酷な状況に置かれているとのご指摘がございました。平成十四年度の完全学校週五日制以降、教員のゆとりが増したはずにもかかわらず、多忙になったとの意見を伺っております。しかし、このことと教師の質の問題は別次元のことであると認識しております。  また、質の高い、よい教員とは何かとのお尋ねでございますが、指導技術はもとより、教育への飽くなき情熱と子どもへの愛情を持ち、子どもの可能性やよりよく生きようとする意欲を信じて、これを伸ばす力量、資質のある教員、そのように考えております。しかし、現実には、子どもの学ぼうとする意欲の芽を摘んでしまう教員や、子どもたちとの信頼関係をつくれない教員がいることも事実でございます。  次に、市場原理を学校に持ち込む方向が教育に値しないとのご指摘がありました。子どもの持つ可能性を引き出し、育てるには多様な方法があり、既成の概念にとらわれず、法の枠の中でさまざまな手法を模索していくことも必要と考えています。  次に、「心のノート」についてのお尋ねにお答えいたします。  「心のノート」は、子どもたちが自らの体験に基づき、人間として生きていく上で大切にすべき価値を自ら学んでいくために全教育活動において使用するものであり、特定の価値観を押しつけるために活用するものではありません。  次に、学校の安全対策についてのご質問にお答えいたします。  学校の安全対策につきましては、最優先の課題として充実に努めているところです。特に今年度は総合対策として、小学校全校と中学校の八校に防犯カメラを設置、全校に刺又、催涙スプレー等を配備しました。また、非常時の迅速な連絡のため、警察、消防へも連絡できる全教室への校内電話の設置、小学校、幼稚園の各教室への非常警報装置の設置を進めており、三月中旬にはすべて完了する予定です。こうした装備機器の充実は、児童生徒の安全確保に大きな効果を発揮するものと考えております。
     ご指摘のとおり、学校の安全を守るためには、人的対応が不可欠です。学校職員による職務を超えた自発的な安全パトロールや、地域住民、保護者による通学路の安全点検等を行っていただいておりますが、そうした活動がより充実されるとともに、校内及び周辺の安全パトロールを行う学校支援隊の各地での組織化を進めるなど、さまざまな方策を検討し、安全対策の一層の充実を図ってまいります。  教育の所管の最後でございますが、国歌斉唱にかかわるご質問でございますが、都立高校での事例につきましてはお答えできませんが、杉並区の教育委員会では、児童生徒の国籍や宗教、信条などを問わず、学習指導要領に定められた教育内容はあくまでも教育指導として、すべての児童生徒に対して行うものであると考えています。強制するとか強制しないといった性質のものではありません。また、法令に違反するものではないと認識しております。  私から以上でございます。 ○議長(今井讓議員) 二番けしば誠一議員。      〔二番(けしば誠一議員)登壇〕 ◆二番(けしば誠一議員) 区長が答弁していただけたので、期待をしておりましたところ、全く落胆する以外ありませんでした。  区長は、日本の繁栄のために努力された多くの人たちに感謝せよと言ったのだというふうに答弁されましたけれども、区長の感謝せよと言った対象について延々と語ったのは、やはり特攻隊員の手記なんです。しかも、人に話を語るときに何かを引用するときに、それが間違いであれば、それを否定すべきであります。こういうことは私は反対なんだと言わなければ、それは、その引用したことについての結局賛成ということになるわけであります。ですから、区長の引用したものを、先ほど私もあえて引用しました。忠孝一致、忠すなわち孝なんだと。ご安心ください、必ずや孝いたします、こう書かれています。つまり天皇のために命をささげることが親孝行なんだと教えられて、そして自分は死んでいったわけでしょう。その人が母親に対してこれは孝行なんだと言うことが、なぜ母親に感謝するような中身なのでしょうか。  特攻隊の手記をこうして否定もせず新成人に語ったということは、当然にも天皇のために忠誠を尽くすことが社会のため、家族のためである、だから感謝せよ、天皇のため、国のために命を捨てたことを価値としてやはり区長は語ったんです。それは否定しようがありません。そして、そういう生き方を諸君たちも考えてくれと言ったというふうにしか私は判断できません。この点について、なぜあえてこれを否定しないで引用したのか、この点について区長はぜひお答えください。  次に、教育基本法について再質問いたします。  教育基本法は、先ほど申し上げたように、天皇制国家により教育が戦争動員のてこにされた反省から、二度と教育が国家の手段とされてはならないためと制定されました。国家による教育への不当な支配を禁止し、教育は子どもの人格の完成という目的に従い、また、平和的な国家及び社会の形成者の育成を目指すことを明確にしたものであります。教育が戦争動員の道具に使われたことについての見解を伺います。  戦争について、先ほど区長は、他会派の質問に答え、大東亜戦争といみじくも言われました。これは侵略戦争を肯定する立場の人が使う言葉でありまして、ヨーロッパの列強からアジアを解放するため、大東亜共栄圏をつくるための正義の戦争であったという考えにあるということを区長がいみじくも披瀝されたことであります。正しい戦争であればそれに従うこと、その戦争に教育が子どもたちを動員することは正しいとお考えなのでしょうか、お答えください。  三つ目に、教育現場についての認識について先ほど問いました。人事考課が上司の思惑に左右されるものであることは区役所でも同じであります。教育というのは数字にあらわせるものではありません。評価するためにさまざまな書類提出が新たに求められています。教師は、校長の定める学校経営方針を踏まえて自己目標を設定しなければならない、こうしたことの数々が今大変な負担を強いているということについて、改めてお答えください。  次に、教育委員会のあり方についてであります。  区長は代表質問に答えて、教育は政党政治家がやっていて、文部科学省の支配の道具になっているというふうに言われました。それでは伺います。国の支配に反対しながら、区長はこの自治体も小さな政府だというふうに言っておりますが、この自治体が支配することについてはよいのでしょうか。山田区長の、山田行政の支配下に教育が置かれることや、石原都知事の都行政の支配に置かれることはよいことなのか、この点についてお答えください。  さらに、経団連のこのたびの提言について、示唆に富むものというふうに評価をされました。日本の財界のトップ、日本の支配階級が、憲法や教育基本法の改正を具体的に真っ正面から打ち出した点で、これは極めて重大であります。特に、公教育は公立学校が担うという考え方の脱却という言い方をはっきり言っています。株式会社にすることも含め、有用な人物をつくる学校に傾斜的に金を注げと。つまり、公教育の中でこういうエリートを養成するような学校以外には金を注ぐなということをはっきりと言っています。裏を返せば、一般的な労働力を養成するような一般公立学校には、もう金は余り使うなと。これはアメリカの現実をまねたことであります。知っていると思いますが、アメリカの公教育、一般のアメリカの大衆の教育は、校舎ぼろぼろ、教員を雇う給料も出せない。六千万とも言われている労働者に健康保険もない。こうした子弟たちは、本当に公教育に金が使われていない貧しい状態に置かれています。これが財界の提言する教育改革の方向であり、山田区長の私立学校にするという考え方の帰結なのではないか、この点お答えください。  教育の危機とその突破の方向性について再質問いたします。  現代社会の子どもや青年にも見られる孤立感、他者とともに生きる力や展望を喪失している状態、目的を失った挫折感、未来の希望が持てない現実、それは戦後、財界の意を受けた自民党政権が支配してきたこの国の現状を文部科学省がつくってきた現実ではないのでしょうか。これを現代に生きるみずみずしい感覚を持った子どもたちの苦悩として受けとめ、共感できる心の大きさを持つことが必要であります。人とつながって生きられなくなった人間の当然の孤立感なんです。これを逆に偏狭なナショナリズム、伝統的な天皇制国家への忠誠で、このばらばらになった子どもたちを統一しようなどという試みは、もはや教育ではありません。治安という名の強制であります。個より公を大切にしようなどということを第一に置く考え方は、全く正しいことなのでしょうか、お答えください。  一人一人の子どもの命、これが国だとか宇宙なんかよりも重い、尊いものだということを教え、尊重されたときに、初めて子どもたちは他者の命もかけがえのないものだと自覚するんです。平和的な国家の担い手として形成されるのではないかというふうに思うわけでありますが、この点、改めて見解を区長及び区教育委員会に伺います。  そこにさらに競争を持ち込んで、他者をけ落として生きる教育、その中からは、石原都知事のような、弱い者を見下し、傷つけても何ら反省しない、ゆがんだリーダーしか育てられません。  最後に、この解決の道でありますが、あの阪神・淡路大震災の折に最も被害を受けた貧しい人々が、在日も部落の人たちも団結し、地域の共同性を自分たちの力で回復し、労働組合をつくり、団結を回復してきた、この教訓があります。今アメリカでも、先ほど申し上げたアメリカの本当に貧しい六千万と言われる労働者、韓国でも日本でも、その第一歩が今現場労働者の手で始まっています。その先頭に今、日の丸・君が代の強制に職をかけて闘う教育労働者が存在しています。教師に、子どもたちが日の丸・君が代を強制することを職務命令で行うのは、そして、まさに子どもたちに対してそれを教師に強制するのは、教育基本法、憲法違反ではないのでしょうか。  たとえ、先ほど区長が述べたように、今憲法や教育基本法を変えたいと思っている人であったとしても、自治体の首長であります。この憲法や教育基本法を守ることが自治体の責務であり、このことについて改めて問い直し、再質問を終わります。 ○議長(今井讓議員) 午後五時を過ぎようとしておりますが、この際、会議を続行いたします。  理事者の答弁を求めます。  区長。      〔区長(山田 宏)登壇〕 ◎区長(山田宏) けしば議員の再質問にご答弁申し上げます。  成人式の発言について再度のご質問がございましたけれども、手紙の内容の是非というよりは、あのときの文脈を考えていただければ、先ほどご答弁申し上げましたとおり、あの特攻隊の青年たちは当時二十歳とか十九とかですから、彼らと同じ年なんですね。同じ年のそういう人たちが、そういう歴史の運命の中で尊い犠牲になったというふうに考えておりまして、そういった人たちの上に──特攻隊だけじゃないですよ。いろいろな戦争で亡くなられた方々、たくさんの方々、犠牲者の上に現在の日本の繁栄があるんだということをよくわかってほしいというために、同じ年の人の文章を出したわけですね。ですから、そういうような意図ですので、なかなか理解できないでしょうけれども、そういう考えで申し上げたわけでございます。  それから、大東亜戦争という話がございましたけれども、太平洋戦争と言ったのはアメリカや連合国ですね。大東亜戦争と言ったのは日本側なんですよ。だから、一つの戦争について、向こう側の表現を使うかこっち側の表現を使うかという問題であって、それは全く、そのことを使うからどうこうという問題ではありません。  なお、この大東亜戦争、太平洋戦争については、一九五二年だったかな、解任されたマッカーサーが、上院の軍事安全保障委員会で証言をしております。この日本の戦争についてどうかという議員の質問に対して、マッカーサーは、基本的には、この日本の戦争は主に安全保障、つまり自衛のために行われた戦争だと私は言えると。英語で言うと、ディス・ウオー・ワズ・モストリー・ディクテーティッド・バイ・セキュリティーと、彼はそういうふうに答えたわけです。日本が主に戦っていたアメリカですけれども、アメリカの大将が、日本の戦争は自衛戦争だと一九五一年に証言しているんですね。  そういうようなことなど、いろいろな意見もありますから、一方的に、侵略という定義も定めずに規定することは、私はいかがなものかというふうに考えておりまして、ぜひその辺の速記録もごらんになっていただきたいと考えております。  私からは以上でございます。 ○議長(今井讓議員) 区長室長。      〔区長室長(高 和弘)登壇〕 ◎区長室長(高和弘) 続きまして、教育基本法と経団連の提言につきまして、再度のご質問にお答え申し上げます。  教育基本法は、憲法にのっとり、戦後我が国の教育のあり方の基本を定め、その役割を果たしてきたものと認識してございます。  また、経団連の提言でございますが、多面的な分野から今後の教育のあり方について提言なされている、かように認識してございます。  以上でございます。 ○議長(今井讓議員) 教育委員会事務局次長。      〔教育委員会事務局次長(佐藤博継)登壇〕 ◎教育委員会事務局次長(佐藤博継) けしば議員の再質問のうち、所管に関するご質問にお答えいたします。  まず、人事考課についてでございますが、人事考課は、組織運営にとって当然のことだというふうに考えております。  それから、子どもたちの状況等についていろいろとご指摘をいただきました。杉並区の教育委員会は新しい教育ビジョンということでつくりましたので、教育委員会でさまざま議論をしながら、このビジョンに沿って進めていきたいというふうに考えてございます。  最後に、校長の命令権等々の件でございますが、校長が学習指導要領に基づいて、所属職員に対して本来行うべき職務を命じるということは、当該教職員の思想、良心の自由を侵すことにはならないと考えてございます。  私からは以上です。 ○議長(今井讓議員) 以上で日程第二を終了いたします。  本日の日程はすべて終了いたしました。  次回の会議は、明日午前十時から開きます。  本日はこれにて散会いたします。                   午後五時〇一分散会...